株式会社帝国データバンクが6月11日に公表した「2026年夏季賞与の動向アンケート」によると、企業の37.1%で夏のボーナスが「増加」し、正社員1人当たりの平均支給額は前年比1.8万円増の47.7万円となる見通しです。
手元に入るお金に関する話題がある一方で、日々の生活を支える給与の実態も気になるところです。国税庁が発表した「令和6年分民間給与実態統計調査」の結果、日本国内における給与所得者の平均給与は477.5万円です。
筆者は現在は金融IT企業で個人向けに資産運用のコンサルティングを行っていますが、生活設計や将来への備えを考えるにあたり、世の中の平均的な収入事情を知っておくことは重要であるとお伝えしています。
このデータを性別で分けてみると、男性の平均は586.7万円、女性の平均は333.2万円。男女の間に253.5万円もの開きが存在しているのが現状です。その一方で、全体の推移としては緩やかに上昇する傾向が継続しています。
今回はこの新しい調査報告をもとに、正社員と正社員以外という雇用形態の違い、年齢層ごとの変化、そして従事する業種という3つの視点から、日本の給料のリアルな実態を紐解いていきます。
1. 雇用形態による給与格差―正社員とそれ以外の明らかな違い
先ほど挙げた477.5万円という金額は、正規雇用と非正規雇用のすべてを合算した全体の平均値です。これを雇用形態ごとに切り分けて見ていくと、両者の間には極めて大きな隔たりがあることが浮き彫りになります。
具体的には、正社員の平均給与が544.9万円に達しているのに対し、パートやアルバイトといった正社員以外の平均給与は206.3万円にとどまります。この差額は338.6万円という大きなものになっています。
さらに、この雇用形態の違いによる格差は男女別に見ても同様です。正社員の場合、男性は608.6万円、女性は429.9万円。これに対して正社員以外では、男性が271.1万円、女性が174.1万円となっています。このように、どのような雇用形態を選ぶか、そして性別がどちらであるかという二つの要素が、個人の収入水準を大きく左右していることが分かります。
2. 年齢層で見る平均給与の動向―男女で分かれるキャリアと賃金の推移
世代ごとの平均給与の移り変わりをチェックすると、男性と女性とではその描き出すカーブが全く異なっていることが確認できます。
男性の傾向としては、25〜29歳の段階における437.6万円をスタートに、年齢を重ねるにつれて着実に給与が増えていきます。30〜34歳で511.6万円、40〜44歳で629.5万円、50〜54歳で708.5万円と順調に上昇し、55〜59歳のタイミングで734.6万円という最も高い水準を迎えます。しかし、60〜64歳に達すると604.4万円へと一転して大きく減少します。これは、多くの企業で定年退職や役職定年のタイミングを迎えることが主な要因と推測されます。
これとは対照的に、女性の場合は25〜29歳の370.1万円を記録して以降、年齢が変わっても給与の額はほとんど変化しません。最も高い金額となるのは45〜49歳の368.6万円ですが、男性のように50代にかけて右肩上がりに急増するような現象は見られません。結果として、30代を迎えてからは年齢を重ねるごとに男女間の所得格差が広がり続ける構図になっています。
3. 業種別の給与格差―どの業界を選ぶかで年収はこれだけ変わる
自身の収入や待遇を左右する上で、どの「業界」を選択するかは極めて重みのある要素となります。
実際のところ、平均給与がトップの業種と最下位の業種との間には、およそ553.1万円もの開きが見られます。
調査対象となった全14業種の中で、平均給与が高い上位3つの業種は次の通りです。
- 1位:電気・ガス・熱供給・水道業(832.4万円)
- 2位:金融業・保険業(702.3万円)
- 3位:情報通信業(659.5万円)
トップに位置するインフラ関連の業界は832.4万円と非常に高い水準を誇り、2番目の金融業・保険業も702.3万円と、業界全体の平均でありながら700万円を超えています。なお、男性のデータのみに絞ると、金融業・保険業が898.1万円、電気・ガス・熱供給・水道業が878.5万円という数字を記録しています。
その一方で、平均給与が低い部類に入る下位3つの業種は以下の通りです。
- 12位:サービス業(389.1万円)
- 13位:農林水産・鉱業(347.9万円)
- 14位:宿泊業・飲食サービス業(279.3万円)
いま現役で働いている業界や、将来的にキャリアチェンジを目指す業界がどのポジションに属しているかによって、得られる年収の目安はドラスティックに変化すると言えるでしょう。
4. 全体の総括
今回の令和6年分の統計結果を見ると、全体の平均給与は477.5万円(男性586.7万円、女性333.2万円)となっています。しかし、この平均値の背景には、雇用形態や年齢、業種によって大きな差があることが分かります。
私自身、銀行に勤務していた頃は、現役を引退した年金受給者の方々とお話しする機会が数多くありました。ご相談の中では、「年金だけで生活するのは難しい」という切実な声を耳にすることも少なくありませんでした。
その際には、不足する生活費をどのように補っていくかについて一緒に考える機会も多くありました。しかし、老後になってからでは資産を増やせる期間が限られるため、選択できる手段もどうしても限られてしまいます。
だからこそ、老後まで時間がある今のうちから、将来に向けた資産形成について考え、自分に合った方法を選択していくことが大切です。早くから準備を始めることで、将来の選択肢を広げ、安心した老後につなげることができます。