日々の生活の中で、食料品や日用品などの物価上昇を肌で感じる機会が増えてきました。
総務省統計局が公表した「2020年基準 消費者物価指数 全国 2026年(令和8年)5月分(2026年6月19日公表)」によると、生鮮食品を除く総合指数は前年同月比で1.4%上昇しました。
このような継続する物価上昇のトレンドを受け、「ただ貯めるだけで十分なのだろうか」と不安を感じることはないでしょうか。
同じ金額を積み立てるにしても、銀行に預けるのと新NISAで運用するのとでは、将来的に手元に残る資産に大きな開きが出ることがあります。15年間という期間があれば、その格差は数百万円に達することもあります。
本記事では、証券外務員一種の資格を持ち、前職のスポーツ紙記者時代から「データに基づいた客観的な事実」をお伝えしてきた筆者が、「毎月3万円」を15年間コツコツと積み立てた場合、「預金」と「新NISAを活用した積立投資」とで将来の資産にどれほどの差が生まれるのか、シミュレーションを交えて分かりやすく解説します。
※投資信託は元本割れのリスクがあります。また運用成果は後にならなければわからないのであらかじめご留意ください。
1. 「月3万円」を15年続けた場合の貯金額はいくら?
結論からお伝えすると、毎月3万円を銀行預金として積み立てた場合、15年間での元本は合計「540万円」となります。
日本銀行の利上げの影響もあり、メガバンク3社は2026年8月3日から普通預金金利を0.3%から0.4%へ引き上げることを発表しました。
今回のシミュレーションは年0.4%の複利で計算してみましょう。
この条件で15年間預け続けた場合、得られる利息は約16万円(税引前)にとどまり、最終的な資産額はおよそ556万円となります。
ただし、利息には約20%の税金がかかるため、実際に手元に残る金額はこれより少なくなります。
加えて注意したいのがインフレの影響です。
年2%の物価上昇が続いた場合、15年後には同じ商品を購入するのに現在の約1.5倍の金額必要になります。
そのため、預金額自体は増えていても、お金の実質的な価値は下がる可能性があります。
このように、預金は元本が減りにくいという安心感がある一方で、利息は限定的であり、インフレの影響によって実質的な資産価値が目減りする可能性もあります。
では、同じ「月3万円」を積み立てる場合、より効率的に資産形成を目指す方法はないのでしょうか。
そこで注目されているのが、税制優遇を受けながら投資ができる「新NISA」という制度です。
2. 資産形成の強力な味方、注目の「新NISA」とは?
NISA(少額投資非課税制度)は、投資によって得られる利益に税金がかからないお得な仕組みです。
通常、株式や投資信託などで得た運用益や配当には、原則として20.315%の税金がかかりますが、NISA口座を利用した場合はこれらが非課税となり、税負担を軽減することができます。
たとえば、毎月3万円を銀行預金として積み立てた場合、元本は540万円となり、年利0.4%で運用すると最終的な資産額は約556万円となります。
この増加分には約20%の税金がかかるため、実際に受け取れる金額はさらに少なくなります。
一方で、同じ条件で得られた利益であっても、NISA口座を利用していれば非課税となるため、税金による目減りを抑えることが可能です。
なお、この制度は以前から存在していましたが、2024年1月の見直しにより内容が拡充され、「新NISA」としてスタートしました。
2.1 制度開始から約2年!進化した「新NISA」のポイント
新NISAでは、従来の制度と比べて年間の投資上限や非課税の仕組みが見直され、より使いやすい内容へと変更されています。
旧NISAでは、年間の非課税投資額は最大40万円に制限されていましたが、新NISAでは投資できる枠が大きく拡大し、より多くの資金を非課税で運用できるようになりました。
また、旧制度では非課税で保有できる期間に制限がありましたが、新NISAではこの期間が無期限となり、長期的な資産形成に取り組みやすくなっています。
では、この新NISAを活用して毎月3万円を積み立てた場合、15年後の資産にはどの程度の差が生まれるのでしょうか。
3. 【利回り別】新NISAで積立投資した場合、15年後の資産額はいくらになる?
