2026年も後半に入り、新NISAでの資産形成を本格化させたいものの、オルカンとS&P500のどちらを選ぶべきか悩んでいる方もいるのではないでしょうか。投資への関心が高まる中、自分に合った銘柄選びは重要なテーマです。
筆者はファイナンシャルプランナーとして、これまで多くのお客様の家計相談をお受けしてきましたが、「実際、オルカンとS&P500のどちらを選んだらいいの?」と悩まれる方を数多く見てきました。独立系FPとして公正中立な立場にあるため、特定の個別銘柄を推奨することはありませんが、各ファンドの一般的な考え方や、ご自身に合った銘柄を選ぶ際のポイントなどをお伝えしてきました。
今回はそうした実務経験を踏まえ、最新の運用実績や、毎月3万〜10万円を20年間積み立てたシミュレーション結果をもとに、それぞれの最終到達額を解説します。
1. 【オルカン vs S&P500】特徴・投資対象など比較してみる
どちらも特定の株価指数に連動した運用成果を目指す「インデックスファンド」という点で共通するオルカンとS&P500ですが、両者には投資対象の範囲に大きな違いがあります。
1.1 eMAXIS Slim 全世界株式(オルカン)の概要
オルカンは「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」という投資信託の愛称です。
この名の通り、日本をはじめとする先進国や新興国など、世界中の株式約3000銘柄以上に幅広く分散して投資を行います。
上位10カ国・地域の構成比率(2026年5月29日時点)
- アメリカ 62.4%
- 日本 5.0%
- イギリス 3.1%
- 台湾 3.0%
- カナダ 2.9%
- 韓国 2.7%
- フランス 2.0%
- スイス 1.9%
- ドイツ 1.9%
- オーストラリア 1.3%
上位10銘柄の構成比率(2026年5月29日時点)
- NVIDIA CORP アメリカ 情報技術 4.9%
- APPLE INC アメリカ 情報技術 4.3%
- MICROSOFT CORP アメリカ 情報技術 2.9%
- AMAZON.COM INC アメリカ 一般消費財・サービス 2.5%
- ALPHABET INC-CL A アメリカ コミュニケーション・サービス 2.1%
- ALPHABET INC-CL C アメリカ コミュニケーション・サービス 1.9%
- BROADCOM INC アメリカ 情報技術 1.8%
- TAIWAN SEMICONDUCTOR MANUFAC 台湾 情報技術 1.7%
- META PLATFORMS INC-CLASS A アメリカ コミュニケーション・サービス 1.3%
- TESLA INC アメリカ 一般消費財・サービス 1.2%
オルカンが持つ主な特徴
- リスクの分散:投資先が世界中に及ぶため、特定の国や地域の経済が悪化するカントリーリスクや地政学リスクを和らげる効果が期待できます。
- 自動的なリバランス:世界の経済動向の変化に合わせて、運用会社が国・地域ごとの投資比率を自動で調整します。
1.2 eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)の概要
世界で最も注目される指標の一つである「S&P500」は、米国を代表する主要企業500社の株価から算出される株価指数ですが、投資の世界では「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」のように、この指数に連動する投資信託を指すことが多くあります。
投資対象は、米国の主要産業をリードする大企業500社で構成されています。
資産の構成内容(2026年5月29日時点)
- 実質外国株式 100.0%
内 現物 98.6%
内 先物 1.4% - コールローン他 0.0%
上位10銘柄の構成比率(2026年5月29日時点)
- NVIDIA CORP アメリカ 半導体・半導体製造装置 7.9%
- APPLE INC アメリカ テクノロジ・ハードウェア・機器 7.0%
- MICROSOFT CORP アメリカ ソフトウェア・サービス 4.8%
- AMAZON.COM INC アメリカ 一般消費財・サービス流通・小売り 4.1%
- ALPHABET INC-CL A アメリカ メディア・娯楽 3.5%
- BROADCOM INC アメリカ 半導体・半導体製造装置 3.1%
- ALPHABET INC-CL C アメリカ メディア・娯楽 2.7%
- META PLATFORMS INC-CLASS A アメリカ メディア・娯楽 2.1%
- TESLA INC アメリカ 自動車・自動車部品 1.9%
- MICRON TECHNOLOGY INC アメリカ 半導体・半導体製造装置 1.6%
S&P500が持つ主な特徴
- 高い成長性への期待:米国経済は過去数十年にわたり成長を続けてきました。特に、アップル、マイクロソフト、NVIDIAといった巨大IT企業が指数に含まれており、これらの企業の成長がもたらす恩恵を直接受けられる可能性があります。
- 米国への「集中」がもたらすメリットとリスク:投資対象が米国に集中しているため、大きなリターンが期待できる一方で、米国経済が長期的に低迷した場合には、その影響を強く受けるリスクも抱えています
2. 【オルカン vs S&P500】リターンはどっちが高い?設定来・直近1年・直近6カ月で比較!
