4. 【75歳以上 後期高齢シニア夫婦】老後資金を揺るがす介護費負担にどう備えるか
老後資金の計画において、最も予測が難しい不確定要素が「介護」と「医療」にかかる費用です。
生命保険文化センターの調査によれば、介護が始まる際の初期費用(住宅改修や介護用ベッドの購入など)は平均約47万円、その後の月額費用は平均約9万円かかり、平均で約4年7カ月継続するとされています。
つまり、トータルで約540万円の支出となり、介護費用がまったくかからなかった世帯はわずか17.5%にとどまります。
また医療費については、75歳以上が加入する後期高齢者医療制度の窓口負担は原則1割ですが、一定の所得がある人は2割または3割負担となります。
2025年9月末には、2割負担導入時の負担軽減措置(外来医療費の増加額を月3000円以内に抑える仕組み)が終了したため、今後は自己負担額が増加する世帯が増えると考えられます。
5. まとめにかえて
75歳以降の家計は、「平均値」だけで安心できるものではありません。
ゆとりある生活を望むなら、手取りの年金収入との間には大きなギャップがあり、不足分を補うための計画的な資産形成や管理が必要不可欠です。
さらに、高齢期には認知症の発症リスクも高まります。認知症による介護は一般的な介護よりも期間が長引きやすく、日常生活全般の見守りなど、目に見えない形での「家族への負担(離職リスクなど)」も増大します。
人生100年時代を生き抜くためには、単純な貯蓄額の多さだけでなく、インフレに負けない運用や計画的な取り崩しによる「資産寿命の延伸」が求められます。
年金や社会保障制度を正しく理解し、将来の介護・医療リスクや家族全体の負担をトータルで見据えた、現実的で無理のない資金計画を現役時代から立てていきましょう。
参考資料
- 帝国データバンク飲食料品値上げ、7月は2566品目 年間2万品目ペース 「中東発」値上げラッシュ、夏以降に本格化 9月は年間最多の3千品目超えに「食品主要195社」価格改定動向調査 ― 2026年7月
- 総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2025年(令和6年)平均結果の概要」
- 総務省「家計調査 家計収支編 2025年〔二人以上の世帯〕」(第3-2表)
- 厚生労働省「高齢期と年金をめぐる状況」
- 総務省統計局「家計調査 用語の解説」
- 生命保険文化センター「2025(令和7)年度 生活保障に関する調査」
- 厚生労働省年金局「令和6年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 総務省統計局「家計調査 貯蓄・負債編 2025年 〔二人以上の世帯〕」(第8-10表)
- 生命保険文化センター「リスクに備えるための生活設計」
- 政府広報オンライン「後期高齢者医療制度 医療費の窓口負担割合はどれくらい?」
- 厚生労働省「後期高齢者の窓口負担割合の変更等(令和3年法律改正について)」