2. 「65歳以上の世帯」家族のかたちは昔と今でどう変わった?
老後を考える際に考えたい「家庭のかたち」は昔とは変わっています。
厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」によると、65歳以上の者のいる世帯は2760万4千世帯で、全世帯の50.3%を占めます。さらに、世帯類型をみると「高齢者世帯」は1720万7千世帯、全世帯の31.4%にのぼります。
変化が特にみられるのは65歳以上の者のいる世帯における「単独世帯」「夫婦のみの世帯」「三世代世帯」の構成比の変化です。1986(昭和61)年と2024(令和6)年を比べると、次のように変化しています。
- 単独世帯:13.1%(1986年)→32.7%(2024年)
- 夫婦のみの世帯:18.2%(1986年)→31.8%(2024年)
- 三世代世帯:44.8%(1986年)→6.3%(2024年)
つまり、約40年前は子や孫と暮らす三世代世帯が約半数近くを占めていたのに対し、いまは10世帯に1世帯にも届きません。一方で単独世帯と夫婦のみの世帯を合わせた割合は31.3%から64.5%へと倍以上に拡大しました。夫婦ふたり、あるいはひとりで老後を過ごすかたちが、いまや標準になりつつあります。
あわせて、全世帯の平均世帯人員も1986年の3.22人から2024年は2.20人となりました。
3. 【2026年度】も年金額改定でも「実質目減り」。夫婦でどう備える?
厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」によると、2026年度の改定で老齢基礎年金の満額は月「7万608円」、夫婦の標準的な厚生年金額は月「23万7279円」になります。前年度からは国民年金が+1.9%、厚生年金が+2.0%の引き上げです。
とはいえ、改定の根拠となった物価変動率は3.2%で、改定率はそれを下回ります。また今回は賃金変動率2.1%にあわせ、「マクロ経済スライド」と呼ばれる調整も入りました。これらの仕組みにより、年金額は増えたものの実質目減りとなります。だからこそ、夫婦で年金と貯蓄をどう組み合わせて考えるかがより大切になります。
3.1 夫婦で年金を合算して、家計を見える化する
個人ごとの年金額だけを見ると、足りるかどうかが判断しにくいものです。一方で、夫婦の年金月額を並べて書き出してみると、世帯全体の収入が見えてきます。
共働きで厚生年金加入歴のある夫婦と、片方が国民年金のみの夫婦とでは、月々の手取りに差が出ます。世帯収入と日々の生活費を並べてみることで、貯蓄から毎月いくらを取り崩す前提でいけばよいか、ふたりで共通の認識をつくれるでしょう。
なお、税金や社会保険料を払った後の手取りで計算しましょう。年金振込通知書が6月上旬に原則届く予定なのでこちらを確認するといいでしょう。
3.2 長く働く、固定費を見直すなどの選択肢も
年金額の実質目減りを補う方法は、収入を増やすか、支出を減らすかの2方向です。近年は65歳を過ぎても働く人が増えており、長く働くことは年金だけに頼らない家計をつくる方法の一つにはなります。
支出側では、保険料・通信費・サブスクなど毎月の固定費を一度棚卸しすると、生活水準を落とさずに月数千円などの節約が可能になる場合もあります。
また預貯金だけでなく、資産運用を取り入れると、元本割れのリスクはあるものの効率よく貯蓄を増やせる可能性もあります。リスクとリターンは投資方法や金融商品により多様ですから確認してみるのもいいでしょう。
4. まとめにかえて
2026年度の年金改定では名目額が増えても、物価上昇には届かず実質目減りです。
今回のデータを参考にしながら、老後資金の対策として家計や貯蓄の見える化をしたり、わが家でできる選択肢を見える化したりして、今後の生活の対応について考えてみましょう。
参考資料
- 金融経済教育推進機構(J-FLEC)「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」
- 厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」
- 厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」
宮野 茉莉子