しかしながら公的な交通手段としての役割も有するJRですから、人口減少で不採算路線となったからと言って簡単に廃線はできません。
更にJR北海道として重いのが、北海道新幹線の赤字です。JR北海道が開示している「線区別の収支」によれば、18年3月期の北海道新幹線は99億円の営業損失。17年3月期の54億円の赤字が拡大しています。
また北海道新幹線の並行在来線の赤字も2018年3月期には86億円発生しており、このようにJR北海道は北海道新幹線関連で150億円近い赤字を計上しています。
2018年3月期の数字だけ見れば、JR北海道の赤字は北海道新幹線の赤字がなければ少し「マシ」な状況とはいえるでしょう。平成29年度(2018年3月期)のJR北海道の単体の営業損失は525億円、また連結では416億円となっており、北海道新幹線を除いても収益の状況は厳しいですが、北海道新幹線は収益の足を引っ張っているといわれるのも仕方がないといえるでしょう。
こうしたJR北海道ですが、事実上の補助制度である「経営安定基金」により支えられています。JR北海道にとって新幹線の開業は悲願ではあったものの、民営化以降は収益においても厳しい現実も浮き彫りとなっています。
JR北海道のバランスシートは危機的なのか
では、ここでは改めて、JR北海の貸借対照表を見ていきましょう。平成30年度の決算では、総資産が1兆4300億円。その内訳として、経営安定基金が7685億円、固定資産が3631億円、機構特別債券が2200億円、流動資産が783億円となっています。