「勉強しなさい」とストレートにいわれて勉強する子供はまずいないし、かえってやる気は下がるだけです。筆者もいろいろな子供や保護者を見てきましたが、勉強ぎらいな子供の親はこの言葉を何度も使っているように映ります。しかも強引に。
まず、「勉強しなさい」と頭ごなしにいわれて勉強する気にはなれないでしょう。人間、いわれるとその通りにしたくなくなるものです。逆に「勉強しろ」といわれて「うん、わかったよ」と素直に勉強しはじめる子供のほうが心配になります。職場で上司に「仕事しなさい」といわれて「よし、仕事がんばろう」と思えるでしょうか。
ここでご自身が子供の頃、勉強したかどうかを振り返ってみてはいかがでしょう。おそらく親に「勉強しろ」といわれ反発して勉強しなかったのではないでしょうか。「自分が親からいわれて嫌だったことを子供にいっている」という親もいましたが、自分を振り返っている分状況はまだいいです。たちが悪いのは、自分が勉強しなかったことを棚に上げて子供に力ずくで勉強させようとすることです。子供が納得していないのに無理やりさせても拒絶反応を起こすだけではないでしょうか。
子どもの時の自分を思い返して、どうすれば自分が勉強したかを考えてみてもいいでしょう。もっと褒めてもらえたら、怒るのをやめてもらえたら、そっとしてくれたら、などなどしてほしかったことが思い浮かぶのではないでしょうか。
子どもは親のいうことは聞きません。それは承知しているのだけど、我が子であるがゆえにいうことを聞いてほしい、思い通りになってほしい、という気持ちが無意識のうちに残っているのかもしれません。だから「勉強しなさい」という言葉が出てしまうし、いっても勉強しない子供を見て腹が立ってしまうのではないでしょうか。
先日もある母親が、なかなか勉強しない自分の娘に20分も泣きながら怒ってしまったといわれていました。子供は聞きたくないから耳をふさいでいたとのことです。こうも感情的になっては何も伝わりません。すぐに止めるべきなのに、親も止められなくなってしまうのでしょう。
体罰が問題になっている世の中ですが、まだ体罰をしている親が多いようにも思います。勉強をしない我が子に力づくでも勉強させようとどなったり叩いたりしてしまうのかもしれません。子供はそのときは勉強するかもしれませんが、無理やりさせられているだけなので、そこに知識は残りません。かえって恨みが残るかもしれません。勉強するしないにかかわらず、親子関係だけは大切にしていただければと常に願っています。