5. 【元公務員・FPの見解】老後に向けて確認したい3つのポイント
老後に向けて確認したいポイントを、元公務員・FPの視点から紹介します。着目すべきポイントは以下の3点です。
- 年金見込額と生活費の差を確かめる
- 年金を増やす制度を活用する
- 手取り収入で家計を組んでみる
まずは、誕生月に届く「ねんきん定期便」で、将来の年金見込額を確かめましょう。ねんきん定期便では、年金の加入実績に応じた年金額を確かめられます。50歳以上になれば、より詳細な受給見込額が記載されるため、将来の収支をイメージしやすくなります。
Webサイト「ねんきんネット」では、働き方や受給開始年齢などの条件を設定して、年金受給額の試算ができます。年金見込額と、老後にかかるであろう生活費を比較して「差額はいくらなのか」「不足額をどう賄うか」を把握しておけば、今から貯蓄や資産運用で備えることが可能です。
不足額を補う方法のひとつが「年金自体を増やす」ことです。個人事業主やフリーランスなどの国民年金第1号被保険者は、掛金を拠出して年金を上乗せする「国民年金基金」や、毎月400円保険料を上乗せすることで年金額を増やす「付加年金」などの活用を検討しましょう。厚生年金に加入する人は、定年後も働いて厚生年金保険に加入し、年金額を増やすのが有効です。
このほか、受給タイミングを65歳以降に遅らせる「繰下げ受給」なども検討してみるとよいでしょう。繰下げ受給する場合は、繰下げ期間中に年金を受け取れなくなるため、受給までに十分な収入を得られるかも確かめておくとよいです。
家計については、実収入額ではなく手取り額で考えていくことが大切です。所定の要件を満たすと、年金からは税金や社会保険料が差し引かれます。そのため、実際に支給される年金額のうち、控除後にいくら手元に残るのかをもとに、支出管理をしていく必要があります。
合わせて、年金は2ヶ月に1回支給されるため、振り込まれた金額の半分を1ヶ月分の収入として考えるのが重要です。支出額が収入額を大幅に超えている場合は、もう一度支出を見直して、無駄な支払いがないか確かめてみましょう。
税金・社会保険料の支払いが厳しく生活がままならない場合は、市区町村に相談してみるとよいです。生活に困っている場合は、個々の状況に応じて家計の立て直しや仕事の支援などを受けられる「生活困窮者自立支援制度」を紹介してもらえる可能性があります。
6. まとめ
年金月10万円未満の人は、約19%です。また、高齢者世帯は約半数が「生活が苦しい」と感じています。年金収入が少なく生活に困らないよう、年金や資産・貯蓄を増やす対策を、老後生活に入る前から進めておくことが、これからのスタンダードになっていくと考えられます。
住民税非課税世帯に該当する場合に受けられる優遇措置についてはこちらの記事でくわしく解説しています。あわせてご参考ください。
「住民税非課税世帯」を対象とした「優遇措置」8選 《年金・給与》年収いくらで該当するのか境界線も見ておこう 年金155万・給与110万が分かれ目?
参考資料
- 日本年金機構「令和8年4月分からの年金額等について」
- 厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 厚生労働省「2025(令和7)年 国民生活基礎調査の概況」
- 総務省統計局「家計調査報告 〔 家計収支編 〕 2025年(令和7年)平均結果の概要」
- 日本年金機構「「ねんきん定期便」は、いつ作成して、いつ送られるのですか。」
- 厚生労働省「国民年金基金制度」
- 日本年金機構「付加年金」
- 日本年金機構「年金の繰下げ受給」
- 厚生労働省「生活困窮者自立支援制度」
- LIMO「「年金だけで生活」できているシニアは4割のみ?厚生年金「月10万円未満」が約19%…いまどきシニア世代の平均受給額はいくらか」
石上 ユウキ
