4. 子どもに負担を残さないために 注目が高まる「墓じまい」という選択

親の相続や実家の片付けを経験する世代だからこそ、「自分の子どもには同じ苦労をさせたくない」と考える人が増えています。

その代表的な取り組みの一つが「墓じまい」です。

4.1 60歳代の過半数が「墓じまい」に関心あり

40歳代~70歳以上「墓じまいへの意識」4/4

出所:全石協 「墓じまい」に関するアンケート調査を実施

全国石製品協同組合が40歳代〜70歳代以上を対象に行った「『墓じまい』に関するアンケート調査」によると、墓じまいについて「経験した」「検討している」「将来的に検討する可能性がある」と回答した人は、全体の42.8%に達しました。

年代別に見ると50歳代が35.8%、60歳代では53.2%と半数を超え、関心の高さがうかがえます。

検討のきっかけとしては「今あるお墓の管理やお参りが大変(21.0%)」が最も多く、具体的な相談タイミングとしても「自分が終活を始めた時(21.2%)」が上位に入るなど、家族の不幸が起きてから慌てるのではなく、自身のセカンドライフを見据えて主体的に検討する人が増えていることがわかります。

5. 【コラム】50歳代「墓守娘」のリアルな悩み

ここで少し筆者の話をさせてください。

現在50歳代の筆者は、実家の墓を管理するいわゆる「墓守娘」です。

定期的にお墓に足を運び、掃除や維持管理を行う中で、ふと思うことがあります。「この先、自分がいなくなった後、自分の子どもにこのお墓を継がせてよいのだろうか?」と。

遠方に住み、それぞれの生活基盤を築いていく子どもにとって、お墓の維持管理は時間的にも経済的にも重い負担になりかねません。

「子どもには自由な人生を歩んでほしい。自分が抱えているような負担を同じように背負わせたくない」という思いから、筆者自身もどこかのタイミングで「墓じまい」を真剣に考える必要があると感じています。

アンケート結果にある「終活の一環として墓じまいを検討する」という人々の気持ちは、当事者として痛いほどよくわかります。

6. まとめにかえて|自分のため、そして家族のために始める生前整理

50歳代・60歳代は、自分自身の老後資金を準備しながら、親の介護や相続にも向き合う「はざまの世代」といえます。

今回見てきたように、老後資金を確保することに加え、実家の財産整理や、お墓を含めた将来の負担を子ども世代へ残さないための準備も、ますます重要視されるようになっています。

一方で、墓じまいや相続に向けた生前整理を進めるには、専門家への依頼費用や墓石の撤去費用など、一定の資金も必要になります。

そのため、自分の家計や貯蓄状況を把握する「お金の整理」と、お墓や財産をどのように残すか、あるいは整理するかを考える「終活」は、決して切り離して考えることはできません。

元気なうちからこの二つをあわせて計画し、家族と話し合っておくことが、自分自身の将来への安心につながるだけでなく、結果として大切な子どもたちへ余計な負担を残さない、より豊かなセカンドライフにつながるのではないでしょうか。

※個別の相続税や法的手続きについては、税理士や弁護士などの専門家にご相談ください

参考資料