大手メディアで働いていたCさんは、独立して今はフリーの編集者として働いています。「大手メディアで経験を積んだことで、フリーとしての実績がまだあまりなかったときから使ってもらえた」とのこと。フリーの編集者以外にも、ライターの仕事をしたり写真を撮ったりと幅広く活動しています。同時に自分の会社の立ち上げ準備をしていて、毎日が充実していると言います。

「基礎を教えてくれた前の会社にはとても感謝している。そこで基礎を学び、人脈を作り、今がある。名の知れた会社に所属していて、その会社の名刺を持っていけば、たいていの人は会ってくれた。しかしフリーの場合はそうはいかなくて難しさを感じることもある。それでも、前職という信頼できるバックボーンがあるからと扉を開いてくれる人も多い」と会社勤めが今の仕事に生きていることを語ってくれました。

「メディアの仕事にはどうしても自分の思想が出てしまう。こういう仕事をしているからには、自分がやりたい仕事を突き詰めてやらないと逆に失礼だと思った。誰もが知る会社であっても、『自分はそうは思わないけど』というスタンスで仕事をやっていてはダメだと思った」と話してくれました。

会社の看板で稼ぐことへの不安

大手外資系金融に勤めていたDさん。彼も、Cさんと同じように独立して仕事を始めました。しかし、そのモチベーションはちょっとCさんとは違う様子。

「会社の看板を背負っているから自分は稼げているのではないか、何もない自分では1銭にもならないのではないかと不安だった」と話します。最初は、有名な外資系金融に入社できたことが誇らしかったと言うDさん。しかし、次第に不安を感じることが増えたのだそう。

「リーマンショックのような出来事があれば、会社が倒産してもおかしくない。そのとき、会社から放り出されたら自分は何をして生きていけばいいかわからなくなった。会社の看板を背負える自分が誇りだったのに、キャリアを積んでいけばいくほどそれが不安に変わった」と言います。

確かに、このご時世「え! あの会社が?」と思うような会社が倒産したり破綻したりしています。そういう状況になったときに、「稼げない自分」であることが不安だったのだそう。

Dさんは今は独立して、金融分野の仕事をしています。学生相手に金融や経済の基礎知識を教えたり、本を書いたり、金融機関のセミナー講師をしたりと毎日大忙し。「金融のことを叩きこんでくれた会社には本当に感謝している」と語る姿が印象的でした。

まとめ

周囲から見たら「あんないい会社をやめるなんてもったいない」と思うかもしれませんが、彼らは彼らなりに将来のことを見据えて決断していたのですね。今の会社でどう働き続けていくのか、自分のキャリアをどうしていくのか、一度考えてみてはいかがでしょうか。

大塚 ちえ