日本では富裕層や超富裕層が増え続けていると言われます。その一方で、長引く物価高に対して政府の迅速な対応を望む声も少なくありません。今、私たちの社会では「資産を持つ人」と「そうでない人」の格差が広がり続ける構造が、知らず知らずのうちに出来上がっているのかもしれません。

 

和田 直子

銀行員として資産形成のご相談を数多くお受けしてきましたが、資産の増え方や向き合い方は、世帯によって驚くほど違います。ここでは統計データとあわせて、実際に多くの資産をお持ちの方々がどのような工夫をされているかも交えてご紹介します。

 

本記事では、富裕層の最新動向とあわせて、年代別・世帯別の金融資産保有額を確認し、現在の日本における資産の実態を整理していきます。

1. この記事を読むとわかる3つのポイント

  • 富裕層・超富裕層の世帯数は2023年時点で約165万世帯・純金融資産約469兆円と、2005年以降で最多水準
  • 20〜70歳代・単身/二人以上世帯別の金融資産保有額(平均・中央値)
  • 元銀行員の監修者がみた、富裕層が実践する「増やす」と「相続への備え」の両立

2. いまの日本「富裕層・超富裕層」は増えている

株式会社野村総合研究所の資料「野村総合研究所、日本の富裕層・超富裕層は合計約165万世帯、その純金融資産の総額は約469兆円と推計」によると、2023年時点の富裕層・超富裕層の世帯数は、2005年以降で最も多い水準となりました。

※純金融資産保有額=世帯として保有する金融資産の合計額から負債を差し引いたもの

2.1 「富裕層と超富裕層」の世帯数(2023年)

  • 富裕層(世帯の純金融資産保有額1億円以上5億円未満):153万5000世帯
  • 超富裕層(世帯の純金融資産保有額5億円以上):11万8000世帯

2.2 【比較】「富裕層と超富裕層」の世帯数(2021年)

2021年の前回調査の富裕層、超富裕層の世帯数は以下の結果となっています。

  • 富裕層:139万5000世帯
  • 超富裕層:9万世帯

また、全世帯に占める割合は次のとおりです。

  • 富裕層:約2.75%
  • 超富裕層:約0.21%

純金融資産保有額が1億円以上の富裕層、5億円以上の超富裕層の世帯は、全世帯の約3%。

割合だけを見ると「やっぱり富裕層はほんの一部なのか」と思うかもしれません。

しかし、世帯数自体は着実に増加しています。

2.3 なぜ増え続けているのか

富裕層世帯が増え続けている背景には複数の要因が重なっています。

もっとも大きな要因が、株式や投資信託などの金融資産の価格上昇です。

リスク資産を保有していた世帯は、近年の株高や円安で資産を伸ばしてきました。

相続によってまとまった資産を引き継ぎ、新たに富裕層へ移行するケースも増えています。

近年では、NISAを活用した長期運用の広がりにより、本人の自覚がないまま基準を満たす層や、安定した共働き世帯が50代前後で到達する「スーパーパワーファミリー」といった事例が増加しています。かつては一部の資産家や起業家に限られていた富裕層というステータスは、一般的な会社員にとっても現実的な選択肢へとシフトしつつあります。