厚生労働省「平成30年(2018年)就労条件総合調査(労働時間制度)」(※1)によると、2017年(または2016会計年度)の1年間の有給休暇取得率(取得日数/付与日数)は51.1%です。平均的な日本人で、付与された有給休暇日数の半分の取得に留まっており、中にはほとんど取得できていないケースもあります。

これは世界的にみても非常に低い水準となっています。2019年4月から、働き方改革関連法施行に伴い、有給休暇に関する労働基準法が一部改正されました。全ての企業において、年10日以上の有給休暇が付与される労働者に対し、年5日の有給休暇の確実な取得が義務付けられました。

有給休暇が取得できない原因は、1に「職場の雰囲気」、2に「人材不足」

日本人の有給休暇の取得について、LIMO編集部にてアンケート調査(有効回答100)を実施しました。「あなたの会社の有給休暇に不満はありますか?」との質問に対し、54名が「はい」、46名が「いいえ」という結果です。

「はい」(不満がある)と回答した人のうち、その原因は、「職場の雰囲気」が18名で最多、「人手不足」が16名で続きます。

うち、「職場の雰囲気」についての、個別コメントをいくつか紹介します。

「有給休暇を簡単に取得できる雰囲気ではない。有給の理由を事細かに聞いてくる。有給をとった人の陰口をよく耳にする」(正社員、40代男性)

「社長に有給休暇の話をすると、機嫌が悪くなるので話ができない」(正社員、40代男性)

「10年ほど働いていますが、有給を取得できたのは、インフルエンザで休んだ時と法事で休んだ時の2回だけです。旅行のために有給取るなんて、もってのほかって感じの職場です」(パート、50代女性)

「休まないで遅くまで働く社員が評価されるというのは時代錯誤だ」(正社員、50代男性)

プライベートではなく、何か特別な事情がないと有給休暇は取得し難く、場合によっては有給休暇を取得することで批判されるような職場の雰囲気が見えてきます。かつては、「企業戦士」や「モーレツ社員」が日本の経済成長を支えた一面もあるのでしょうが、今やそのような感覚は時代錯誤と言わざるを得ません。

また、「人手不足」についての、個別コメントもいくつか紹介します。

「忙しい時期には有給を取らないでくださいということを言われています。いつも忙しいので、結局とることができません」(正社員、40代女性)

「代わりの人員が用意できない職場では出勤している社員1人1人に対しての負担が増える事になる」(正社員、40代男性)

「職員の人数がギリギリなため、取得にあたり部署の同僚にしわ寄せが行くので取りづらいと感じている」(正社員、40代女性)

人手不足が原因で、自分が有給休暇を取得すると同僚にシワ寄せがいくという現実が見えてきます。そのことが、有給休暇取得に罪悪感を抱くという結果に繋がっています。有給休暇の取得促進と併せて、テクノロジーの活用などを含めた生産性の向上が必要となってきています。

ブラック企業は違法の可能性も

また、回答の中には、まさにブラック企業と言わざるを得ないような、違法を疑うコメントもありました。