近年、老後資金に対する関心が高まる中、老後の生活費だけでなく「介護にかかる費用」への備えも現役世代の大きな課題となっています。

株式会社LIFULLが公表した調査・試算によると、生涯に必要な介護費用は約2300万円にのぼるというデータも示されています。

長生きリスクとセットで語られることの多い老後の想定外の出費ですが、公的年金だけでこれらをすべてカバーしてゆとりのある生活を送るのは容易ではありません。

特に女性は、ライフイベントによる働き方の変化から、将来受給できる年金額が少なくなる傾向があります。

この記事では、最新の統計データをもとに女性の厚生年金受給額の実態に焦点を当て、月額15万円以上を受け取る方の割合や、本当に必要な老後への備えについて詳しく解説します。

1. この記事の3つのポイント

  •  女性の厚生年金受給額は平均約11万1000円で、男性の平均約17万円と比べて低い水準にあります。
  •  月15万円以上の年金を受け取る女性は約12.3%(約8人に1人)にとどまり、男女間で大きな差があります。
  •  豊かな老後を迎えるためには、自身の年金見込額を早期に把握し、介護などの出費に備えた資産形成が必要です。

2. 公的年金の基本構造とは?国民年金と厚生年金の2階建てを解説

日本の公的年金は2階建て構造1/2

日本の公的年金は2階建ての構造

出所:日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」などをもとにLIMO編集部作成

日本の公的年金は、原則として20歳以上60歳未満の方が加入する「国民年金(1階部分)」と、会社員や公務員などが上乗せで加入する「厚生年金(2階部分)」の2階建て構造になっています。

  • 国民年金(1階部分): 加入者全員が一律の保険料を納め、納付期間に応じて将来の受給額が決まります。
  • 厚生年金(2階部分): 給与や賞与などの報酬に比例して保険料が決まり、現役時代の収入と加入期間に応じて将来の年金額が上乗せされます。

老後に受け取るトータルの年金額は、現役時代の働き方や収入によって個人差が大きく現れる仕組みです。

3. 【女性の厚生年金】月15万円以上もらえるのは約12.3%!男女差の実態

厚生労働省年金局が公表した「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によれば、厚生年金(老齢基礎年金を含む)の平均受給額は、月額で全体平均15万289円です。

しかし、男女別にみると大きな開きがあります。

3.1 厚生年金の平均受給額はいくら?男女別の金額を確認

  • 全体平均:15万289円
  • 男性平均:16万9967円
  • 女性平均:11万1413円

実際に、女性の中で月額15万円以上の年金を受け取っているのは約12.3%にすぎません。

一方で男性は約68.8%が月額15万円以上を受け取っており、男女間で顕著な差が存在します。受給額の分布を見ると、女性で最も人数が多いのは「月額10万円以上~11万円未満」の層となっています。

この背景には、女性が結婚や出産、育児、親の介護といったライフイベントを機に働き方を変える(離職や時短勤務、パートタイムへの転換など)ことが多く、厚生年金の加入期間や収入が男性よりも短く・低くなりやすい事情が影響していると考えられます。

4. 筆者コメント

菅原 美優

日々のニュースで物価高や老後資金の話題を目にするたび、「自分の老後は大丈夫だろうか」と漠然とした不安を抱く方は多いのではないでしょうか。

そこでぜひ知っておきたいのが、毎年誕生月に届く「ねんきん定期便」の確認ポイント。

実はねんきん定期便、年齢によって見方が異なるのをご存じですか?

50歳未満の方には「これまで納めた実績に基づく金額」が載っているため少なく見えがちですが、50歳以上になると「今の働き方を60歳まで続けた場合の見込額」へと変わり、よりリアルな老後の収入目安が確認できるようになります。

漠然とした不安を解消する第一歩として、まずはご自身の現在地を把握してみてはいかがでしょうか。