株価が下がるとき、時間差の意味を意識する場面があります。決算開示日に下落する銘柄もあれば、その1〜2か月後にさらに下押しが続く銘柄もあります。株価は単一の材料ではなく、業績局面の連続性を織り込む中で価格を形成していきます。トヨタ自動車(7203)の直近半年は、そのプロセスの典型と受け止められる動きを見せました。
※本記事中の株価は、過去の株式分割の影響を調整した値を使用しています。
それでは早速見ていきましょう。
1. 増収続くも営業利益-21.5%——通期は大幅減益、翌期予想もさらなる後退へ
2026年3月期通期の決算内容は、増収と大幅減益の同居となりました。
売上収益は50兆6,850億円で前期比+5.5%と過去最高水準を更新した一方、営業利益は3兆7,662億円で-21.5%、当期利益は3兆8,481億円で-19.2%と、いずれも二桁の減益で着地しています。
第3四半期時点で示していた通期予想(売上収益50兆円、営業利益3兆8,000億円)と比べますと、売上収益は+6,850億円の上振れとなった一方、営業利益は99.1%の進捗にとどまり、減益基調そのものは予想線に沿って進んだ姿として読み取れます。
同時に開示された翌2027年3月期の会社予想は、売上収益51兆円で+0.6%と横ばい圏、営業利益3兆円で-20.3%、当期利益3兆円で-22.0%と、さらなる利益後退を織り込んだ数値です。増収基調が失われる中で減益は続く見通しで、業績局面の慎重さがくっきりと出ています。
2. 過去5期の利益トレンドで見るピークからの後退
背景にあるのは、過去5期の利益トレンドとして眺めた場合の局面の重みではないでしょうか。
2022年3月期の営業利益2兆9,957億円から、2024年3月期には5兆3,529億円まで駆け上がった同社ですが、2025年3月期は4兆7,956億円で-10.4%、直近の2026年3月期は3兆7,662億円で-21.5%と、ピークから2期連続の減益で後退が続いています。
営業利益率でも同じ姿が確認できます。2024年3月期の11.9%をピークに、2025年3月期10.0%、2026年3月期7.4%と2期連続で低下し、稼ぐ力の相対水準そのものが縮んでいる姿と読み取れます。
ROE(自己資本利益率)も、2024年3月期の15.8%をピークに、2025年3月期13.6%、2026年3月期10.1%と2期連続で低下しました。
もっとも、業種内での相対水準を見ますと、輸送用機器76社(2026年3月期)の営業利益率中央値5.3%を依然として上回っており、ROEも中央値6.1%を大きく超える位置にあります。稼ぐ力の絶対水準は下がったものの、業界内の相対的な稼ぐ力はまだ厚みを維持している構図です。