3. 貯蓄:平均貯蓄額2392万円。格差とインフレリスク

毎月の赤字を補うための頼みの綱が「貯蓄」です。

家計調査によると、75歳以上の無職夫婦世帯の平均貯蓄額は2392万円。そのうち6割超を、通貨性・定期性預貯金などの金融機関の預貯金が占めています。

二人以上世帯のうち「世帯主が75歳以上、無職世帯」の貯蓄額

二人以上世帯のうち「世帯主が75歳以上、無職世帯」の貯蓄額

出所:総務省統計局「家計調査 貯蓄・負債編 2025年 〔二人以上の世帯〕」(第8-10表)をもとに筆者作成

毎月2万7000円(年間約32万4000円)の赤字が続いた場合、単純計算ではこの2392万円の貯蓄で約73年間もつことになります。

しかし、これはあくまで「追加の医療費や介護費が発生せず、物価も安定している」という極めて限定的な前提に基づいた、いわば「机上の空論」に過ぎません。

実際には、この平均額は一部の富裕層が引き上げている面が強く、貯蓄額がこれより大幅に少ない世帯も多く存在するという深刻な「資産格差」があります。

また、資産の多くを安全な預貯金に置いているため、昨今のようなインフレ(物価上昇)が長引けば、実質的な資産価値が目減りしていく点にも注意が必要です。