5. 監修者コメント:公的保障と自助努力のバランスを考える機会に

中本 智恵

銀行の窓口でも、万一のときの家族の生活について不安を持たれているお客様は少なくありませんでした。今回の見直しで、子どものいない60歳未満の配偶者は給付期間が原則5年になりますが、5年間の受給額自体は約1.3倍に増額され、収入が少ない場合のセーフティネットも用意されています。

大切なのは、公的な保障だけに頼るのではなく、生命保険や貯蓄などで自分たちに合った備えを組み合わせておくことです。特に長年専業主婦・主夫だった方や、収入面で配偶者に大きく依存している世帯は、この機会に家計全体を見直しておくと安心です。

まずはご自身やご家族が今回の見直しでどのケースに当てはまるのか整理し、必要であれば保険の見直しや資産形成についても専門家に相談してみることをおすすめします。

6. おわりに

今回の遺族厚生年金制度の改正は、遺族年金がもらえなくなるという内容のものではありません。対象者は限定的であり、男女間の差を解消することを目的とするため、男性の保障が拡大される側面もあります。

一方で、一部の女性については終身給付から原則5年間の有期給付へ移行するため、将来の生活に不安を感じる方もいるでしょう。しかし今回の見直しでは、5年間の受給額が約1.3倍に増額されるほか、収入が少ない方などに対しては5年経過後も給付が継続されるセーフティネットも用意されています。今回の改正を機に、遺族年金などの公的な保障内容を正しく理解したうえで、足りない部分は貯蓄や民間保険などで自ら備えることがこれまで以上に求められるといえます。

65歳以上の夫婦世帯が実際にどのくらいの年金・貯蓄・生活費で暮らしているかについては、こちらの記事でくわしく解説しています。あわせてご参考ください。
老後の「ふつう」が分かる!65歳以上の平均貯蓄額・年金月額・1カ月の生活費をデータで見る

まずは、自分や配偶者が今回の改正で影響を受ける可能性があるかを整理しましょう。制度を正しく知ることが、将来の家計を守る第一歩となります。

参考資料

木内 菜穂子