2. 【太陽誘電】利益が激増するマジック。売上微増でも営業利益が倍増した理由
株価急騰の裏付けとなるのが、直近の決算発表で示された驚異的な利益の伸びです。
太陽誘電が発表した2026年3月期の通期決算(実績)を見ると、売上高は3,553億円で前期比プラス4.1%の微増にとどまっています。
しかし、本業の儲けを示す営業利益は約200億円となり、前期比でプラス91.2%とほぼ倍増。さらに、最終的な儲けである親会社株主帰属当期純利益は148億円となり、前期(23億円)と比較して約6.4倍(プラス535.9%)という劇的な増益を記録しました。
「売上高が4.1%しか増えていないのに、営業利益がこれほど伸びるのはなぜか」という疑問に対し、泉田氏は製造業特有の「限界利益率」という概念を用いて解説します。
限界利益率とは、売上が1単位増えたときに、利益がどれだけ増えるかを示す割合のことです。
太陽誘電のような大規模な工場を持つ電子部品メーカーは、減価償却費などの「固定費」が非常に重いビジネスモデルです。
そのため、売上が損益分岐点を超えるまでは利益が出にくいものの、一度分岐点を超えると、増えた売上の大部分がそのまま利益に乗っかってくるという特徴があります。
「こういう会社、固定費が高いと売上ちょっと増えるだけで利益増えるんで限界利益率高くなるんだけど、こういう会社の場合は売上4%しか増えてないんだけど利益91%増えるんで、これはまた利益の変化の面白さだよね」
前期(2025年3月期)は、経常利益・当期純利益ともに黒字は確保したものの、前期比で経常利益が23.6%減、当期純利益が72.0%減と大幅な減益に沈む苦しい決算でした。
しかし、今期はAIサーバー向けを中心とした高付加価値なコンデンサの需要が牽引し、工場の稼働率が上昇。この「操業度効果(工場が効率よく稼働することで生まれる利益)」が大きく貢献したことで、売上の伸びをはるかに凌駕する利益の急回復が実現したのです。
著者
金融・経済YouTubeチャンネル「イズミダイズム」
「イズミダイズム」は、株式会社モニクルリサーチが運営する金融・経済YouTubeチャンネルです。フィデリティ投信や日本生命でポートフォリオマネージャーや証券アナリストとしての勤務経験のある元機関投資家の泉田良輔が、プロの視点で金融や経済に関する様々なニュースの解説や、資産形成に役立つトピックをお届けします。新NISAの開始やインフレを背景に、個人の資産運用への関心が高まる中、機関投資家と個人投資家の「視点の違い」や、経済ニュースの裏側にある「構造」をロジカルに解説します。(最新更新日:2026年1月30日)
監修者
株式会社モニクルリサーチ
代表取締役/日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)
株式会社モニクルリサーチ代表取締役。その他に株式会社モニクル取締役COO、株式会社モニクルフィナンシャル取締役COOも務める。LIMO&ファイナンス編集長。東京科学大学大学院非常勤講師。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科修了(同研究科最優秀賞受賞)
1. 経歴
2013年に株式会社ナビゲータープラットフォーム(現:株式会社モニクルリサーチ)を原田慎司(現同社取締役)らとともに共同創業。2013年に個人投資家向け金融経済メディア「Longine(ロンジン)」を立ち上げ、編集長に就任。Longineの立ち上げの経緯はBloombergにおいて「体力勝負アナリスト辞めます、元外資マン個人に長期投資指南」として掲載され大きな反響を呼ぶ。投資情報のサブスクモデルを確立する。その後、株初心者向けネットメディア「株1」、2015年にはくらしとお金の経済メディア「LIMO」の前身となる「投信1」を立ち上げる。2026年6月に専門家と実務家が情報発信をする金融経済ニュースサイト「LIMO&ファイナンス」を立ち上げ編集長に就任。
それ以前は、日本生命・国際投資部で外国株式ファンドマネージャー、フィデリティ投信・調査部や運用部にて10年に渡ってインターネット、電機(半導体・民生・産業エレクトロニクス)、機械(ロボットやセンサー企業中心)といったテクノロジーセクターの証券アナリストや中小型株ファンドのアシスタント・ポートフォリオ・マネージャー(最年少で就任)として従事。
2. 専門・研究領域
慶応義塾大学商学部卒業。国際金融及びコーポレート・ガバナンスを専攻。アジア通貨危機、昭和金融恐慌などの金融パニックのメカニズムを金融政策や金融機関への規制の観点から研究。それらの内容は「昭和金融恐慌からの教訓 平成恐慌になにをどう生かすべきか」(三田商学研究学生論文集)として発表。
3. 著書
・『機関投資家だけが知っている「予想」のいらない株式投資』(ダイヤモンド社)
・『テクノロジーがすべてを塗り変える産業地図』(クロスメディア・パブリッシング)
・『銀行はこれからどうなるのか』(クロスメディア・パブリッシング)
・『Google vs トヨタ 「自動運転車」は始まりにすぎない』(KADOKAWA)
・『日本の電機産業 何が勝敗を分けるのか』(日本経済新聞出版社)
4. 寄稿や講演他
「日経BizGate」での連載「泉田良輔の新・産業鳥瞰図」や「現代ビジネス」、「東洋経済オンライン」、「プレジデント」などへの寄稿や対談も多数。対談記事例としては「【未来予想】ブロックチェーン革命が、「半沢直樹」の世界に終わりを告げる」や「【未来予想】アマゾンとビットコインが、次世代の「銀行」になる理由」(いずれもNewsPicks)、「米独に遅れる日本の自動運転、自動車も電機の二の舞に?」(週刊ダイヤモンド)。海外ジャーナリストからインタビューされることも多く、Financial TimesやThe Economist、Bloombergにおいて自動車や金融業界についての国内外産業動向コメントも発信している。
講演会や動画での情報発信も盛んに行っており、NewsPicksのTHE UPDATE、日経ビジネススクール、慶應丸の内キャンパス、慶應義塾SDM、アカデミーヒルズなどでも講義を行う。またNewsPicksのNewSchoolではプロジェクトリーダーとして「本当に初心者のための資産運用」を開催。
最終更新日:2026年6月26日