労働時間が長いのは男性にも言えることです。夫の帰宅が遅くなれば、分担できなかった家事や育児のしわ寄せは妻にきます。共働きで妻が時短勤務になった場合、より一層の「家事・育児分担の不公平感」を覚える女性は珍しくありません。

既婚者でまだ子どもがいないBさんは「ただでさえ家事と育児だけでも慌ただしいのに、これに仕事も加わったらどれだけ忙しくなるのだろう…」と、子どもが生まれた後は専業主婦になりたいと考えています。職場でワーキングマザーの女性がいて、その大変さを見聞きしているうちに専業主婦の方がいいと考える女性もいることでしょう。

共働きが当たり前になった今でも、女性の家事育児の負担は大きいです。そうした現実を自身の目で見ているからこそ、専業主婦になって家庭を支える妻でありたいと願うのかもしれません。

子育てと両立できる仕事が少ない

結婚後専業主婦になった場合、子どもがある程度手が離れて幼稚園などに通えるようになったとき、新たにパートを始めることもできます。何かいい仕事はないかと思い、求人情報を探してみても条件に合った仕事がなかなか見つかりません。

「土日休み」「風邪をひいたときに休ませてくれる」「夏休みや冬休みなどシフトの融通がきく」など、小さい子どもがいる母親の条件を満たす仕事はあまり多くないのです。とくに接客業などのシフト勤務の仕事は、勤務時間が不規則で幼稚園に通う時間と合わないこともあります。土日や長期休暇にも出勤を求められることもあるでしょう。

専業主婦を希望する女性は、夫に家事の負担をかけ、自分の仕事のために夫や子どもに協力を得るのにためらいがあります。専業主婦を続けていれば、子どもの幼稚園の時間を気にする必要はないし、家族が全員揃う土日にも家を空ける心配がなくなります。専業主婦を希望する女性には、そうした心理がはたらいている可能性が高いのです。

まとめ

こうした事情を鑑みると、専業主婦になった方が総じて家事や育児と両立しやすく、家計を支える夫のサポートができるように見えます。専業主婦を希望する女性たちの気持ちも、わからなくはありません。

しかし、家事と育児は夫婦のどちらか一方が抱えすぎないよう分担を決め、時短勤務かリモートワークができる仕事に切り替えれば、女性への負担は減り共働きしやすくなるのではないでしょうか。

「夫は外で働き、妻は家を守る」という価値観が薄れ、家事・育児において女性の負担がもっと減らせる社会づくりができれば、結婚後も働きたいと考える女性が増えるかもしれませんね。

林 加奈