また、バランスシートの右側に目をやると、純資産は9208億円、1年以内返済長期借入金は71億円、長期借入金は1345億円となっています。借入金はあるものの、純資産の金額としては小さいものではありません。
冒頭に見たように、当期純損失の状況ではありますが、バランスシートは、経営安定基金などもあるものの、脆弱というわけではないといえるでしょう。
資金の投入も始まっているJR北海道
18年7月に国土交通省により発出された「監督命令」では、北海道新幹線の札幌延伸の効果が発現する2031年度(資料では平成43年度)に経営自立を目指して、19〜20年度の2年間で400億円超の財政支援をします。
JR北海道は地域の足としての役割がありながらも、株式会社としては非常に厳しい状況にあります。また北海道新幹線は華々しく開業したものの、新たに巨額の赤字を抱える結果となった現実も存在します。
国も支援を開始しているものの、JR北海道の今後の着地点を見出すに至っていません。北海道新幹線の札幌延伸による黒字化というウルトラCのシナリオも存在しますが、札幌延伸は2031年春であり12年以上先です。
減りゆく沿線人口を前にJR北海道は今後どのような変遷をたどるのか、興味深く見守りたいと思います。
参考資料
- 北海道旅客鉄道株式会社「平成30年度第2四半期決算 社長談話」
- 北海道旅客鉄道株式会社「平成28年3月期決算公告」
- 北海道旅客鉄道株式会社「平成29年3月期決算公告」
- 北海道旅客鉄道株式会社「平成30年3月期決算公告」
- 北海道旅客鉄道株式会社「JR北海道グループ 平成30年度決算」
- 北海道旅客鉄道株式会社「平成29年度 線区別の収支とご利用状況について」
- 国土交通省 鉄道局「JR北海道およびJR四国の安全対策に対する追加的支援措置について」
- 北海道旅客鉄道株式会社「JR北海道の経営改善について」
石井 僚一