6. 第3号被保険者制度の見直し議論。当事者の切実な本音とは
女性の厚生年金受給額が男性より少なくなる要因の一つに、結婚や出産、育児を機に離職したり、配偶者の扶養内(第3号被保険者)でパートタイムとして働く期間が生じやすいことが挙げられます。
現在、この「第3号被保険者制度」については、共働き世帯の増加などを背景に縮小や廃止の議論が交わされています。
では、影響を直接受ける可能性のある主婦・主夫層はどのように受け止めているのでしょうか。
6.1 いわゆる「主婦年金」3号被保険者制度の縮小・廃止を巡る議論をどう思う?
しゅふJOB総研(株式会社ビースタイル ホールディングス)が2026年6月に発表したアンケート調査によると、第3号被保険者制度について「縮小も廃止もしない方が良い」と答えた人は全体で52.8%に上りました。
さらに、第3号被保険者の「当事者」に限って見ると、約7割(69.3%)が現状維持を強く望んでいることが分かりました。
寄せられたフリーコメントを見ると、「子供が小さいうちは働けないケースもある」「介護や育児、体調などでまとまって働く時間を作り出すことができない人たちも多くいる」といった、働きたくても働けない事情を訴える切実な声が多く見られます。
一方で、「個人事業主等の1号被保険者は配偶者を扶養に入れられず、会社員だけの特権となっており、あまりにも不公平だ」「共働きが多い世の中になってきたので、縮小しても良いと思う」といった、制度の見直しに賛同する意見も寄せられており、賛否両論が存在していることが浮き彫りになりました。
家事や育児などのサポートが評価されるべきという声がある反面、時代やニーズの変化に伴い、制度のあり方が問われている、ということでしょう。
こうした社会保険の仕組みが将来的に変化していく可能性も視野に入れつつ、ご自身の年金見込額を早めに把握しておくことが、いっそう大切になってきますね。
7. まとめにかえて
今回は、老後の生活の基盤となる公的年金について、2カ月に一度の支給であることや額面から税金等が天引きされるといったシビアな現実を振り返るとともに、最新の統計データから女性の厚生年金受給額の実態を確認しました。
男女全体の平均受給額は約15万円ですが、この額を超える女性は全体の約12.3%にとどまり、男性の約68.7%と比べて大きな格差があることが浮き彫りになりました。
女性は結婚や出産、育児などのライフイベントによって働き方を変えざるを得ない期間が生じやすく、現役時代の働き方が将来の年金額に直結しています。
また、最後にご紹介した「第3号被保険者制度」の見直し議論では、当事者から切実な声や賛否両論が寄せられており、社会保険の仕組み自体が今後変化していく可能性も考えられます。
フリーランス時代、「年金のことなんて後回し」にしていた筆者ですが、今になって振り返ると、あの頃にもっと年金の仕組みを知り、少額からでも国民年金基金や投資を活用していれば…と悔やむ瞬間があります。
過ぎた時間は決して巻き戻せませんが、この事実に「今、気づけた」こと自体が、将来を変える大きな第一歩になります。
公的年金だけでゆとりある生活を送るのは難しい現実があるからこそ、現役世代のうちから「ねんきん定期便」などで将来の受給見込額を把握しておくことがたいせつです。
単身の方であればご自身の年金を軸に、ご夫婦であれば配偶者の年金と合わせた「世帯単位で把握しておく視点」も欠かせません。
ご自身のライフスタイルや今後の制度変化、また終わりの見えない物価高を見据えながら、新NISAやiDeCo(個人型確定拠出年金)を活用した資産形成など、自分に合った老後への備えを今日から計画的に始めていきましょう。
