4. 見直しで影響を受ける人・受けない人

今回の遺族厚生年金の見直しで、影響を受ける人と、影響を受けずにずっともらえる人はそれぞれどういった人なのかをまとめました。

影響を受ける可能性が高い人は、子どものいない以下の人です。

  • 2028年度末時点で40歳未満の女性:終身給付から有期給付へ移行する可能性あり
  • 60歳未満の男性:新たに受給対象となる可能性あり

一方、基本的に影響を受けないのは、以下のような人です。

  • 現在すでに遺族厚生年金を受給中の人
  • 18歳年度末まで(障害がある場合は20歳未満)の子どもがいる人
  • 2028年度末時点で40歳以上の女性
  • 60歳以降に遺族厚生年金の受給権が発生する人

このように、原則として影響をほとんど受けない人も存在するため、報道だけを見て過度に不安になる必要はないといえるでしょう。

5. 改正により給付が充実する面もある

今回の改正は、「5年間で打ち切り」といった改悪面だけ捉えるのは適切ではありません。以下のように受給者にメリットのある改正点もあるため、押さえておきましょう。

【有期給付加算の新設】
改正後は、遺族厚生年金に「有期給付加算」がプラスされ、従来の約1.3倍の金額が支給されます。

【一定条件では5年後も受給継続】
障害年金受給者など障害状態にある方や収入が不十分な方などは、5年後も継続して受給できる可能性があります。

【年収要件の見直し】

これまで、遺族厚生年金には年収850万円未満という収入要件が設けられていました。

改正後は、新たに60歳未満を対象として支給される「有期給付(原則5年間)」について、この収入要件が撤廃される予定です。

【子の加算がプラス】
遺族基礎年金も変更され、「子の加算」がこれまで年間約23万5000円だったものが28万円に増額されます。

【死亡分割制度の新設】
収入が高い配偶者が亡くなった場合には、もう一方の配偶者自身の老齢厚生年金に上乗せする「死亡分割制度」が新設されます。

6. おわりに

2028年4月から始まる遺族厚生年金の見直しでは、「5年で打ち切り」という変更が導入されますが、すべての受給者が対象になるわけではありません。

対象者は限定的で、子どもがいる家庭や現在受給中の人などは引き続き支給されます。

給付の充実策もあわせて導入される予定であるため、「遺族厚生年金が5年で打ち切り」という面だけを見て不安にならず、制度の全体像を理解することが大切です。

参考資料

木内 菜穂子