3. 6期連続増配継続、しかし配当性向は再び上向き

見るべきは、こうした利益後退の中でも株主還元姿勢が緩んでいない点ではないでしょうか。

分割調整後の1株配当は2022年3月期の52円から2023年3月期60円、2024年3月期75円、2025年3月期90円、2026年3月期95円と積み上がり、翌2027年3月期は100円が予想されています。連続増配は6期に達しました。

純資産配当率(DOE)は3.2%と輸送用機器中央値の2.1%を上回っており、絶対的な還元厚みは業界内でも厚めの位置にあります。

一方、配当性向を見ますと、2024年3月期の20.5%から2025年3月期25.0%、2026年3月期32.2%と再び切り上がってきました。利益が縮む中で配当額を積み増しているため、配当性向が受け身の格好で上昇している構図です。

4. 株価-14.7%の半年——業績連続性を織り込む価格形成

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出所:各種資料をもとにLIMO編集部作成

株価の直近半年の推移は、この減益局面と対応した動きと考えられます。

2026年1月26日の起点3,477円から、3月2日には期間内の最高終値3,944円まで切り上がる場面もありましたが、通期決算開示日の5月8日終値は2,913円と、前日終値2,978円から-2.2%下落し、その後も下押しが続きました。

6月24日には期間内の最安終値2,686円まで沈んだのち、7月27日終値2,966円まで+10.4%と反発したものの、半年トータルでは-14.7%と大きな下落が残っています。

期間内のピーク3,944円と比較しますと-24.8%となり、業績局面の連続性が織り込まれた価格形成であったと解釈できるでしょう。

5. 筆者コメント

利益が縮む局面での増配は、還元姿勢の強さを示すサインとして評価される一方で、配当性向が受け身の格好で上昇していく構図でもあります。同社は利益がピークからさらに縮んだ2026年3月期でも増配を選択し、翌期予想でも増配が織り込まれています。

稼ぐ力の絶対水準の減少と、業界内の相対的な稼ぐ力の厚みの維持——この2つは同時に成立しており、単純に「減益だから悪い」と括ることは難しい段階にあると考えられます。

株価の-14.7%も、決算開示日の下落だけで説明できるものではなく、翌期予想のさらなる減益織り込みと、ピークから縮む利益の連続性が価格形成に絡んだ動きと読み取れます。減益局面の銘柄を眺めるときは、単一四半期の実績や単一の増配ニュースだけでなく、利益トレンドの位相と資本効率の相対水準、還元姿勢の厚みを同時に見ていく着眼点が有効ではないでしょうか。

5.1 免責事項

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石津 大希