NTTの株価は停滞感があります。2024年以降は150円を挟んだ値動きが続いており、2023年まで続いた上昇トレンドは大きく転換しました。現在は146.7円の取引で、2024年1月の高値192.9円は遠い状況です(2026年6月9日終値)。

NTTの株価(日足、1年)1/5

NTTの株価(日足、1年)

出所:著者作成

株価停滞の一方、株主優待や配当金の利回りは相対的に上がっています。本記事で株主優待および配当金の利回りを確認してみましょう。また、株価反転の時期を経営方針から探ってみます。

※記事中で記載の株価は全て終値となっています。
※決算情報・業績等は執筆時点での情報にもとづいています。

1. 【NTT(9432)】株主優待「dポイント最大4500円相当」総合利回りはいくら?

NTTの配当金と株主優待イメージ2/5

NTTの配当金と株主優待イメージ

出所:NTT株式会社「株主さまへのdポイント進呈」より著者作成

まずはNTTの株主優待を解説します。

1.1 株主優待は「dポイント」 最大4500円相当

NTTの株主優待はdポイントの進呈です。dポイントは全国の加盟店で使用できる共通ポイントで、1ポイント=1円で使用できます。

株主優待は、連続して保有する株主に実施するものです。3月末時点で保有期間が2年以上3年未満の株主には1500ポイントを、5年以上6年未満の株主には3000ポイントを進呈します。

例えば、2027年3月期(2026年4月~2027年3月)に初めて株主となった場合、2029年3月末に1500ポイント、2032年3月末に3000ポイントを受け取れる権利が確定します。対象株主にはエントリー用のログインIDおよびパスワードが発送され、手続きを行うことでdポイントを受け取る流れです。

なお、NTTの株主優待は毎年受け取れるものではありません。2年以上と5年以上の保有で、それぞれ1回限りの進呈です。つまり、保有を6年以上続けても追加の株主優待はなく、同一株主が受け取れるdポイントは最大で4500円相当となります。

1.2 配当利回り3.6%超!株主優待とあわせた「総合利回り」は8.8%!

株主優待に加え、配当金にも期待できます。NTTは代表的な高配当銘柄であり、今期(2027年3月期)は1株あたり予想配当金は5.4円、配当利回りは3.68%です(2026年6月9日終値)。NTTは「継続的な増配」が基本方針であり、今後も安定的な配当に期待できます。

ここで、株主優待も加味した総合利回りを計算してみましょう。先述の株主優待は、6年間で計4500円相当のポイントが受け取れるものです。一方、配当金は1株あたり5.4円が維持される前提なら、100株の保有で1年に540円、6年で計3240円となります。

つまり、100株を6年間保有した場合の株主優待と配当金の合計は7740円相当です。足元の株価で6年間の総合利回りは52.76%、1年あたり8.80%と計算できます(2026年6月9日終値)。

2. 【NTT(9432)】株価停滞の背景に成長の鈍化 「ドコモ」伸び悩み

NTTの業績(2017年3月期~2027年3月期)3/5

NTTの業績(2017年3月期~2027年3月期)

出所:NTT株式会社「決算短信」より著者作成

配当金や株主優待の利回りは高水準ながら、冒頭のとおりNTTの株価は思わしくありません。背景には成長期待のはく落があるとみられます。ここで、NTTの業績を確認しておきましょう。

2.1 「ドコモ」2期連続で営業減益 シェア低下と販促費が重荷

・2025年3月期から利益水準が低下
・ドコモはシェア低下が続く

NTTの2026年3月期は、売上高に相当する営業収益が前期比5.1%増、営業利益が同3.4%増と増収増益でした。しかしながら、営業利益は1兆7062億円と、2年前の1兆9229億円からは約1割低く、営業利益率も2.5ポイント悪化しています。

停滞の主因は、中核企業であるNTTドコモの苦戦です。契約数の伸びが鈍く、競合にシェアを奪われている状況がうかがえます。2026年3月期は、モバイル通信で減収および販促費の増加が発生し、営業減益となりました。営業減益は2期連続で、NTT全体が停滞する原因となっています。

携帯電話契約数(2019年3月~2026年3月)4/5

携帯電話契約数(2019年3月~2026年3月)

出所:一般社団法人 電気通信事業者協会「携帯電話契約数 事業者別契約数」より著者作成

NTTドコモの業績(2017年3月期~2027年3月期)5/5

NTTドコモの業績(2017年3月期~2027年3月期)

出所:株式会社NTTドコモ「決算説明会資料」より著者作成

2.2 利益4兆円は30年度へ先送り 通信以外で再成長へ

・EBITDA(※)4兆円目標は3年後ろ倒し
・IT・AI・データセンター・金融を強化、脱通信へ
※EBITDA(税引前、利払前、償却前利益)

2026年3月期の本決算では、中長期目標の見直しも公表されました。利益目標として定めたEBITDA4兆円の達成時期は、従来の2028年3月期から2031年3月期へ後ろ倒しとなりました。足元で通信といった既存事業が落ち込んでいることが理由です。

NTTは、通信以外の事業へ注力し利益の回復を目指します。国内は法人向けにシステム開発といったITビジネスを拡大するほか、海外はAIやデータセンターを軸に展開を強めます。また金融子会社(NTTドコモ・フィナンシャルグループ)を設立し、金融事業の成長を加速させる方針です。

3. 【NTT(9432)】バリュエーションも割安放置 株価反転は来期以降か

NTTは株主優待および配当金の利回りが高い一方で、株価は停滞しています。NTTの予想PERは12.12倍と、同業のKDDI(13.86倍)と同水準ながら、ソフトバンク(18.33倍)に見劣りします。また実績PBRは1.17倍と、KDDI(1.85倍)やソフトバンク(2.17倍)を明確に下回る状況です(2026年6月9日終値)。

NTTは割安感がある一方、市場の評価を得られていないとの見方もできます。

株価浮上のカギは、通信といった既存事業のテコ入れです。通信事業は厳しい競争環境のなかで、通信基地局の整備といった設備投資も想定されます。NTTは生産性向上に取り組み利益の創出を目指す方針ですが、それが確認されれば株価は再評価されやすいでしょう。

もう1つ、期待したいのがAI関連ビジネスです。子会社のNTTデータグループはデータセンター事業者として世界3位、ITサービス事業者としても世界5位の座を占めています。AIの台頭から、これらの事業には追い風が吹いており、NTT全体の財務にも反映されるようになれば、投資家の買いが向かうかもしれません。

NTTの計画から、今期(2027年3月期)までは利益の本格的な回復は発現しない見通しで、当面は厳しい評価が続きそうです。計画どおり収益力を再強化できれば、株価は上昇しやすいでしょう。動向を注視したいところです。

免責事項

  • 投資判断は、最新の決算資料や市場動向をご確認のうえ、ご自身の責任で行ってください。
  • 本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の株式の売買を推奨するものではありません。
  • 株主優待の内容や条件は変更される場合があります。詳細は必ず公式サイトでご確認ください。

参考資料

若山 卓也