総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2025年(令和7年)平均結果の概要」より、65歳以上の夫婦のみの無職世帯をみると、月の生活費の赤字額は4万2434円。現代シニアの生活は平均で赤字となっており、貯蓄などでの補填が必要なご家庭も多いでしょう。

老後の生活費を補填する方法は複数ありますが、「年金に配当金や株主優待をプラスして、毎月の家計を少しでも楽にできたら」ーそう考える方もいるかもしれません。

たしかに配当や優待は暮らしの助けになりますが、株式になるのでハイリスク・ハイリターンですから選び方を誤ると「こんなはずでは…」と思うような落とし穴もあります。

今回は、元証券会社で個人のお客さまの資産運用に携わってきた立場から、年金+配当・優待で家計を回すときの「選び方」と、知っておきたい「落とし穴」を、公的な情報もふまえて整理していきましょう。

1. この記事の3つのポイント

  •  配当・優待は「増減・変更・廃止」があるもの。年金の“上乗せ”は無理のない範囲で考える
  •  選び方は「利回りの高さ」だけで決めない。業績や優待は自分が使えるか・続けやすいかで見る
  •  新NISA(年間360万円・生涯1800万円の非課税枠)を使えば、配当などの受け取りが非課税になる場合も

2. 年金の仕組みとは?

まずは基本的な日本の年金制度を確認しましょう。日本の公的年金は2階建てです。

厚生年金と国民年金の仕組み1/2

厚生年金と国民年金の仕組み

出所:日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」等を参考にLIMO編集部作成

1階部分の国民年金には自営業やフリーランスの方などが、2階の上乗せ部分には会社員や公務員などが加入します。

老後になると公的年金は原則として年6回、偶数月(2・4・6・8・10・12月)の15日に、前月までの2カ月分がまとめて振り込まれます(15日が土日・祝日の場合は直前の平日)。

3. 厚生年金と国民年金の平均受給額はいくら?

では、公的年金は平均でどのくらいなのでしょうか。

厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、老齢年金の平均月額は〈全体〉で、国民年金が「5万9310円」、厚生年金が「15万289円」(厚生年金は国民年金の額を含みます)です。

国民年金だけの方と、厚生年金がある方とでは、受け取れる額に差がありますし、実際には現役時代の加入状況により個人差が大きいのが年金です。

4. 年金だけでは足りない生活費は「高配当株式」や「株主優待」で補える?配当金でシミュレーション

年金に株式の配当金や株主優待が加われば、日々の暮らしに少しゆとりが生まれる、と考える方もいるかもしれません。配当は現金での受け取り、優待は食事券や割引などモノ・サービスでの受け取りが多く、シニアの家計と相性がよい面があります。

とくに新NISAを使うと、配当金や売却益にかかる税金が非課税になる場合があります。金融庁によると、新NISAの年間投資枠はつみたて投資枠と成長投資枠で合計「360万円」、非課税で保有できる限度額は生涯「1800万円」(うち成長投資枠は「1200万円」)で、対象は「18歳以上」、非課税で保有できる期間は「無期限」です。非課税のメリットを生かしながら、無理のない範囲で“年金の上乗せ”をつくるイメージです。

配当に視点を当て、どのくらいの収入になるか、簡単な例でみてみましょう。

仮に配当利回り3%(税引き前)の株式を100万円分保有できたとすると、1年間に受け取れる配当はおよそ3万円、200万円分ならおよそ6万円という計算になります。これはあくまで一定の利回りを仮定した例で、実際の利回りや配当額は銘柄や業績によって変わります。通常、配当金には税金がかかりますが、新NISAの口座で受け取れば非課税になる場合があります。