本章では、毎月3万円を15年間積み立てた場合について、利回りごとのシミュレーションをもとに資産の変化を確認していきます。
3.1 利回り3%で運用した場合の資産額
毎月3万円を積み立て、期間を15年間、想定利回りを年3%とした場合の将来の資産額は、以下のとおりです。
- 投資元本:540万円
- 運用収益:139万円
- 資産合計(元本+収益):679万円
3.2 利回り5%で運用した場合の資産額
毎月3万円を積み立て、期間を15年間、想定利回りを年5%とした場合の将来の資産額は、以下のとおりです。
- 投資元本:540万円
- 運用収益:254万円
- 資産合計(元本+収益):794万円
3.3 利回り10%で運用した場合の資産額
毎月3万円を積み立て、期間を15年間、想定利回りを年10%とした場合の将来の資産額は、以下のとおりです。
- 投資元本:540万円
- 運用収益:655万円
- 資産合計(元本+収益):1195万円
年利3%を想定したシミュレーションでは、15年間の積立による運用益はおよそ139万円となり、預金のみの場合と比べると、資産を増やす効果が期待できるといえるでしょう。
さらに、年利5〜10%で運用できた場合には、約254万円〜655万円の運用益が見込まれ、最終的な資産額は元本のおよそ倍になります。
4. 資産差はいくら?「貯金 vs 投資」の決定的な違い
ここまで見てきたとおり、毎月3万円を15年間積み立てた場合、銀行預金では最終的な資産額は約556万円にとどまります。
一方で、新NISAを活用した積立投資では、利回りによって大きな差が生まれます。
たとえば、年利3%で運用した場合は約679万円となり、預金と比べて123万円以上の差が生じます。
さらに、年利5%では約794万円、年利10%では約1195万円となり、預金との差はそれぞれ約238万円、約639万円以上に広がります。
この差を生み出している要因が「複利」です。
複利とは、運用によって得た利益が元本に組み込まれ、その利益にもさらに利益がついていく仕組みを指します。
積立投資の初期段階では、貯金との違いはそれほど大きくありません。
しかし、運用期間が長くなるにつれて利益が積み重なり、後半になるほど資産の増え方が加速していきます。
5. まとめ:15年後の未来に向けて今できること
今回は、消費者物価指数の上昇といった経済トレンドを踏まえ、15年間「月3万円」を積み立てた場合の「預金」と「新NISA」の比較シミュレーション結果をご紹介しました。
効率的な資産形成を進める上では、「スタートの時期」と「運用の継続期間」が極めて重要なカギを握っています。特に「長く運用を続けること」は、投資の成果を左右する大きな要素となります。
今後の市場の動きを完全に予測することは不可能です。しかし、長期的な視点を持てば、年3%を上回るような好ましいリターンを得られる可能性も十分に考えられます。
新NISAを取り入れる際は、日々の生活に支障のない範囲でコツコツと積立を継続し、じっくりと腰を据えて運用していく姿勢が大切です。
【免責事項】
- 本記事は、公開されている公的資料および一般的な情報に基づき作成されたものであり、特定の制度・金融商品・投資行動を推奨するものではありません。
- 掲載している数値・制度内容・シミュレーション結果は、一定の前提条件のもとでの試算または一般的な事例であり、実際の金額・支給要件・税制・運用成果等を保証するものではありません。制度内容は法改正・自治体運用・経済状況等により変更される可能性があります。
- 投資に関する記述は、将来の運用成果を示唆または保証するものではなく、元本割れを含むリスクが存在します。本記事上の情報に起因、また関連して生じた損害や損失に関しては一切の責任を負いません。最終的な投資判断は、ご自身の責任において行ってください。
参考資料
- 金融庁「つみたてシミュレーター」
- 金融庁「NISAを知る」
- 金融庁「「貯める・増やす」 ~ 資産形成」
- 株式会社三井住友銀行 各種預金金利の変更について
- 株式会社みずほ銀行、みずほ信託銀行株式会社「円預金金利の改定について」
- 株式会社三菱UFJ銀行「円普通預金金利の改定について」
中井 里穂