5. 監修者コメント:負担割合は「毎年変わりうるもの」と考えておく
銀行員時代、窓口では退職金の受け取り方や不動産の売却タイミングについてご相談いただくお客様が多くいらっしゃいました。こうした一時的な収入が、翌年の後期高齢者医療の窓口負担割合に影響することを知らない方も少なくありません。
特に不動産売却や株式売却で大きな譲渡所得が出る年は、その翌年度だけ3割負担に該当してしまう可能性があります。資産を動かすタイミングを検討する際は、医療費の負担割合への影響も含めて考えることをおすすめします。
負担割合は毎年8月に見直されるものなので、「一度2割・1割だったから今後もずっとそのまま」と思い込まず、住民税課税通知書や保険料額決定通知書が届くたびに確認する習慣をつけておくと安心です。
また、意外と見落とされがちなのが「高額療養費制度」の存在です。窓口負担が3割であっても、1カ月にかかった医療費が所得区分ごとの上限額を超えた場合、申請すれば超過分は払い戻されます。つまり、負担割合だけを見て「3割は大変そうだ」と身構えるのではなく、この上限額もあわせて確認することで、実際に想定しておくべき医療費の見通しはより正確になります。窓口で相談を受ける際も、負担割合と高額療養費制度をセットで説明すると、安心される方が多い印象です。特に入院や手術を控えている場合は、事前に上限額の目安を調べておくと、当日慌てずに済みます。
6. 自分の負担割合を毎年確かめよう
後期高齢者医療制度の窓口負担3割は、住民税課税所得145万円以上が一次条件です。
さらに単身で年収383万円以上(2人以上世帯は合計520万円以上)という収入基準も満たす世帯が対象になります。2025年9月末で2割負担の外来配慮措置も終了しました。年金額の改定や臨時収入があった翌年は、特に確認が必要です。
毎年6月ごろに届く住民税課税通知書で課税所得を確かめましょう。7月ごろに届く後期高齢者医療保険料額決定通知書とあわせて、自分の負担割合と年間医療費の見通しを更新してください。
後期高齢期の夫婦ふたり暮らしにどれくらいの生活費がかかるのか、医療費も含めた具体的なデータはこちらの記事でくわしく解説しています。あわせてご参考ください。
【75歳以上 後期高齢シニア】夫婦ふたり暮らしの生活費、ひと月どれほど必要?《年金・貯蓄データを紹介》高額療養費制度はどこまで使える? 後期高齢者医療制度の《1割・2割・3割》負担割合のルールも解説《健康状態が家計を分ける分岐点にも》
判定や制度内容に疑問がある場合は、市区町村の後期高齢者医療担当窓口、または都道府県の後期高齢者医療広域連合に問い合わせて確認しましょう。
参考資料
- 厚生労働省「後期高齢者の窓口負担割合の変更等」
- 厚生労働省「後期高齢者医療制度の令和8・9年度の保険料率について」
- 東京都後期高齢者医療広域連合「自己負担割合」
- 国税庁「高齢者と税(年金と税)」
- 日本年金機構「令和8年4月分からの年金額等について」
苛原 寛
