6月11日に株式会社帝国データバンクが公表した「2026年夏季賞与の動向アンケート」によると、2026年夏のボーナス(正社員1人あたりの平均支給額)は前年比1万8000円増の「47万7000円」となり、企業の待遇改善を背景に増加傾向にあります。
手元に入る一時金や毎月の余剰資金を、なんとなく銀行の普通預金口座に入れたままにしていませんか。物価上昇が長引く今、低金利の口座にお金をただ寝かせておくと、投資信託で運用した場合と比べて大きな格差が生まれる可能性があります。
特に、仕事や家庭の責任がピークを迎える一方で、いよいよリタイア後の生活が現実味を帯びてくる「45歳」は、老後資金づくりのラストスパートともいえる時期です。
そのような状況下で、将来に向けた資金づくりの有力な手段として関心を集めているのが「新NISA」です。
運用益が非課税になる新NISAは、長期的な資産形成を後押しする非常に有利な制度ですが、その仕組みやメリットを正しく把握していなければ、効果を最大限に享受することはできません。
また、将来の資産額がどのように推移するかは、毎月の積立額や運用の利回り、運用期間によって大きく左右されます。
本記事では、証券外務員一種の資格を持ち、前職のスポーツ紙記者時代から「データに基づいた客観的な事実」を伝えることを大切にしてきた筆者が、45歳から65歳までの20年間、新NISAを活用して「毎月5万円」をコツコツ積み立てた場合の運用成果を徹底シミュレーションします。
年利回り別(1%〜5%)に、65歳時点で手元に残る資産額を一読して分かるように解説します。
※本記事で行うシミュレーションにおいて、累計の投資総額がNISAの生涯非課税保有限度額(総枠1,800万円)を超える場合、その超過分については課税対象(課税口座での運用)となりますのであらかじめご留意ください。
※投資信託は元本割れのリスクがあります。また運用成果は後にならなければわからないのであらかじめご留意ください。
1. 押さえておきたい!新NISAが持つ「メリット」の基本
個人の資産形成を後押しする制度として2014年に始まったNISAは、2024年の抜本的な制度改正を経て「新NISA」へと生まれ変わりました。
この制度を利用する一番の利点は、投資から得られる運用益に税金がかからない点です。
一般的な投資では利益や配当に対して約20%の課税がなされますが、新NISA口座での運用であれば税金が差し引かれず、利益のすべてを手元に残すことができます。
ただし、投資できる金額や対象商品には一定のルールがあるため、あらかじめ制度の内容を理解しておくことが重要です。
1.1 「新NISA」で押さえておきたい6つの特徴
「新NISA」の主なポイントは以下の6点です。
- 非課税保有期間は無期限
- 「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の併用が可能
- 年間投資枠は、つみたて投資枠「年間120万円」・成長投資枠「年間240万円」
- 非課税保有限度額は1800万円(内、成長投資枠1200万円)※枠の再利用可能
- つみたて投資枠の投資対象商品は「長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託」
- 成長投資枠の対象商品は「上場株式・投資信託等」
「投資」と聞くと大きな資金必要だと思われがちですが、現在は500円や1000円といった少額から始められる商品も増えています。
NISAを活用することで、投資信託や株式にも少額から取り組めるため、初心者でも始めやすい制度といえるでしょう。
次章では、毎月の積立を続けた場合に、将来どの程度の資産が形成できるのかをシミュレーションしていきます。
2. 【利回り別】45歳から65歳「毎月5万円」で積立投資を行った場合
ここでは、以下の前提条件をもとに、NISAを利用して積立投資を行った場合、どの程度の資産形成が期待できるのかを確認します。
- 45歳から65歳までの20年間で老後資金をつくる
- 積立額は毎月5万円
- 投資信託で利回り年1~5%を想定
2.1 【試算結果を見る】「毎月5万円」×20年×「年1〜5%」で積立投資
【新NISA】想定利回り別「月5万円」積立投資シミュレーション結果

出所:金融庁「つみたてシミュレーター」をもとにLIMO編集部作成
想定利回り:資産評価額(元本部分は1200万円)
- 年1%:1327万円
- 年2%:1471万円
- 年3%:1634万円
- 年4%:1819万円
- 年5%:2029万円
20年間にわたって毎月5万円を積み立てた場合、最終的には1000万円を超える資産形成が見込まれます。
