いよいよ夏のボーナスシーズンがやってきました。
筆者が若い頃は、夏のボーナスといえば「どこへ旅行に行こうか」「何を買おうか」とウキウキしたものですが、年齢を重ねた最近は、長引く物価高もあり「いくら老後資金や新NISAに回そうか」と、すっかり現実的な使い道に変わりました。
同世代の働く男性たちからも「今年のボーナス、どう使う?」「少しでも投資に回した方がいいのかな」といった、将来を見据えた切実な会話が聞こえてきます。
三井物産デジタル・アセットマネジメントが公表した「夏のボーナスの使い方に関する実態調査(2026年)」によると、夏のボーナスの使い道として5年前より「投資」が増えたと答えた人の割合は全体の60.8%でした。
ボーナスを機に将来の資金計画を見直す人が増えていますが、世間の男性たちは、実際のところどれくらいの年収を得て、将来いくらの年金をもらえる予定なのでしょうか。
本記事では、厚生労働省や国税庁の最新データをもとに、「働く男性たちのリアルな懐事情」を確認していきます。
1. 【国税庁のデータで見る】男性の平均年収と実際のボリュームゾーン
まずは現在の「年収事情」から見ていきましょう。
国税庁の「令和6年分 民間給与実態統計調査」によると、1年を通じて勤務した給与所得者のうち、男性の平均給与は587万円となっています。さらに正社員(正職員)に限定すると、平均給与は609万円です。
しかし、給与階級別の分布割合を見ると、少し異なる現実が見えてきます。
1.1 男性の給与階級別分布
【男性】給与階級別の分布割合
- 100万円以下:3.5%
- 100万円超 200万円以下:5.6%
- 200万円超 300万円以下:8.7%
- 300万円超 400万円以下:14.3%
- 400万円超 500万円以下:16.9%(最も多い層)
- 500万円超 600万円以下:14.7%
- 600万円超 700万円以下:10.3%
- 700万円超 800万円以下:7.6%
- 800万円超 900万円以下:5.0%
- 900万円超 1,000万円以下:3.6%
- 1000万円超 1,500万円以下:7.0%
- 1500万円超 2,000万円以下:1.7%
- 2000万円超 2,500万円以下:0.4%
- 2500万円超:0.6%
男性で最も多いボリュームゾーンは「400万円超 500万円以下(16.9%)」です。これに「300万円超 400万円以下」と「500万円超 600万円以下」の層を合わせると、全体の半数近く(45.9%)を占めています。
「平均値(587万円)」は一部の高所得者によって数値が引き上げられる傾向があるため、平均値の裏には「それよりも低い金額の層に多くの人が集中している」という実態があることを知っておくことが大切です。
この現在の年収は、将来のボーナスの額だけでなく、老後に受け取る「厚生年金」の額にも直結します。
次では「現役時代の年収」と「老後の年金」の関係を見てみましょう。
2. 65歳以降の年金受給モデル「厚生年金メイン vs 国民年金メイン」で比べてみると?