続いて、オルカンとS&P500の実際の運用実績を比較してみましょう。
2.1 オルカンの基準価額・純資産総額の動向
【2026年7月1日基準】
- 設定日:2018年10月31日
- 設定来の運用実績:+283.76%
- 直近1年間の運用実績:+40.06%
- 直近6カ月の運用実績:+14.53%
2.2 S&P500の基準価額・純資産総額の動向
【2026年7月1日基準】
- 設定日:2018年7月3日
- 設定来の運用実績:+348.48%
- 直近1年間の運用実績:+38.23%
- 直近6カ月の運用実績:+13.66%
2.3 設定来トータルリターンの比較結果:S&P500が上回る
ファンドの設定日が約3カ月異なるため厳密な比較はできませんが、設定来のトータルリターンではS&P500がオルカンを上回る結果となっています。
- オルカン:+283.76%
- S&P500:+348.48%
2.4 直近1年間リターンの比較結果:オルカンが上回る
直近1年間のリターンを見ると、オルカンがS&P500を上回る結果でした。
- オルカン:+40.06%
- S&P500:+38.23%
2.5 直近6カ月間リターンの比較結果:オルカンが上回る
直近6カ月のリターンでも、オルカンがS&P500を上回っています。
- オルカン:+14.53%
- S&P500:+13.66%
どちらのファンドも設定以来大きく成長を見せており、直近1年間でも約40%に近い高い収益率を記録しています。設定来の運用実績では米国市場の力強さを反映してS&P500が上回っていますが、直近1年や直近6カ月というより短い期間で見ると、世界中に分散投資するオルカンが米国に集中投資するS&P500を上回る結果となりました。
特定の国に集中して高いリターンを狙うか、世界全体に分散してリスクを抑えるか。どちらの選択肢も魅力的ですが、過去の実績は将来の成果を保証するものではありません。ご自身の「リスク許容度」に合わせて選ぶことが重要です。
3. 【新NISAシミュレーション】年率5%・20年の積立投資「結果はどうなる?」
本記事で比較してきた「オルカン」と「S&P500」ですが、実際に新NISAを使って毎月積み立てた場合、将来の資産はいくらになるのでしょうか。ここでは、世界株式の平均的な期待リターンとされる年率5%(複利)で20年間運用した場合の試算をご紹介します。
※新NISA口座での運用に関する注意点
新NISAの生涯投資枠は最大1800万円です。毎月10万円を積み立てる場合は15年で上限に達するため、残り5年分は課税口座での運用などを考慮する必要があります。本試算は口座の区別を問わず、一律20年間運用した場合の参考値です。
3.1 毎月の積立額別のシミュレーション結果
つみたてシミュレーター

- 毎月3万円(元本720万円):約1217万円
- 毎月5万円(元本1200万円):約2029万円
- 毎月10万円(元本2400万円):約4058万円
全世界に分散投資する「オルカン」であれば、過去の長期的なリターン傾向から見て、この年率5%という試算は一つの現実的な目安となるでしょう。一方、米国株中心の「S&P500」であれば、過去の力強い実績からこれ以上の成果を狙える可能性もありますが、その分値動きが大きくなる局面もある点には留意が必要です。
どちらの銘柄を選ぶにしても、長期で複利効果を活かすことで、元本の約1.7倍という資産形成が期待できるでしょう。
ご自身のライフプランやリスク許容度に合わせて、最適な積立額と投資先を選んでみるとよいでしょう。
4. まとめにかえて
今回は、金融庁の「つみたてシミュレーター」などの調査結果をもとに、オルカンとS&P500の特徴や20年間の積立シミュレーションについて解説しました。どちらのファンドも長期運用によって元本の約1.7倍という資産形成が期待できる一方、毎月10万円の積立では15年で新NISAの生涯投資枠に達するため計画的な運用が必要です。
世界全体への分散でリスクを抑えるか、米国の成長力に期待してより高い成果を目指すかは、投資家自身のライフプランやリスク許容度によって選択が分かれます。過去の実績が将来を保証するものではありませんが、制度の仕組みを正しく理解した上で、まずは無理のない金額から将来に向けた資産形成の一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