元本は合計1200万円ですが、運用状況によっては約127万円〜最大829万円ほどの利益が加わる可能性があります。
ただし、投資にはリスクが伴い、期待リターンが高くなるほどリスクも大きくなるため、その点を理解したうえで活用することが重要です。
3. 【積立額別】20年間で「2000万円」を目指す場合
老後に必要な資金は家庭ごとに異なりますが、ここでは2000万円を目標としたケースを想定します。
45歳から65歳までの20年間でこの金額を準備するには、毎月どの程度の積立が必要になるのかを試算します。
3.1 【試算結果を見る】「20年間」×5%で積立投資
【新NISA】積立金額別「想定利回り5%」積立投資シミュレーション結果

出所:金融庁「つみたてシミュレーター」をもとにLIMO編集部作成
毎月の積立金額:資産評価額
- 3万円:1217万円
- 4万円:1623万円
- 5万円:2029万円
- 6万円:2435万円
- 7万円:2841万円
※想定利回り:年5%
試算の結果、年利5%で20年間運用した場合、毎月5万円を積み立てることで2000万円を超える資産形成が可能となります。
ただし、月5万円の積立は負担に感じる場合もあり、また利回りも確実ではないため、想定通りに資産が増えない可能性がある点には注意が必要です。
そのため、老後資金の準備は計画的に進めることが重要です。
今回の試算の通り、45歳から65歳までの20年間、年利5%で運用を続けることができれば、毎月5万円の積立で目標である2000万円(評価額2029万円)を達成できます。
このように、積立期間を長く確保することで、毎月の負担を軽減しながら効率的に資産形成を進めることができます。
4. 【ステップアップの資産形成】収入の変化に応じて積立額を徐々に増やす方法
最初は少ない金額から投資をスタートし、将来的に余力ができたら積立額を増やしていきたいと計画する方も少なくありません。
そうしたケースでは、ライフステージや収入の増加に合わせて段階的に投資額を引き上げていく手法が効果的です。
一例として、最初は月1万円から開始し、5年が経過するごとに2万円ずつ積立額を増やしていくと、25年間で総額1500万円の投資元本を積み立てることが可能になります。
これを年利3%で運用できた場合、最終的な資産総額は約1958万円に達し、投資元本の約1.3倍にまで膨らむ計算です。
このやり方は、初期の経済的負担を抑えつつ無理なく継続できる点が大きなメリットです。収入が上がったタイミングで投資に回す金額を増やすことで、現在の生活水準を大きく損なうことなく、効率の良い資産形成が期待できます。
長期にわたる資産運用において最も大切なのは「途中でやめずに継続すること」です。
まずは少額から始め、余裕が出てきたら積立額を見直すことで、現実的かつ着実に資産を増やしていきましょう。
5. 新NISAのポテンシャルを引き出す「非課税メリット」と「長期積立」のシナジー
今回は、夏のボーナス増額という明るい話題を入り口に、45歳から65歳までの20年間「毎月5万円」を新NISAで積み立てた場合の利回り別シミュレーションをご紹介しました。
新NISAは、運用で得た利益に対して税金がかからないため、効率的な資産づくりを強力にサポートしてくれる制度です。ただし、その恩恵を十分に得るためには、制度の仕組みを正しく把握した上で、自身の状況に合わせた積立額や運用期間を設定することが重要になります。
投資にはリスクも伴いますが、20年という長期にわたって「長期・積立・分散」を徹底できれば、想定される利回りや毎月の投資金額によって将来手元に残る資産額には大きな差が生じます。
「45歳からではもう遅い」ということはありません。投資に伴うリスクをしっかりと頭に入れながら、自分に適したペースで息長く続けていくことこそが、将来豊かな資産を築くための鍵となるでしょう。
【免責事項】
- 本記事は、公開されている公的資料および一般的な情報に基づき作成されたものであり、特定の制度・金融商品・投資行動を推奨するものではありません。
- 掲載している数値・制度内容・シミュレーション結果は、一定の前提条件のもとでの試算または一般的な事例であり、実際の金額・支給要件・税制・運用成果等を保証するものではありません。制度内容は法改正・自治体運用・経済状況等により変更される可能性があります。
- 投資に関する記述は、将来の運用成果を示唆または保証するものではなく、元本割れを含むリスクが存在します。本記事上の情報に起因、また関連して生じた損害や損失に関しては一切の責任を負いません。最終的な投資判断は、ご自身の責任において行ってください。
参考資料
中井 里穂