うだるような暑さが続く中、間もなくお盆のシーズンを迎えます。帰省の計画を立てたり、お墓参りの準備を進めたりしている方も多いのではないでしょうか。

久しぶりに家族や親族と顔を合わせる機会は貴重ですが、年齢を重ねるにつれ、胸の奥に「ある気がかり」が芽生えることはありませんか。それは、「実家の財産や、お墓の行く末」についてです。

筆者自身はすでに両親の看取りを終えていますが、周囲の同世代と話していても「親の預貯金がどうなっているか全く知らない」「お墓の管理を誰が継ぐのか、どう切り出していいか悩んでいる」といったリアルな悩みを聞く機会が非常に増えました。

人生100年時代、50歳代・60歳代はご自身の老後資金作りに追われる一方で、親世代の介護や相続という重いバトンを受け取る人が多い時期でもあります。

自分が実家の整理や様々な手続きで大変さを実感したからこそ、「自分の子どもたちには同じ苦労を背負わせたくない」と考える方が増えるのもごく自然なことです。

本記事では、ご家族が集まるお盆をきっかけに共有しておきたい「お墓や供養の現実」と、将来の備えのベースとなる50〜60歳代(二人以上世帯)の「最新の貯蓄事情」を整理します。

1. 自身の供養方法を意識するのは「60歳代」が最多。でも親とは話し合えていない現実

供養やお墓のことについて、世間の皆さんはいつ頃から考え始め、ご家族とどの程度話し合っているのでしょうか。

株式会社NEXERと遺骨供養ウーナが共同で全国の男女500名を対象に実施した「供養方法に関するアンケート」(2026年7月7日公表)によると、「自身の供養方法について意識し始める年齢」は「60歳代」が32.0%で最多となりました。

次いで「70歳代以上」が25.4%、「50歳代」が20.8%となっており、約8割の人が50代以降に意識し始めていることがわかります。

一方で、親世代に「供養方法の希望」を聞いておきたい・聞いておくべきかという問いに対しては、「ぜひ聞いておきたいし、すでに話し合っている」と回答した人はわずか14.6%にとどまりました。

最も多かったのは「あえて聞く必要はないと思う」(34.8%)で、次いで「聞いておくべきだとは思うが、なかなか言い出しにくい」(28.0%)、「聞いておくべきかどうか、正直わからない」(22.6%)と続きます。

必要性を感じていても、実際には具体的な話し合いができていない家庭が多いようですね。

2. 子ども世代の負担を減らすために。「墓じまい」への関心が高まる背景

親の相続や実家の片付けを経験・意識する年代だからこそ、「自分の子どもには同じ負担をかけたくない」と考える人も少なくありません。

そうした考え方を反映するものとして、「墓じまい」への関心が高まっています。

全国石製品協同組合が40歳代〜70歳代を対象に実施したアンケート結果を見てみましょう。

2.1 60歳代では半数以上が「墓じまい」に関心

40歳代~70歳以上「墓じまいへの意識」2/4

墓じまいの経験・検討中・将来検討可能の比率

出所:全石協 「墓じまい」に関するアンケート調査を実施

墓じまいについて「経験した」「検討している」「将来的に検討する可能性がある」と回答した人は全体で42.8%でした。

年代別では、50歳代が35.8%、60歳代は53.2%となり、60歳代では半数以上が墓じまいに関心を示しています。

高齢化による管理の負担に加え、終活やお墓の承継を考える時期を迎えることが、関心の高まりにつながっていると考えられます。

2.2 検討理由で最も多いのは「管理やお参りが大変」

墓じまいを考えるきっかけとして最も多かった回答は、「今あるお墓の管理やお参りが大変」(21.0%)でした。

遠方に住んでいることや承継者がいないことなど、生活環境の変化が背景にあると考えられます。

2.3 相談するきっかけは「終活を始めたとき」

相談するタイミングについては、「誰にも相談しないのでわからない(37.0%)」が最も多い結果でした。

一方で、「自分が終活をはじめた時(21.2%)」「家族が亡くなった時(13.4%)」という回答も多く、自身のセカンドライフを見据えた終活の一環として墓じまいを考える人が一定数いることがうかがえます。

3. 50歳代・60歳代の貯蓄額はどのくらい?