日本の公的年金制度は、働き方によって加入する年金の種類が異なります。
厚生労働省が公表した「多様なライフコースに応じた年金額(概算)」をもとに、男性の働き方別のモデル年金を見てみましょう。
2.1 ライフコース別《65歳以降の年金めやす》2つのパターン
① 会社員経験が長い男性(厚生年金が中心)
- 想定: 平均収入50.9万円(年収約610万円)で39.8年間就業
- 年金月額の目安: 17万6793円
この「年収約610万円」という想定は、先ほど確認した現在の正社員男性の平均給与(609万円)に近い金額ですが、あくまで「現役時代(若い頃から定年まで)の約40年間の平均年収」である点に注意が必要です。
給与が低い傾向にある20代などの若手時代も含めた「生涯の平均値」であるため、現在の年収と単純比較できるものではないことを念頭に置いておきましょう。
② 自営業・フリーランスの男性(国民年金が中心)
- 想定: 厚生年金加入期間7.6年(平均収入36.4万円)
- 年金月額の目安: 6万3513円
会社員が加入する厚生年金が「現役時代の収入」に比例して年金額が増えるのに対し、自営業などの国民年金は「収入にかかわらず加入期間で決まる定額制」です。
そのため、現役時代にどれほど高収入であっても、公的年金だけで月額7万円程度を超えることは原則ありません。
会社員以上に、iDeCo(個人型確定拠出年金)や新NISAなどを活用した「自分年金」作りが必須となる層だと言えます。
2.2 働き方でこれだけ違う老後の収入
同じ男性であっても、現役時代の働き方によって、将来の年金額には月額11万円以上の大きな差が生じることがわかります。
国民年金は加入期間によって定額で計算されますが、報酬比例である厚生年金においては、就業期間の長さや現役時代の収入の差がダイレクトに老後の受給額に直結します。
厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、男性の厚生年金の平均は月額約16万9967万円、国民年金の平均は月額約6万1595円となっており、月額で11万円ほどの大きな格差が存在しています(2024年度末)。
自営業やフリーランスなど国民年金が中心となる方は、公的年金以外の収入源を現役時代からしっかり確保していく視点が大切です。
また会社員であっても、現役時代の年収が先ほどのモデルケース(約610万円)を下回っていれば、将来受け取る厚生年金の額も比例して少なくなります。
「厚労省のモデルケースで17万円もらえるから安心」と思い込むのではなく、「ねんきん定期便」などを確認し、リアルな見込額をもとに資金計画を立てていきましょう。
3. 夏のボーナスの主役は「預貯金」から「投資」へ?
ここまで、男性の年収や年金に関する一次データを見てきました。
長寿化や物価高を考慮すると、公的年金に加えて自助努力による資産形成の重要性がますます高まっています。
冒頭でも触れた三井物産デジタル・アセットマネジメント株式会社が2026年6月に公表した「夏のボーナスの使い方に関する実態調査」のデータに目を向けてみましょう。
夏のボーナス「5年前と比べて特に増えた使い道」とは?(三井物産デジタル・アセットマネジメント調べ)3/3
出所:三井物産デジタル・アセットマネジメント株式会社「【夏ボーナス使い道調査】5年前比で『投資が増えた』60.8%、預貯金の約3倍」(2026年6月25日公表)
同調査によると、5年前と比べて「特に増えた使い道」の最多は「投資(60.8%)」にのぼり、「預貯金(21.1%)」の約3倍となりました。
とくに世代別で見ると、30代の79.7%、40代の71.1%が「投資が増えた」と回答しており、現役世代を中心にボーナスの使い道が確実に「貯蓄から投資へ」シフトしていることが分かります。
また、投資経験を積むほど、株式や投資信託だけでなく、債券やデジタル証券などへ資産の分散を進める傾向も。
その一方で、投資の配分について「明確なルールがある」と答えた人は15.1%にとどまっており、多くの人が厳密なルールではなく、緩やかな目安で配分を決めているのが実情のようです。
4. まとめにかえて
今回見てきたように、現役時代の働き方や年収の違いは、将来の年金額に月額10万円以上もの大きな格差を生み出します。
長引く物価高を考慮すれば、「年金だけで老後は安心」と思い込むのは危険であり、不足分を自ら準備する視点が不可欠です。
調査が示す通り、すでに多くの現役世代がボーナスを機に行動を移し始めていますが、無理に資金をすべて投資へ回すのが正解というわけではありません。
今年の夏にボーナスを受け取った方は、まずは「ねんきん定期便」でご自身のリアルな年金見込額を確認してみてください。
そして夏のボーナスをきっかけに、すぐに引き出せる手元資金としての「預貯金」、万が一の事態に備える「保険」、そして将来のインフレ対策や資産形成を担う新NISAやiDeCoなどの「投資」。
これらをそれぞれの目的に合わせて組み合わせ、上手にバランスをとった自分なりのポートフォリオづくりについて、前向きに検討を始めてみてはいかがでしょうか。
※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品や投資の勧誘・推奨を目的とするものではありません。投資にかかる最終決定は、ご自身の判断と責任において行われますようお願いいたします。

