「今働いている会社は、有給休暇がないので、取得したことがありません」(正社員、50代男性)

「基本的にパソコンの電源で勤怠を管理している為、パソコンをつけない業務を有給の日に行うことが多い。また、出勤している他の社員のパソコンを借りる事でパソコン業務も行えてしまう」(正社員、20代男性)

有給休暇の制度がそもそも無いということは、特定の場合を除きありえません。事実ならば違法の可能性もあります。

また、パソコンのログ管理を逃れるために、有給休暇を取得した日にパソコンを使わない業務を行ったり、他人のパソコンで業務を行ったりする。これらは本来、出勤したものとして各種手当などに反映されなければなりません。このような不適切な業務手続きを、会社から指示されていたとすれば大問題です。

改善の傾向も

有給休暇の取得が難しいとの意見がある一方、「働き方改革」の流れの中で、改善されているという意見もありました。

「働き方改革の推進で、有給休暇取得率の向上に努めており社員全員が年間12日以上の有給休暇がMUSTという風潮から休みやすい環境になっています」(正社員、40代男性)

「法的に有給が義務化されたため、しっかりと有給を取れるようになった」(パート、20代女性)

改善が実感できている方も多く、これはとても喜ばしい傾向だと思います。

おわりに

パーソル総合研究所「APAC就業実態・成長意識調査(2019年)」(※2)によると、日本人が仕事を選択する上で重視するものは、①希望する「収入」が得られること、②職場の「人間関係」がよいこと、③「休み」が取れる/取りやすいこと、です。人手不足で就職「売り手市場」が続く中、企業にとっても労働者にとっても、有給休暇の取得は重要であると言えます。

有給休暇の取得義務化だけでは改善途上な部分もあるでしょうが、「働き方改革」の流れの中で、働く環境が少しでも改善されることを願います。

【参考】
※1:厚生労働省「平成30年就労条件総合調査(労働時間制度)
※2:パーソル総合研究所「APAC就業実態・成長意識調査(2019年)
 

広瀬 まき