長いゼロ金利時代が終わり、ついに「金利のある世界」が戻ってきました。
筆者が銀行員だった頃は低金利だったので、「固定か変動か」のご相談はそれほど多くありませんでした。
しかし「住宅ローンは変動金利一択」とも言われていたムードは一変。これからローンを組む方はもちろん、現在返済中の方も「これからどうなるのだろう」と不安を感じているのではないでしょうか。
ゼロ金利解除以降、想定以上のスピードで進む金利上昇を前に、「月々の返済額が増えたら払い続けられるだろうか…」と悩む人は少なくないはずです。
そこで本記事では、現実的なリスクを把握するために以下の条件でシミュレーションを実施しました。
- ローン残高: 6000万円
- 残り返済期間: 30年
- 現在の適用金利: 0.4%
「もし、これから変動金利が0.5%上がったら、月々の負担はいくら増えるのか?」
将来の家計収支を考える際の参考にご覧ください。
1. 固定金利(フラット35)はすでに上昇している
変動金利から借り換える際の主な候補となる固定金利は、一般的に変動金利よりも先に動き始めるという特徴を持っています。
ここでは、全期間固定型住宅ローンの代表的な存在である「フラット35」の金利水準について確認しておきましょう。
上記のグラフからも読み取れるように、住宅ローンの固定金利は全体として上昇傾向が続いています。
実際にフラット35の直近の金利水準を見てみると、最低金利は3.14%、最高金利は5.4%という結果になっています。
2. 金利0.5%上昇で月々の返済額がいくら増えるかシミュレーション
シミュレーション結果2/2
LIMO編集部作成
それでは、実際に金利が上昇した際の影響額について、具体的な数値を当てはめて試算してみましょう。
今回のシミュレーションに用いた条件と、計算によって導き出された結果は以下の通りです。
- ローン残高:60,000,000円 (6,000万円)
- 残り返済期間:30年
- 現在の金利:0.4%
- 金利上昇幅:+0.5%
- 現在の月々返済額:176,894円
- 上昇後の月々返済額:190,240円
- 月々の負担増:13,346円
- 返済額の上昇率:7.5%アップ
※元利均等返済
現在0.4%の金利で月々176,894円を返済している場合、金利が0.5%上がると毎月の支払額は190,240円に増加します。
これにより月々の負担増は13,346円となり、返済額の上昇率は7.5%アップするという結果になりました。
3. 変動金利のセーフティネット「5年ルール」と「125%ルール」
変動金利タイプの住宅ローンを契約する際、急激な負担増を防ぐ仕組みとして知っておくべきなのが「5年ルール」と「125%ルール」です。
5年ルールとは金利が変わっても5年間は返済額を据え置く制度で、125%ルールは変更後の返済額を従来の1.25倍までに抑える制度を指します。
3.1 メリット
これらのルールの最大の利点は、市場の金利が急激に上昇したとしても、毎月の返済額がすぐに大きく変動しないことにあります。
子どもの教育費などで支出がかさむ時期でも家計の急変を避けやすく、中長期的な視点での返済計画を立てやすいのが魅力です。
3.2 デメリットと未払利息の注意点
毎月の返済額が抑えられたとしても、実際に支払うべき利息負担や住宅ローンの総返済額が減るわけではありません。
金利が大幅に上がると、毎月の返済額がすべて利息の支払いに充てられて元金が減らなくなる事態に陥る恐れがあります。
その結果、支払い切れなかった利息分は「未払利息」としてどんどん蓄積されていくことになります。
この未払利息は最終返済日に一括で請求されるため、老後の蓄えを失ったり、最悪の場合は自宅の売却を余儀なくされたりするリスクがある点に注意が必要です。
3.3 ルールの有無の確認
これらの保護ルールは「元利均等返済」を選択した場合のみ適用され、「元金均等返済」を選んだケースでは対象外となります。
さらに、金融機関によってはそもそもこのルールを導入していない場合もあるため、事前の確認が欠かせません。
ルールがない場合は金利上昇がダイレクトに毎月の返済額へ影響しますが、その代わり未払利息が膨らむリスクを避けることができます。
ご自身がローンを契約する前に、利用する金融機関でルールの取り扱いがどのようになっているかを必ずチェックしておきましょう。
4. まとめ
今回のシミュレーション条件(ローン残高6,000万円・残り30年・現在の金利0.4%)の場合、変動金利が0.5%上昇すると、月々の返済額は13,346円増加します。
この増額が現在~将来の家計に大きく影響する場合には、固定金利への借り換えが視野に入ってきます。
4.1 固定金利への借り換えに伴う「デメリット」と「メリット」
一般的に住宅ローンの金利は「固定金利 > 変動金利」となるため、固定金利に借り換えることで、これまでよりも毎月の返済額が増えることは避けられないと考えておきましょう。
しかし、固定金利への切り替えには次のような大きなメリットもあります。
月々の返済額が確定するため、将来の金利変動に一喜一憂する必要がなくなります。
また、将来的な負担増のリスクを排除できるため、長期的なライフプランが立てやすくなります。
借り換えの際には手数料がかかる点にも留意しましょう。
4.2 固定金利へ切り替えるべきかの判断基準
変動金利から固定金利へ切り替えるべきかどうかは、現在の収支や資産状況、今後のライフプランなどによって一人ひとり異なります。
まずは、将来的に金利が上昇した際、「返済額の負担増が家計の収支バランスを崩さないか」を事前にシミュレーションし、リスクに備えておくことが大切です。
【免責事項】
本記事に掲載されている情報やシミュレーション結果は、試算条件に基づく一例であり、将来の金利動向や特定の金融商品の勧誘を保証・目的とするものではありません。実際の融資条件、金利、および返済額は金融機関や個人の契約状況によって異なります。住宅ローンの選択や契約に際しては、必ず各金融機関の最新の規定や情報を確認し、ご自身の責任においてご判断ください。
参考資料
和田 直子