「貯蓄4000万円以上の世帯」と聞くと、ごく一部の富裕層だけを思い浮かべる人も多いかもしれません。

では、実際にはどのくらいの世帯がそれだけの資産を保有しているのでしょうか。

中本 智恵

銀行の窓口でも、「うちの貯蓄は平均より少ないから将来が不安」というご相談を数多くいただいてきました。ただ、平均値は一部の高額資産保有世帯に大きく引き上げられていることが多く、中央値や分布まで見てみると印象が変わることも少なくありません。まずは客観的なデータで、自分の家計がどのあたりに位置しているのかを確認してみましょう。

本記事では、総務省の最新データをもとに、全世帯と勤労者世帯の平均・中央値、4000万円以上の貯蓄を保有する世帯の割合、さらに純貯蓄額と年収の関係について詳しく見ていきます。

1. この記事の3つのポイント

  •  二人以上世帯の平均貯蓄額は2059万円だが、中央値は1264万円にとどまり、平均値との差は約800万円
  •  貯蓄4000万円以上を保有する世帯は全世帯の15.2%、勤労者世帯では10.9%
  •  純貯蓄額が多い世帯ほど年収も高い傾向があるが、年金生活世帯なども含む全世帯では必ずしも連動しない

2. 全世帯・働く世帯の平均貯蓄額はいくら?

総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)2025年(令和7年)平均結果の概要」をもとに、二人以上世帯の平均貯蓄額と中央値を確認してみましょう。

2.1 全世帯の平均・中央値

  • 平均値:2059万円
  • 貯蓄保有世帯の中央値:1264万円
  • 貯蓄現在高が「0」の世帯を含めた中央値:1167万円

全世帯では、平均貯蓄額が2059万円となっています。

一方で、中央値は1264万円(貯蓄ゼロ世帯を含めると1167万円)となっており、平均値との差は約800万円あります。

これは、一部の高額な金融資産を保有する世帯が平均値を押し上げているためです。

そのため、「平均貯蓄額=一般的な家庭の貯蓄額」と考えるのではなく、中央値もあわせて確認することが実態を把握するうえで重要です。

2.2 働く世帯の平均・中央値

  • 平均値:1717万円
  • 貯蓄保有世帯の中央値:1015万円
  • 貯蓄現在高が「0」の世帯を含めた中央値:964万円

勤労者世帯では、平均貯蓄額は1717万円と、全世帯より342万円低い水準となっています。

中央値も1015万円(貯蓄ゼロ世帯を含めると964万円)で、全世帯より低くなっています。

現役世代は住宅ローンの返済や教育費などの支出が重なりやすい時期でもあるため、リタイア後の世帯を含む全世帯と比べると、貯蓄額が低くなる傾向がみられます。

では、実際に4000万円以上の貯蓄を保有している世帯は、どの程度いるのでしょうか。

中本 智恵

平均値と中央値の差が800万円近くあるという事実は、意外に感じる方も多いのではないでしょうか。「平均以下だから遅れている」と焦る必要はなく、中央値や自分に近い世帯属性のデータと比較する視点を持つことが大切です。

3. 貯蓄4000万円以上ある世帯は何パーセント?

総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)2025年(令和7年)平均結果の概要(二人以上の世帯)」をもとに、貯蓄額ごとの世帯割合を見ていきます。

3.1 【全世帯】貯蓄4000万円以上の割合

  • 100万円未満:10.1%
  • 100~200万円未満:5.4%
  • 200~300万円未満:4.8%
  • 300~400万円未満:3.8%
  • 400~500万円未満:4.1%
  • 500~600万円未満:4.2%
  • 600~700万円未満:3.4%
  • 700~800万円未満:3.3%
  • 800~900万円未満:3.1%
  • 900~1000万円未満:2.5%
  • 1000~1200万円未満:5.8%
  • 1200~1400万円未満:4.3%
  • 1400~1600万円未満:4.3%
  • 1600~1800万円未満:3.1%
  • 1800~2000万円未満:3.1%
  • 2000~2500万円未満:7.0%
  • 2500~3000万円未満:5.2%
  • 3000~4000万円未満:7.5%
  • 4000万円以上:15.2%

貯蓄額の分布を見ると、最も多いのは「4000万円以上」の15.2%で、次いで「100万円未満」の10.1%となっています。

また、2000万円以上の貯蓄を保有する世帯は全体の34.9%を占めており、高額な金融資産を保有する世帯が一定数存在していることが分かります。

一方で、平均貯蓄額は2059万円ですが、2000万円未満の世帯は全体の65.1%を占めています。

平均値は高額資産保有世帯の影響を受けやすいため、「平均以上の貯蓄がある世帯が多数派」というわけではありません。

なお、この全世帯には現役世代だけでなく、長年資産を形成してきた年金生活世帯なども含まれています。

では、働いている世帯だけに限定すると、分布はどのように変わるのでしょうか。

3.2 【働く世帯】貯蓄4000万円以上の割合

  • 100万円未満:11.2%
  • 100~200万円未満:6.5%
  • 200~300万円未満:5.6%
  • 300~400万円未満:4.5%
  • 400~500万円未満:4.8%
  • 500~600万円未満:4.8%
  • 600~700万円未満:3.8%
  • 700~800万円未満:3.6%
  • 800~900万円未満:3.3%
  • 900~1000万円未満:2.7%
  • 1000~1200万円未満:6.0%
  • 1200~1400万円未満:4.6%
  • 1400~1600万円未満:4.3%
  • 1600~1800万円未満:3.2%
  • 1800~2000万円未満:3.2%
  • 2000~2500万円未満:6.3%
  • 2500~3000万円未満:4.6%
  • 3000~4000万円未満:6.3%
  • 4000万円以上:10.9%

勤労者世帯では、「4000万円以上」の割合は10.9%となり、全世帯の15.2%を下回っています。

また、2000万円以上の貯蓄を保有する世帯の割合も28.1%と、全世帯の34.9%より低い結果となりました。

一方で、「100万円未満」の世帯は11.2%と、全世帯(10.1%)よりやや高くなっています。

平均貯蓄額も1717万円と全世帯より約340万円低く、教育費や住宅ローン、子育てなど支出が大きくなりやすい現役世代の家計事情が反映されていると考えられます。

このように、同じ「二人以上世帯」でも、働いているかどうかによって貯蓄額の分布には違いがみられます。

平均額だけを見るのではなく、自分と近い属性のデータを参考にすることで、より実態に近い比較ができるでしょう。

中本 智恵

「4000万円以上」の世帯が15.2%というのは、想像より多いと感じる方もいるかもしれません。ただ裏を返せば、残り84.8%はそれ未満ということでもあります。他人と比べて焦る必要はなく、自分の世帯属性に近いデータを目安にすることをおすすめします。