梅雨の晴れ間に差し込む日差しに初夏の訪れを感じる季節となりました。マイホームの購入に向けて、資金計画を具体的に進めている方も多いのではないでしょうか。
国土交通省住宅局が公表した「令和6年度住宅市場動向調査報告書」によると、土地を購入して注文住宅を新築した世帯の購入資金の平均は6188万円、自己資金比率は32.2%(1992万円)となっています。
筆者がメガバンクに勤務していた頃、リテール営業として数多くのお客さまの住宅ローン手続きやライフプランの相談に携わってきました。その現場経験から言えるのは、住宅ローンや注文住宅に関する悩みは尽きないということです。
本記事では、国土交通省住宅局のデータに加え、東京都で予算3500万円で注文住宅を建てた40代の方の実例をもとに、家づくりで感じやすい「後悔ポイント5つ」と「満足ポイント5つ」をご紹介します。
1. 注文住宅を建てた世帯が後悔するポイント5つ
国土交通省住宅局の「令和6年度住宅市場動向調査報告書」では、注文住宅を建てた人に対し「住宅選択で妥協した点」を調査しています。妥協した項目は、住み始めてから後悔につながりやすいポイントともいえるでしょう。
1.1 後悔ポイント1:価格(予定より高くなった)
三大都市圏で注文住宅を建築した世帯では、71.4%の人が住宅選択で妥協した点として「価格(予定より高くなった)」を挙げています。
理想を追求するうちに予算をオーバーしてしまい、後悔につながりやすいポイントと言えます。
1.2 後悔ポイント2:住宅の広さ
価格に次いで妥協されやすいのが「住宅の広さ」であり、40.1%の人が妥協したと回答しています。
都市部では土地価格が高くなりやすく、予算との兼ね合いから十分な広さを確保できず、住み始めてから不便さを感じるケースもあります。
東京都で家を建てた40代の実際の声
- 庭が小さすぎた。
- 駐車場が小さかった。大きな車の場合、スレスレで擦ってしまいそうだった。
1.3 後悔ポイント3:間取り、部屋数
31.3%の人が「間取り、部屋数」を妥協点として挙げています。
敷地面積や建築費の制約から、希望していた部屋数や理想的な間取りを諦めざるを得ない状況がうかがえます。
東京都で家を建てた40代の実際の声
- カウンターキッチンにすればよかったと思ってます。子供の様子を常に見ながら料理したかった。
- 階段が少々急でした。膝が悪い高齢者などには2階に上がるのに負担が大きいです…。
1.4 後悔ポイント4:職場からの距離
19.8%の人が「職場からの距離」を妥協しています。
希望するエリアでは予算に収まらず、通勤時間を優先できなかった結果、毎日の移動が負担になってしまうケースもあるようです。
1.5 後悔ポイント5:住宅のデザイン・外構
コストを抑えるために「住宅のデザイン」を妥協したという人は14.7%いました。外観や内装、外構などのこだわりを削ったことが、住み始めてからの心残りにつながる場合もあります。
東京都で家を建てた40代の実際の声
- 庭を人工芝にすればよかった。草むしりの手間が減り、雨の日も玄関が汚れにくかったと思います。
※本文中の割合(71.4%、40.1%、31.3%、19.8%、14.7%)は、国土交通省住宅局「令和6年度住宅市場動向調査報告書」をもとにしています。
2. 注文住宅を建てた世帯が満足したポイント5つ
ここからは、注文住宅を建てた世帯が満足したポイント5つをみていきましょう。
2.1 満足ポイント1:信頼できる住宅メーカーとの出会い
住宅の選択理由として「信頼できる住宅メーカーだったから」が54.4%と最も多く挙げられています。
安心して家づくりを任せられるパートナーと出会えたことは、住み始めてからの満足感にもつながる重要なポイントといえます。
2.2 満足ポイント2:高気密・高断熱など快適な住環境
設備等に関する選択理由として、最も高い69.5%の人が「高気密・高断熱住宅だから」を挙げています。
夏涼しく冬暖かいといった日々の快適な室温環境が、住んでからの高い満足度に直結しています。
東京都で家を建てた40代の実際の声
- 床下暖房にしてよかった。冬場の寒い時期に床下から温められることがとても便利です。
- 太陽光パネルも満足しています。電気代の節約にもなるし、環境保護にもつながるからです。
2.3 満足ポイント3:好みに合った住宅のデザイン
住宅を選んだ理由として、「住宅のデザインが気に入ったから」と回答した人は65.3%でした。
