6. 【国民年金 × 厚生年金】夫婦2人の年金は合計いくら?世帯別のシミュレーション

個人の受給額をもとに、夫婦合わせた年金額をシミュレーションしてみましょう。

  • 会社員同士の共働き夫婦:合計 約31万1400円(パターン1 + パターン3)
  • 会社員の夫と専業主婦の妻:合計 約25万5000円(パターン1 + パターン5)
  • 自営業・フリーランス夫婦:合計 約12万5200円(パターン2 + パターン4)

夫婦の働き方の組み合わせ次第で、世帯の年金合計受給額には最大月18万円近い差が生まれます。

7. 65歳以上の無職夫婦世帯のリアルな家計収支!毎月約4.2万円の赤字?

それでは、実際のシニア世帯の生活費はいくらかかっているのでしょうか。総務省の「家計調査報告(2025年平均)」によると、65歳以上の無職夫婦世帯の1か月の家計収支は以下の通りです。

65歳以上の無職夫婦世帯の1か月の家計収支5/6

65歳以上の無職夫婦世帯の1か月の家計収支

出所:総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2025年(令和7年)平均結果の概要」

  • 実収入:約25万4395円(うち、公的年金などの社会保障給付:約22万8614円)
  • 実支出:約29万6829円(うち、生活費にあたる消費支出:約26万3979円)

収入の大部分を年金に頼る中で、支出が収入を上回り、毎月約4万2000円の赤字が発生していることがわかります。

この赤字分は、現役時代に蓄えた貯蓄を取り崩して生活を維持しているのが現実です。

8. 同じ年収でも「共働き」は貯蓄が少なめ?データで読み解く「今の貯蓄力」と「将来の年金力」

老後資金を準備するにあたり、他の世帯がどれくらい貯蓄をしているのかも気になるところです。

J-FLEC(金融経済教育推進機構)の「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」から、二人以上世帯の「世帯の就業者数・年収別」の金融資産保有額を見てみましょう。

二人以上世帯「世帯の就業者数・年収別」金融資産保有額6/6

世帯の就業者数・年収別」の金融資産保有額

出所:J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」設問間クロス集計(二人以上世帯調査)をもとにLIMO編集部作成

【年収500〜750万円未満の世帯】

  • 世帯主のみ就業(片働き):1500万円
  • 世帯主と配偶者のみ就業(共働き):600万円

【年収750〜1000万円未満の世帯】

  • 世帯主のみ就業(片働き):2,255万円
  • 世帯主と配偶者のみ就業(共働き):910万円

同じ世帯年収の枠で比較すると、共働き世帯よりも、世帯主のみが働く片働き世帯の方が金融資産(貯蓄)が多いという結果が出ています。

まずは、これだけしっかりと貯蓄を築き上げている片働き世帯の堅実なやりくりは、努力の結果と言えるでしょう。

一方で、共働き世帯の貯蓄が少なめに出ている背景には、若い世代が多く含まれており、子どもの教育費や住宅購入など「まさに今、大きな出費が重なる時期」であることが影響していると考えられます。

そのため、「今の貯蓄額」の差だけで焦る必要はありません。

共働き世帯は夫婦ともに厚生年金に加入するため、将来受け取れる世帯合計の年金額が片働き世帯よりも手厚くなります。

手元の貯蓄(ストック)は使えば減ってしまいますが、一生涯受け取れる年金(フロー)の強みは大きいです。

仮に老後の生活が20〜30年続くとすれば、この年金の上乗せ分は生涯トータルで数千万円規模になり、現在の貯蓄差を十分にカバーし得る強力な武器となる場合もあるでしょう。

働き方によって「今の貯蓄力」と「将来の年金力」という、それぞれの異なる強みがあります。

現在の目に見える貯蓄額だけで一喜一憂せず、将来の年金見込額を含めたトータルでの資金計画を立て、ライフステージに合わせた無理のない資産形成を続けることが大切です。

9. まとめ:年金だけで「ゆとりある老後」は実現できるか?現役世代が今から始めるべき備え

生命保険文化センターの「2025(令和7)年度 生活保障に関する調査」によると、夫婦2人が「ゆとりのある老後生活」を送るために必要と考える生活費は月額平均39万1000円とされています。

一方で、「最低限の日常生活」に必要な費用は月額平均23万9000円です。

先ほどのシミュレーションで最も受給額の多い「会社員同士の共働き夫婦(約31万円)」でも、ゆとりある生活には約8万円不足します。

「会社員の夫と専業主婦の妻(約25.5万円)」では最低限の生活はできても、ここでいう「ゆとりある生活」には13万円以上足りません。自営業の夫婦ではさらに手厚い事前準備が求められます。

物価上昇による年金の実質的な目減りや、毎月の生活費の赤字実態を考慮すると、公的年金だけで豊かな老後を送るのは容易ではありません。

まずは、「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」を活用し、将来受け取れるご自身の年金見込額を正確に把握しましょう。

その上で、足りない生活費を補うために、新NISAやiDeCoなどを活用した計画的な資産形成を並行して行うなど、自分に合った老後の準備を今から進めていくことが大切です。

参考資料