衣替えの季節でもある6月は、生活環境の変化とともに家計の見直しを考える良い機会かもしれません。

特に60歳代以上の方にとって、公的年金は生活の基盤ですが、年金収入だけでは少し心許ないと感じることもあるでしょう。

実は、そのような状況を支えるため、公的年金に加えて国から給付金が支給される制度があることをご存知でしょうか。

この記事では、年金受給者の生活を後押しする「年金生活者支援給付金」について、2026年度の最新情報に基づき、制度の仕組みを詳しく解説します。

どのような方が対象になるのか、いくら受け取れるのか、そして手続きはどのように進めればよいのか、一つひとつ丁寧に見ていきましょう。

ご自身の状況と照らし合わせながら、この制度を暮らしに役立てるヒントを見つけていただければ幸いです。

1. 年金に上乗せされる「年金生活者支援給付金」とは?

年金生活者支援給付金制度について1/12

年金生活者支援給付金制度について

出所:厚生労働省「年金生活者支援給付金制度について」

年金生活者支援給付金は、公的年金などの収入や所得額が一定の基準を下回る方の生活を支援するための制度です。

この給付金は一時的なものではなく、支給要件を満たす限り、年金に上乗せされる形で継続的に受け取ることができます。

受給している基礎年金の種類に応じて、以下の3つに分けられます。

  • 老齢年金生活者支援給付金
  • 障害年金生活者支援給付金
  • 遺族年金生活者支援給付金

初回のみ申請が必要ですが、その後は要件を満たし続ける限り、2カ月に1度、年金と同じ受取口座に支給されます。

2. 【種類別】年金生活者支援給付金の対象となる方の条件

基礎年金を受給している方のうち、年金収入や所得の合計が基準以下の場合に「年金生活者支援給付金」を受け取れる可能性があります。

この章では、3種類の給付金それぞれについて、具体的な支給要件を詳しく見ていきましょう。

2.1 老齢年金生活者支援給付金の対象者

老齢年金生活者支援給付金の支給要件2/12

支給要件

出所:日本年金機構「老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要」

老齢年金生活者支援給付金は、以下の要件をすべて満たす方が対象です。

  • 65歳以上で老齢基礎年金を受給している
  • 同じ世帯にいる全員の市町村民税が非課税である
  • 前年の公的年金などの収入金額(※1)とその他の所得の合計額が、生年月日に応じた基準額以下である
    ・昭和31年4月2日以降生まれの方:80万9000円以下
    ・昭和31年4月1日以前生まれの方:80万6700円以下(※2)

※1 障害年金や遺族年金といった非課税収入は含まれません。
※2 収入と所得の合計額が基準額をわずかに超える方(昭和31年4月2日以降生まれで90万9000円以下、昭和31年4月1日以前生まれで90万6700円以下)には、差額を補う「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。

2.2 障害年金生活者支援給付金の対象者

障害基礎年金を受給されている方へ3/12

障害基礎年金を受給されている方へ

出所:厚生労働省「年金生活者支援給付金制度」

障害年金生活者支援給付金は、次の支給要件を両方満たす場合に受け取ることができます。

  • 障害基礎年金の受給者であること
  • 前年の所得(※)が479万4000円以下であること(扶養親族の人数に応じて基準額は上がります)

※ 障害年金などの非課税収入は所得に含まれません。

2.3 遺族年金生活者支援給付金の対象者

遺族基礎年金を受給されている方へ4/12

遺族基礎年金を受給されている方へ

出所:厚生労働省「年金生活者支援給付金制度」

遺族年金生活者支援給付金は、以下の要件をすべて満たす方が対象となります。

  • 遺族基礎年金の受給者であること
  • 前年の所得(※)が479万4000円以下であること(扶養親族の人数に応じて基準額は上がります)

※ 遺族年金などの非課税収入は所得に含まれません。

3. 2026年度の支給額はいくら?前年度から3.2%増額

年金生活者支援給付金の額は、毎年の物価変動を反映して改定されます。

2026年度は、前年度と比較して+3.2%の増額となりました。

3.1 2026年度の給付額を一覧で確認

年金生活者支援給付金の給付額5/12

年金生活者支援給付金の給付額

出所:厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」

  • 老齢年金生活者支援給付金(基準額):月額5620円
  • 障害年金生活者支援給付金:障害等級1級 月額7025円、2級 月額5620円
  • 遺族年金生活者支援給付金:月額5620円

注意点として、老齢年金生活者支援給付金の「月額5620円」はあくまで基準額です。

実際の支給額は、この基準額を基に、個人の保険料納付済期間や免除期間に応じて計算されることになります。

4. 年金生活者支援給付金を受け取るための手続き方法

それでは、実際に給付金を受け取るには、どのような手続きが必要になるのでしょうか。

年金生活者支援給付金6/12

年金生活者支援給付金

出所:厚生労働省「年金生活者支援給付金制度」

「手続きを忘れてしまいそうで不安」と感じる方もいるかもしれませんが、心配は不要です。支給対象となる可能性のある方には、日本年金機構から請求に関する案内が届きます。

