英国がEU離脱しても日本経済は大丈夫。むしろ漁夫の利も!?

それ以上にインセンティブを持っているのが、経常収支赤字国です。経常収支赤字国がユーロを脱退すると、輸入するたびに外貨であるユーロを購入しなければなりません。そうなると、ユーロは次第に値上がりしていくでしょう。

そうなると、ユーロ建てで借金をしている会社は辛くなります。経常収支が赤字だということは、国全体として過去の赤字分を海外からユーロ建てで借りているということですから、ユーロ建ての借金をしている会社は多いはずなのです。

「次第にユーロが高くなっていくならば、早めに返そう」と考えた会社がユーロ建ての借金を返すとします。そのためにはユーロを買う必要があるので、ユーロが一層高くなります。

それを見た他社が、「先に返さないと、ユーロがどんどん値上がりしてしまう。自分も早く返そう」と考えて返済を急ぐと、ユーロが急激に高くなり。最後の会社はユーロ建ての借金を返済できずに倒産してしまうかもしれません。

そうしたことまで考えると、経常収支赤字国はユーロ圏から抜けるわけに行かず、したがってEUからも抜けられない、というわけですね。

本稿は以上です。なお、本稿は筆者の個人的な見解であり、筆者の属する組織その他の見解ではありません。また、厳密さより理解の容易さを優先しているため、細部が事実と異なる場合があります。ご了承ください。

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塚崎 公義

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執筆者
塚崎 公義

1981年 東京大学法学部卒業、日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。おもに経済調査関連業務に従事した後、2005年に退職し、久留米大学へ。現在は久留米大学商学部教授であるが、当サイトへの寄稿は勤務先と関係なく個人として行なっているため、現職は経済評論家と表記したものである。【近著】なんだ、そうなのか! 経済入門』『老後破産しないためのお金の教科書』『経済暴論: 誰も言わなかった「社会とマネー」の奇怪な正体』『一番わかりやすい日本経済入門』『日本経済が黄金期に入ったこれだけの理由【雑誌寄稿等】Facebook、NewsPicks、アメブロ等にて適宜ご紹介