注文住宅ならではの魅力として、自分たちの理想やこだわりを反映した住まいを実現できたことが、高い満足度につながっています。
東京都で家を建てた40代の実際の声
- 食洗機をつけてよかった。食事の後片付けの時間が減り、時間を効率的に使えるようになりました。
2.4 満足ポイント4:火災や地震などへの安全性の高さ
「火災・地震・水害などへの安全性が高いから」を理由に選んだ人が53.7%に上ります。
災害への備えを重視して住宅を選ぶ人も多く、安心して暮らせる住まいであることが満足感につながっています。
2.5 満足ポイント5:間取りや部屋数の適切さ
設備・間取りに関する選択理由として、「間取り・部屋数が適当だから」と回答した人は46.3%でした。
ライフスタイルに合った間取りや、家事のしやすさを考えた設備を採り入れたことで、暮らしやすさを実感している人が多いようです。
東京都で家を建てた40代の実際の声
- トイレを2つ設置したのは良かったです。
- 屋根裏部屋を作りました。取っておきたいものを置いておけるスペースになって意外と便利です。
3. 令和6年度最新データから見る!注文住宅の費用と住宅ローンの実態
注文住宅を検討する際、最も気になるのが「実際いくらかかるのか」「ローンはどのくらいになるのか」というお金の事情です。ここでは、「令和6年度住宅市場動向調査報告書」をもとに、注文住宅の費用や住宅ローンに関する実態をご紹介します。
3.1 購入資金の平均と「中央値」
土地を購入して注文住宅を新築した世帯の購入資金の平均は6188万円ですが、金額を低い順に並べた際にちょうど真ん中となる「中央値」は5030万円です。
一部の高額物件が平均値を押し上げている可能性があるため、実際には5000万円前後が一つの目安と考えられます。
一方、すでに土地を所有しており建て替えを行った世帯では、購入資金の平均は5214万円、中央値は3900万円となっています。
3.2 建築費と土地代の内訳
家づくりにかかる費用を建築費と土地代に分けてみると、住宅建築資金(建築費)の全国平均は4695万円、土地購入資金(土地代)の全国平均は2082万円でした。
都市部では土地代が占める割合が高くなる傾向があり、限られた予算の中で土地と建物にどのように配分するかが、後悔しない家づくりのポイントといえます。
3.3 住宅ローンの年間返済額と金利タイプ
注文住宅を取得した世帯のうち、住宅ローンを利用している人は73.6%に上ります(新築世帯に限ると78.8%)。
住宅ローンの年間返済額は全国平均で144.8万円(月額約12万円)で、世帯年収に占める年間返済額の割合(返済負担率)は18.4%となっています。
また、住宅ローン利用者の84.5%(三大都市圏では96.5%)が変動金利型を選択しており、低金利を背景に変動金利を選ぶ人が多数を占めていることも近年の特徴です。
4. 【年代別】みんなの「住宅ローン」平均残高はいくら残ってる?
マイホームを検討する際は、「今の収入で払えるか」だけでなく、「定年後も無理なく払っていけるか」という一歩先を見据えた視点がとても大切になります。
J-FLEC(金融経済教育推進機構)の「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」をもとに、住宅ローン残高の平均を確認してみましょう。
4.1 単身世帯:住宅ローン残高(平均)
- 20歳代:158万円
- 30歳代:413万円
- 40歳代:232万円
- 50歳代:547万円
- 60歳代:299万円
- 70歳代:348万円
4.2 二人以上世帯:住宅ローン残高(平均)
- 20歳代:919万円
- 30歳代:1916万円
- 40歳代:1651万円
- 50歳代:1117万円
- 60歳代:697万円
- 70歳代:474万円
二人以上世帯の60歳代では、住宅ローン残高の平均が約700万円となっており、リタイアを迎える時期でも返済負担を抱えている状況がうかがえます。
退職金や将来の繰り上げ返済を過度に当てにせず、現役時代に無理なく返済できる借入額を見極めることが、老後の安心へとつながります。
長期的な視点でライフプランを見つめ直し、ゆとりを持った住まいづくりを進めていきましょう。
5. まとめにかえて
理想の住まいは、住む人の数だけ形があります。
家族のライフスタイルに合った家を実現するために、実際に家を建てた人の体験談や客観的なデータを参考にしながら、一歩ずつ検討を進めていきましょう。
本記事が、これからのマイホームづくりの参考になれば幸いです。
参考資料
中本 智恵