2. お金の量を調整する「QE」と「QT」の仕組み
FRBが持つもう1つのレバーが、「お金の量(マネタリーベース)」の調整です。市場に出回る資金そのものの量をコントロールすることで、経済の熱を冷ましたり温めたりします。
このお金の量を増やす仕組みを「QE(量的緩和)」と呼びます。泉田氏はそのメカニズムを次のように解説します。
「FRBが国債を大量に買い取ると、市場にお金が流れます」
具体的には、民間の金融機関が保有している国債などの資産を、FRBが新たにお金を刷って買い取ります。すると、金融機関の手元には大量の現金が渡り、それが企業への貸し出しなどを通じて世の中に広く出回ることになります。
これは、日本銀行が国債を買い入れて市場に資金を供給している仕組みと全く同じです。
一方で、世の中のお金が多すぎると、モノに対してお金の価値が下がり、物価が上がり続ける「インフレ」を引き起こしやすくなります。そこで必要になるのが、お金の量を減らす「QT(量的引き締め)」という行動です。
QTでは、FRBが過去に買い込んで保有している資産(国債など)を売却したり、満期を迎えても再投資せずに手放したりします。
投資家や金融機関がそれを買うためにFRBへお金を支払うことで、市場から資金が吸い上げられ、世の中に出回るお金の量が減る仕組みです。これにより、FRB自身の「バランスシート(保有資産の規模)」もスリム化されていきます。
世の中のお金が増えればインフレになりやすく、減ればデフレになりやすい。FRBは、この「お金の量」と先ほどの「金利」という2つのレバーを巧みに操作しながら、物価の安定と雇用の最大化という使命を果たそうとしているのです。
