2. 話題の「年金カットの壁」引き上げ。しかし大多数のプレシニアの現実は…?
内閣府の「令和7年版高齢社会白書」によれば、65歳から69歳で働く人の割合は、男性で6割以上、女性で4割以上にのぼります。
長くなる老後の生活を支えるため、「公的年金」と「仕事による収入」の二本柱で家計を回すスタイルは、もはやシニア世代のスタンダードになりつつあります。
一方で、働き続けるシニアにとって大きな懸念だったのが「在職老齢年金制度」です。
2026年度(令和8年度)の4月からは、この年金が減額される基準額(支給停止調整額)が、月額「51万円」から「65万円」へと引き上げられました。
しかし、「これで働き方が大きく変わる」と捉えるのは少し大袈裟かもしれません。
なぜなら、そもそも年金と給与の合計が月額51万円を超える方は全体から見れば少数派だからです。
厚生労働省の試算でも、現行制度で年金が支給停止となっているのは、65歳以降で働く年金受給者のうち約16%(約50万人)にとどまっており(2022年度末)、今回の改正で新たに全額受給できるようになるのは約20万人とされています。
つまり、大多数のプレシニアにとってより切実な問題は、年金カットの壁よりも、「60歳を過ぎると現役時代より給与が減ってしまう」「定年後の再就職のハードルが高い」という収入ダウンの現実の方であると言えそうです。
だからこそ、そうした働くシニアの経済的リスクをカバーし、申請すれば受け取れる「雇用保険」の存在を今のうちから知っておくことが重要になります。
次の章からは、プレシニアみなさんの心強い味方となる「雇用保険に関連する3つの給付金」について具体的に解説していきます。
著者
二種外務員資格(証券外務員二種)記者/編集者/校閲者/
【保有資格】
ニ種外務員資格(証券外務員二種)・相続診断士・認知症介助士・終活ガイド資格1級保有。
【経歴】
二種外務員資格や相続診断士などの資格を保有し、「お金とくらし」にまつわる情報を専門的かつ丁寧に発信する金融メディア編集者・ライター。
早稲田大学第一文学部史学科卒。人文・社会系一般書籍、中学・高校社会科教材、就職試験問題の制作関連業務で15年以上の経験を持つ。また、大手人材派遣会社における採用管理業務などの実務経験もある。
現在は株式会社モニクルリサーチが運営する『くらしとお金の経済メディア~LIMO(リーモ)~』において、金融系メディアの編集者兼執筆者として、コンテンツ制作や編集を担当。
総務省「家計調査」・厚生労働省「厚生年金保険・国民年金事業の概況」・J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査」などの一次資料に基づくデータ記事の執筆に強み。
専門家と実務家が発信する金融経済ニュースサイト『LIMO&ファイナンス』でも記事執筆をおこなう。紙媒体での経験に加え、家族の介護を通じて得た知見を生かしながら、「お金とくらし」にまつわる情報を丁寧に発信している。(2026年7月9日更新)
監修者
LIMO編集部社会保障解説班は株式会社モニクルリサーチが運営する『くらしとお金の経済メディア ~LIMO(リーモ)~』において、厚生労働省や官公庁の公開情報等をもとに社会保障制度や社会福祉、公的扶助、保険医療などをテーマに関する記事を執筆・編集・公開している。
マネー編集部社会保障班は、地方自治体職員出身の太田彩子、日本生命保険相互会社出身の村岸理美、株式会社三菱UFJ銀行と三井住友信託銀行株式会社出身の和田直子など、豊富な経験と知識を有した編集者で構成されている。表彰歴多数の編集者も複数在籍。「国民健康保険」「後期高齢者医療制度」「福祉医療」等の業務や、国民健康保険料の賦課、保険料徴収、高額療養費制度などの給付、国民年金や国民健康保険への資格切り替え、補助金申請等の業務を担った実務経験者も在籍している。
CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP1級)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)、一種外務員資格(証券外務員一種)などの資格保有者も多数在籍。(最新更新日:2026年6月16日)