基本的には、送られてきた書類に必要事項を記入して返送するだけで手続きは完了します。

ただし、年金の受給状況によって案内の形式や届くタイミングが異なるため、3つのケースに分けて手続きの流れを確認していきましょう。

4.1 ケース1:これから年金を受け取り始める方(緑色の封筒)

まだ年金を受給しておらず、これから受給を開始する方には、受給開始年齢になる3カ月前に「年金請求書(事前送付用)」が日本年金機構から送付されます。

その際、「年金生活者支援給付金請求書」が同封されています。

必要事項を記入し、年金請求書と一緒に提出してください。なお、請求書の提出は年金の受給開始年齢に到達する誕生日の前日から可能となります。

4.2 ケース2:すでに年金を受給している方(薄緑色の封筒)

すでに基礎年金を受給している方でも、所得額の変動などによって新たに給付金の対象となる場合があります。

そうした方々に向けて、毎年9月1日から順次「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が郵送されます。

令和7年度の年金生活者支援給付金請求書(はがき型)9/12

令和7年度の年金生活者支援給付金請求書(はがき型)

出所:日本年金機構「令和7年度の年金生活者支援給付金請求書(はがき型)の送付について」

はがきが届いたら、必要事項を記入し、同封の目隠しシールを貼付します。差出人欄に自身の住所・氏名を書き、切手を貼ってポストに投函すれば手続きは完了です。

※支給要件に該当するかどうか確認できない方には、A4サイズの請求書と所得状況届が送付されます。

4.3 ケース3:老齢基礎年金を繰上げ受給中の方(薄橙色の封筒)

年金生活者支援給付金の請求書封筒、繰上げ受給中の人用10/12

年金生活者支援給付金の請求書封筒、繰上げ受給中の人用

出所:日本年金機構「65歳の誕生日を迎えた方で、老齢基礎年金を繰上げ受給している方」

最後に、老齢基礎年金を繰上げ受給している方のケースです。

65歳に到達し、給付金の支給対象になると見込まれる方には、65歳になる誕生月の初旬(1日生まれの方は前月初旬)に「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が届きます。

書類が届いたら、必要事項を記入し、目隠しシールを貼って切手を貼り、ポストに投函してください。

※このケースでも、支給要件の確認ができない方にはA4サイズの請求書と所得状況届が送付されます。

初回の手続きさえ完了すれば、その後は支給要件を満たす限り自動的に給付が継続されます。

もし所得が増えるなどして要件を満たさなくなった場合には、「年金生活者支援給付金不該当通知書」が届き、支給が停止されます。

なお、2025年1月以降に65歳になり、日本年金機構から「年金生活者支援給付金請求書(はがき)」が届いた方は、郵送だけでなく「電子申請」も利用可能です。

電子申請で提出した場合は、はがきを郵送する必要はありません。

5. 参考情報:現在の年金受給額の平均はどのくらい?

参考として、現在のシニア世代が実際にどれくらいの公的年金を受け取っているのか見てみましょう。

厚生労働省の「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」から、国民年金と厚生年金の平均的な受給月額を紹介します。

5.1 国民年金の平均受給月額

  • 〈全体〉平均年金月額:5万9310円
  • 〈男性〉平均年金月額:6万1595円
  • 〈女性〉平均年金月額:5万7582円

5.2 厚生年金の平均受給月額(国民年金を含む)

  • 〈全体〉平均年金月額:15万289円
  • 〈男性〉平均年金月額:16万9967円
  • 〈女性〉平均年金月額:11万1413円

年金額は現役時代の働き方や加入期間によって決まるため、受給額には大きな個人差があることがわかります。

6. まとめ:対象者は忘れずに手続きを

この記事では、2026年度の年金生活者支援給付金について、制度の概要から支給要件、給付額、手続き方法までを網羅的に解説しました。

この給付金は、公的年金などの収入が一定基準に満たない方の暮らしを支える、非常に大切な制度です。

まずは、ご自身が対象となるかどうか、記事で紹介した支給要件を確認することから始めてみてはいかがでしょうか。

手続きに関しては、対象となる可能性のある方へ日本年金機構から案内が届くため、過度な心配は必要ありません。

重要なのは、自宅に届く案内を見逃さず、内容をしっかり確認して手続きを進めることです。

この制度を正しく理解して活用することが、よりゆとりのあるシニアライフにつながるかもしれません。

※当記事は再編集記事です。

参考資料

中本 智恵