5. 70歳代の3人に1人が就業。データで見るシニア世代の働き方の変化
内閣府「令和7年版高齢社会白書」によると、高齢者の就業率は全体として上昇傾向にあります。
75歳以上では就業率に大きな変化は見られない一方で、65~69歳は53.6%、70~74歳は35.1%となっており、多くの人が高齢期も働いています。
また、「何歳ごろまで収入を伴う仕事を続けたいか」という設問では、「65歳くらいまで」が23.7%で最も高く、次いで「働けるうちはいつまでも」が22.4%となっています。
さらに、現在収入を得る仕事に就いている人に限定すると、「働けるうちはいつまでも」と回答した人は33.5%を占めています。
就労を続ける背景は人それぞれですが、高齢期も仕事を続ける人は増えており、シニア世代の就業率は今後も高い水準で推移していくことが見込まれます。
6. 60歳代・70歳代《金融資産保有目的のトップ3》とは?
J-FLEC(金融経済教育推進機構)の「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」によると、本格的な年金生活を送る70歳代・二人以上世帯の金融資産保有額は、平均2416万円、中央値1178万円となっています。
一部の富裕層が平均を押し上げていると同時に、「金融資産非保有(貯蓄ゼロ)」の世帯が10.9%存在する一方で、「3000万円以上」のゆとりある世帯が25.2%を占めるなど、現役時代の備えによる世帯間の二極化も浮き彫りになっています。
では、こうした金融資産を保有しているシニア世代は、そのお金を将来何に使おうと考えているのでしょうか。
同調査から、「金融資産の保有目的」を60歳代・70歳代(金融資産保有世帯)のデータで見てみましょう。
6.1 60歳代の金融資産保有目的トップ3(複数回答)
- 1位:老後の生活資金(73.6%)
- 2位:病気や不時の災害への備え(52.9%)
- 3位:旅行、レジャーの資金(21.5%)
6.2 70歳代の金融資産保有目的トップ3(複数回答)
- 1位:老後の生活資金(71.3%)
- 2位:病気や不時の災害への備え(59.2%)
- 3位:旅行、レジャーの資金(21.9%)
両年代ともに「老後の生活資金」が7割を超えてトップに。
また、「病気や不時の災害への備え」を挙げる人も半数以上おり、特に70歳代では約6割(59.2%)と60歳代よりやや高くなっています。
長寿化が進むなか、健康リスクや介護などへの不安から、万が一の事態に備えて手元に資金を残しておきたいという防衛意識が強く働いていることがうかがえます。
一方で、「旅行、レジャーの資金」も2割を超えており、セカンドライフを楽しむための「生きたお金の使い方」を意識している層も一定数存在します。
なお、「遺産として子孫に残す」と回答した割合は、60歳代で10.5%、70歳代で13.6%にとどまっており、子どもに資産を残すことよりも、まずは自分たちの生活や安心を最優先している実態が浮かび上がってきます。
7. 【まとめ】「年金+α」で備える、老後の安心に向けた資産形成と働き方
今回は、現在のシニア世代の暮らしぶりを「家計収支」「貯蓄額」「就業率」、そして「貯蓄二極化と保有目的」のデータから確認してきました。
2026年度の年金は4年連続で増額されましたが、長引く物価高により「年金だけでは生活が苦しい」と感じるシニア世帯が多いのが現実です。
年金だけで生活費をカバーしきれない場合、不足分は貯蓄を取り崩すか労働収入で補うことになります。実際に65歳以降も働き続けるシニア層は増えており、「長く働くこと」は家計を支える重要な選択肢です。
一方で、70歳代のデータが示すように、十分な貯蓄を持つ層と貯蓄ゼロの層の二極化が進んでおり、現役時代の備えが老後の安心感を大きく左右します。
また、貯蓄があっても「病気や災害への備え」として抱え込み、なかなか消費に回せないというシニアのリアルな心理も見えてきました。
安心した老後を迎えるためには、まずは「ねんきん定期便」などでご自身の年金見込額を正確に把握することが第一歩です。
その上で、現役時代からの計画的な資産形成と、長く働くための健康づくりという「両輪」で準備を進めていくことが不可欠と言えるでしょう。

