75歳の誕生日を迎えると、それまで加入していた健康保険から後期高齢者医療制度へ自動で切り替わります。医療機関の窓口負担は1割・2割・3割の3区分です。判定は前年の所得をもとに毎年8月1日に切り替わります。
3区分のうち最も負担が重い3割は「現役並み所得者」に適用されます。
また、2025年9月末で2割負担者への外来配慮措置が終了しました。2026年度からは保険料の都道府県別改定も進み、後期高齢者の医療費環境は大きく変わっています。
そこで本記事では、後期高齢者医療制度の仕組み、窓口負担3区分の判定基準、3割負担になる年金収入の目安を紹介します。医療費も含めた家計プランを見直す際の参考にしてみてください。
1. この記事の3つのポイント
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後期高齢者医療制度の窓口負担は1割・2割・3割の3区分で、毎年8月1日に前年所得で判定される -
3割・2割の判定は「住民税課税所得」と「年金収入等」の2軸で決まる -
3割負担になる年金収入の目安と、単身383万円・2人以上520万円の「救済ライン」を解説
2. 後期高齢者医療制度の仕組みと保険料の全体像
後期高齢者医療制度は、75歳以上(一定の障害認定を受けた65歳以上を含む)を対象とした医療保険制度です。現役世代が加入する健康保険組合や国民健康保険とは切り離されており、都道府県ごとに設置された後期高齢者医療広域連合が運営しています。
2.1 被保険者と運営主体
被保険者の対象は、75歳以上のすべての人です。65歳以上74歳以下でも、一定の障害認定を受けた場合は申請によって加入できます。制度の運営は都道府県ごとの後期高齢者医療広域連合が行い、保険料の徴収は市区町村が窓口となります。
給付内容は現役世代の健康保険とほぼ同様で、病院・診療所・薬局での窓口負担は所得に応じた割合となります。訪問看護や柔道整復なども対象に含まれています。
2.2 2026年度(令和8年度)の全国平均保険料は月7989円
後期高齢者医療の保険料は、所得に応じた「所得割」と加入者全員が一定額を負担する「均等割」で構成されます。
保険料率は都道府県ごとの広域連合が2年ごとに改定し、地域によって水準が異なります。2026年度(令和8年度)の全国平均保険料は医療分が月7989円で、令和6・7年度の月7411円から578円(7.8%)増加しました。
さらに2026年度からは「子ども・子育て支援金分」として月194円(平均保険料)が新たに上乗せされています。
3. 窓口負担の3区分と判定基準
後期高齢者医療制度の窓口負担は、1割・2割・3割の3段階です。どの割合になるかは、世帯内の被保険者の住民税課税所得と年金等収入の2軸で判定します。
なお、2025年9月末で2割負担者への外来配慮措置(月3000円の増加上限)が終了しました。
3.1 3割:住民税課税所得145万円以上+収入が規定額以上
3割負担(現役並み所得者)となるのは、世帯内に住民税課税所得145万円以上の被保険者が1人でもいる場合です。住民税課税所得は、総所得金額等から各種所得控除を差し引いた後の金額です。
住民税納税通知書では「課税標準」や「課税される所得金額」として記載されています。
ただし、収入基準を下回れば3割の対象から外れます。具体的には単身世帯で年収383万円未満、被保険者2人以上の世帯で合計年収520万円未満の場合です。
3.2 2割:住民税課税所得28万円以上145万円未満+年金収入等が規定額以上
2割負担(一定以上所得者)となるのは、世帯内の被保険者に住民税課税所得28万円以上145万円未満の人がいる場合です。
さらに「年金収入+その他の合計所得金額」が単身世帯で200万円以上、被保険者2人以上の世帯で合計320万円以上であることが必要です。両方の条件を満たす世帯のみが2割の対象になります。
単身200万円を月額換算すると月16万6000円、2人以上世帯320万円は世帯合計で月26万6000円が目安です。なお遺族年金や障害年金は「年金収入」に含まれません。
3.3 1割:上記以外
3割・2割のいずれにも該当しない場合は1割負担です。課税所得が28万円未満の人、または年金収入等の合計が基準額を下回る人が対象です。後期高齢者医療被保険者全体の多くは1割負担にあたります。
4. 3割負担になる年金収入の目安
3割負担の入口は住民税課税所得145万円以上です。年金収入のみで生活する場合の課税所得の計算式を確認します。2026年度(令和8年度)の年金額も踏まえて確認します。
4.1 年金収入→年金所得→住民税課税所得の流れ
公的年金の収入は、まず「公的年金等控除」を差し引いて「年金所得」を算出します。
65歳以上の場合、収入110万円以下は控除額が収入と同額となり所得はゼロです。収入が110万円超330万円以下では「収入額-110万円」が年金所得となります。さらに住民税では年金所得から基礎控除(43万円)などを差し引いて課税所得が決まります。
3割の入口である課税所得145万円に到達するには、年金収入で年298万円程度が一つの目安です。計算式は「145万円(課税所得)+110万円(公的年金等控除)+43万円(基礎控除)=298万円」となります。月額換算では約24万8000円です。なお社会保険料控除など他の控除がある場合、実際の閾値はさらに上がります。
4.2 単身世帯:年収383万円が「救済ライン」
課税所得145万円以上に該当しても、単身世帯で年収入が383万円未満(月額約31万9000円未満)であれば、申請(または自動判定)により3割負担の対象から外れます。
2026年度(令和8年度)の老齢基礎年金満額は月7万0608円(年84万7296円)であり、平均的な厚生年金を合わせた単身者の年金収入であっても年200万〜250万円ほどに収まることが多いため、年金収入のみの単身世帯が3割負担に達するのはかなり稀なケースです。
4.3 2人以上世帯:合計520万円が収入基準
世帯に75歳以上の被保険者が2人以上いる場合、収入の合計が520万円以上であれば3割の対象になります。夫婦ともに高い厚生年金を受け取っている世帯では視野に入る水準です。月額換算では2人合計で約43万3000円となります。
判定は毎年8月1日に前年の収入をもとに行われます。不動産売却益(譲渡所得)や株式売却益が出た翌年は、一時的に3割対象となるケースもあるため注意が必要です。



