日経平均株価が初の6万9,000円台を突破し、市場は大きな活気に沸いています。

この歴史的な上昇相場を牽引しているのは、依然として成長期待の大きい「半導体関連株」です。

しかし、その目まぐるしい乱高下やハイリスクな値動きに対し、心理的な負担を感じ始めている個人投資家の方も少なくないでしょう。

株価の画面に張り付き、一喜一憂するスタイルから一歩引き、「もっと地に足のついた、日常生活で確かな恩恵(優待や配当)を実感できる銘柄に目を向けたい」というニーズも高まっています。

こうした局面において、半導体株に資金が集中する裏で、相対的に出遅れている「ディフェンシブ株」は、中長期的な視点から改めて注目を集めています。

なかでも私たちの生活に深く根ざした小売界の2大巨頭、「イオン(8267)」と「セブン&アイ・ホールディングス(3382)」は、その代表格です。

本記事では、2026年現在の最新データに基づき、両社の事業の強みや株主還元の違いを比較します。

1. どちらも1株→3株の株式分割で「手の届きやすい水準」へ

まずは、両社を保有する際の手元資金(最低投資金額)を比較してみましょう。

近年、両社ともに1株⇒3株の株式分割を実施したことで、個人投資家にとって購入のハードルが大きく下がっているのが共通の特徴です。

主要な半導体関連株の中には、最低単元(100株)の購入に数百万円のまとまった元手が必要な銘柄も少なくありませんが、イオンとセブン&アイは、どちらも「20万円以下」という比較的少額の予算から投資が可能です。

多額の資金を一度に動かすリスクを避け、日常の延長線上で取り組みやすい投資環境が整っていると言えます。

  • イオン:2025年9月1日付で普通株式1株につき3株の株式分割を実施
  • セブン&アイ:2024年3月1日付で同1株につき3株の株式分割を実施

1.1 2026年6月15日時点の株価と最低投資金額

イオン

株価終値:1,382.5円/投資最低金額:13万8,250円

セブン&アイ

株価終値:1,939.5円/投資最低金額:19万3,950円

なお、いずれも配当や優待の権利を獲得するための次回のスケジュールは以下の通りです。

  • 権利付き最終日(この日までに購入・保有):2026年8月27日(木)
  • 権利落ち日(この日から売却してもOK):2026年8月28日(金)
  • 権利確定日(公式に株主名簿に載る日):2026年8月31日(月)

2. 8月の権利確定で優待がもらえるのは「イオン」だけ!セブン&アイHDは「中間配当」のみ

ここで大きな注意点があります。

8月27日の権利付き最終日までに株を購入して、株主優待の権利が得られるのは「イオン」のみです。

セブン&アイHDの株主優待の権利確定月は「2月」のため、注意が必要です。

ただ、いずれも8月の権利確定では「中間配当」をもらえます。

投資を検討するにあたっては①「優待が目的」②「配当が目的」③「優待と配当、両取りが目的」と、①~③のどれがご自身の投資スタンスにマッチしているのか、確認してみてください。

続いて、それぞれの企業の具体的な魅力を順に追っていきましょう。

次からは、イオンとセブン&アイ、それぞれの魅力をみていきましょう。

3. 【イオンの魅力】キャッシュバック+シネマ&ラウンジを100株から満喫する最強の生活防衛

毎日の買い物や生活のクオリティそのものを力強くディフェンスしたいなら、イオンの右に出るものはありません。

イオンの魅力は何といっても株主優待制度で、最低投資単位の100株だけでも利用しやすく整備されています。

3.1 お買い物時の割引・優待料金&長期特典

株主になると発行されるオーナーズカードにより、日々の買い物でお会計時割引や優待料金特典、持株数に応じた返金(キャッシュバック)の恩恵を受けることができます。

100株の保有では1%のキャッシュバック率となります。

さらに、同じ株主番号で3年以上継続して保有、かつ1,500株以上を保有する株主を対象とした「長期株主特別優待制度」も完備されており、じっくり長期保有するメリットも抜群です。

3.2 株主の定番!イオンシネマ&イオンラウンジ特典

見逃せないのが、オーナーズカードの提示で受けられる以下の生活密着型特典です。

イオンシネマでは、カードを提示することで優待料金(大人:1,000円)で映画が見られるほか、ポップコーンまたはドリンクがもらえます。このカードは、株主本人だけでなく、生計を同一にする配偶者や親、18歳以上の子どもといったご家族も利用可能です。

お買い物の合間に一息つける「イオンラウンジ」は、保有株数に応じて月間の利用回数(最大は1,500株以上の保有で月16回まで利用可能)が決まっています。100株保有の場合は月に4回まで利用できます。

お客さま感謝デーの割引特典などと合わせて100株からフルに活用できるようになっています。

3.3 堅い配当実績と2026年5月発表の新中期経営計画

株主還元においては、安定的な実績と方針を示しています。2026年2月期の年間配当金は、株式分割前の計算で41円(中間20円、分割考慮後の期末配当は7円)と、計画通りに実施されました。なお、今期(2027年2月期)の通期予想では、分割考慮後で年間15円(中間7.5円・期末7.5円、いずれも0.5円の記念配当含む)を計画しています。