セカンドライフを迎える前後の世代では、どの程度の資産を保有しているのでしょうか。

供養や墓じまい、相続の準備にも当然「お金」がかかるため、ご自身の老後資金の現在地を知っておくことは重要です。

J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」をもとに、二人以上世帯の金融資産保有額を確認します。

なお、ここでいう金融資産には、日常生活の支払いに備える普通預金などは含まれていません。

3.1 50歳代・二人以上世帯の貯蓄額はいくら?

50歳代・二人以上世帯の金融資産保有額3/4

50歳代・二人以上世帯の金融資産保有額

出所:J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」をもとにLIMO編集部作成

  • 金融資産非保有:18.2%
  • 100万円未満:6.5%
  • 100万〜200万円未満:6.4%
  • 200万〜300万円未満:4.1%
  • 300万〜400万円未満:3.5%
  • 400万〜500万円未満:2.2%
  • 500万〜700万円未満:6.7%
  • 700万〜1000万円未満:7.7%
  • 1000万〜1500万円未満:9.3%
  • 1500万〜2000万円未満:6.1%
  • 2000万〜3000万円未満:8.1%
  • 3000万円以上:18.8%
  • 無回答:2.2%

平均・中央値

  • 平均:1908万円
  • 中央値:700万円

50歳代では、平均金融資産額が1908万円となっており、老後に向けて資産形成を進めている世帯があることが分かります。

一方で、金融資産を保有していない世帯は18.2%と、およそ5世帯に1世帯の割合です。

教育費の負担や親の介護など、50歳代特有の支出が家計へ影響していることも考えられます。

3.2 60歳代・二人以上世帯の貯蓄額はいくら?

  • 金融資産非保有:12.8%
  • 100万円未満:4.7%
  • 100万〜200万円未満:3.9%
  • 200万〜300万円未満:3.0%
  • 300万〜400万円未満:2.8%
  • 400万〜500万円未満:1.8%
  • 500万〜700万円未満:6.2%
  • 700万〜1000万円未満:6.3%
  • 1000万〜1500万円未満:8.9%
  • 1500万〜2000万円未満:8.0%
  • 2000万〜3000万円未満:12.4%
  • 3000万円以上:27.2%
  • 無回答:2.0%

平均・中央値

  • 平均:2683万円
  • 中央値:1400万円

60歳代では、退職金などの影響もあり、平均・中央値ともに50歳代より高くなっています。

ただし、平均額は一部の高額な金融資産を保有する世帯の影響を受けやすいため、実態を把握する際は中央値の1400万円も参考になります。

一方で、定年退職を迎える年代でも、金融資産を保有していない世帯は12.8%あります。

年齢を重ねれば自然に資産が増えるわけではなく、世帯によって資産状況には大きな差があることが分かります。

4. 遺産トラブルの約8割は「5000万円以下」の家庭で起きている

老後資金の準備とあわせて、親からの相続についても早めに意識しておきたいところです。

「財産がそれほど多くない家庭なら相続でもめることはない」と思われがちですが、実際のデータは異なる傾向を示しています。

最高裁判所「令和6年 司法統計年報(家事編)」によると、家庭裁判所で成立した遺産分割事件のうち、遺産総額5000万円以下のケースが約78%を占めています。

この結果からは、多額の資産を保有する家庭だけでなく、自宅や預貯金などが中心の一般的な家庭でも、相続トラブルが起こり得ることがわかります。

親の財産内容を把握しないまま相続を迎えると、遺産分割の協議が長期化し、精神面・経済面の負担につながる可能性もあるでしょう。

5. まとめにかえて:お盆の集まりを「これからの家族」を考える第一歩に

50歳代や60歳代は、親のライフステージの変化を支えつつ、ご自身も定年やセカンドライフという大きな転換期を迎える多忙な世代です。

老後資金をしっかり確保していくことはもちろん最優先ですが、それと同じくらい「負の遺産」になりかねないお墓の問題や、実家の財産整理をどう進めるかも、将来の安心を大きく左右します。

記事内で触れたように、墓じまいなどの生前整理には決して安くはない費用が発生します。「自分たちの老後にいくら必要か(貯蓄の現在地)」と「親や自分のお墓・財産をどう着地させるか(終活)」は、まさに表裏一体の課題と言えるでしょう。

せっかくご家族が集まるお盆休み。いきなり深刻な相続話やお金の話をするのはハードルが高いかもしれませんが、「最近、お墓の草むしりも大変になってきたね」「終活っていつから始めるものかな」と、世間話の延長で軽く水を向けてみるのも良いですね。

元気なうちに家族で方向性を共有し、お金と終活の計画を立てていきましょう。

参考資料