直近ではドラッグストア大手のウエルシアに加えてツルハホールディングスを連結子会社化し 、ヘルス&ウエルネス分野のグローバルリーダーとしての地位を盤石にしました。 また、ネット専用スーパー「Green Beans(グリーンビーンズ)」のエリア拡大など 、実店舗とデジタルを融合させた「イオン生活圏」の創造をスピーディーに推進しています。

2026年5月11日には、2026年度から2030年度までの5カ年を対象とした「グループ中期経営計画」を策定。これまでに強化した事業基盤を活かし、環境変化を確実な収益・利益へ結びつける抜本的な構造変革へ舵を切っています。

4. 【セブン&アイの魅力】ヨーカ堂を分離し「世界のコンビニ株」へ大脱皮&累進配当

「セブンは身近なスーパーや銀行の会社」というイメージをお持ちなら、その認識は過去のものです。

同社は今、驚くべきスピードで「世界基準の成長株」へと生まれ変わっています。

4.1 イトーヨーカ堂などを切り離し、CVS特化型企業へ

セブン&アイは大胆な構造改革を断行しました。2025年6月24日付でセブン銀行とその子会社を、さらに2025年9月1日付でイトーヨーカ堂やヨークベニマルなどを連結範囲から一挙に除外しました。おなじみのスーパー事業や金融事業をあえて分離し、「コンビニエンスストア(CVS)事業」へ100%注力することで、グローバルでの成長を加速させる強固な体制を整えたのです。

2026年4月23日に開催された「IRDay2026Spring」でも、看板商品である米飯の差別化や「Live-Meal(できたて商品)」「7NOW(デリバリー)」の拡大といった、シャープな変革の道筋を提示しています。

4.2 還元スタンスは「累進配当」を明記!さらに力強い増配へ

投資家にとって最も心強いのが、持続的な利益成長に合わせて増配していく「累進配当」の実施を明確にコミットしている点です。

実際の配当計画も非常に力強く、2026年2月期の年間50.0円(中間25.0円・期末25.0円)に対し、翌2027年2月期(2026年度)は年間60.0円(中間30.0円・期末30.0円)へと増配する会社予想(計画)を公表しています。

4.3 株主優待は「共通商品券」

株主優待は、イトーヨーカドーやセブン‐イレブンなどの店舗で使える「共通商品券」です。持株数に応じて、2,000円分~3,000円分がもらえます。3年以上の保有では、さらに500円分が上乗せされます。

5. 財務指標の比較:最新決算データ

両社の業績と財務の健全性を比較してみましょう。

イオンVSセブン&アイ1/1

財務指標の比較表

出所:各種資料より筆者作成

【営業収益(売上高)】

  • イオン:10兆7,153億円(過去最高)
  • セブン&アイ:10兆4,302億円

売上の規模感はイオンがリード。どちらも10兆円を超える超巨大企業です。

【営業利益(本業の儲け)】

  • イオン:2,704億円(過去最高)
  • セブン&アイ:4,229億円

本業で効率よく稼ぐ力は、セブン&アイが大きく優勢です。

【当期純利益(最終利益)】

  • イオン:726億円
  • セブン&アイ:2,927億円

【1株当たり当期純利益(EPS)】

  • イオン:26.87円
  • セブン&アイ:118.81円

1株あたりの「純利益」の面でも、セブン&アイが強さを見せています。

【自己資本比率(財務の安全性)】

  • イオン:7.9%(※銀行などの金融事業を除いた場合は14.3%)
  • セブン&アイ:39.6%

財務の健全性・安定感は、セブン&アイに軍配が上がります。

5.1 結論

規模のイオン:売上高(営業収益)は10.7兆円を超え過去最高。売上の規模感でリードしています

利益率・財務のセブン:利益額・EPSともに大きく、自己資本比率も高いため、効率よく稼ぐ力と財務の安定感が際立っています

6. どちらを選ぶかのポイントは「生活スタイル」次第

ここまで日本を代表する小売りの二大巨頭を比較してみました。

イオンが向いているのは、日々の生活費をダイレクトに浮かせたい実利派の方や、過去最高業績を叩き出す安定感を重視したい方でしょう。また、なんと言っても普段の生活圏(イオン、マックスバリュ、ウエルシアやツルハなどのドラッグストア)で頻繁にお買い物をする方はイオンが選択肢の候補に挙がるでしょう。 

セブン&アイ・ホールディングスが向いているのは、「優待」よりも、持続的な増配を目指す「累進配当」の方針を魅力に感じる「配当派」でしょう。加えて世界展開するコンビニ事業の成長性に期待したいという向きや、とにかく財務の健全性・安定感が第一という方はセブン&アイに目を向けてみるのも一案です。

どちらの銘柄も株式分割によってグッと身近になりました 。ただし、株式投資には株価下落などのリスクも伴います。

優待の魅力だけでなく自己責任の原則をしっかり頭に置いたうえで 、ご自身のライフスタイルに合った銘柄選別を行ってください。

※免責事項

  • この記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の株式の売買を推奨するものではありません。
  • 本記事の情報に基づいて生じたいかなる損害や損失についても、一切の責任を負いかねます。投資に関する最終的な判断は、最新の決算資料や市場動向をご自身で確認し、自己責任で行うようお願いします。
  • 株主優待の内容や適用条件は変更されることがありますので、必ず企業の公式サイトで最新情報をご確認ください。

参考資料