紫陽花の花が雨に映える6月となりました。

日々の生活が慌ただしく過ぎゆく中、この梅雨の時期を利用して、これからの資産形成についてじっくり向き合ってみるのもおすすめです。

特に公的年金を主な収入源として生活されている方々にとっては、少しでも経済的なゆとりを持ちたいと考えるのは自然なことでしょう。

実は、公的年金などの収入や所得が一定の基準を満たさない方を対象に、年金に上乗せして給付金が支給される「年金生活者支援給付金」という制度が存在します。

この記事では、「年金生活者支援給付金」制度の詳しい内容をはじめ、ご自身が対象となるかの確認方法や、必要な手続きについて、一つひとつ丁寧に解説していきます。

1. 年金に上乗せされる「年金生活者支援給付金」とはどのような制度か

年金生活者支援給付金制度について1/8

年金生活者支援給付金制度について

出所:厚生労働省「年金生活者支援給付金制度について」

「年金生活者支援給付金」は、公的年金からの収入やその他の所得が一定の基準額を下回る年金受給者の生活を支援することを目的とした制度です。

この給付金は一時的なものではなく、年金に加算する形で継続的に支給される点に特徴があります。

受給している基礎年金の種類に応じて、以下の3つに分類されます。

  • 老齢年金生活者支援給付金
  • 障害年金生活者支援給付金
  • 遺族年金生活者支援給付金

初回の受け取りには申請が必要となりますが、一度手続きを済ませれば、支給条件を満たしている限り2カ月に一度、定期的に支給されます。

2. 年金生活者支援給付金の支給対象となる条件を解説

基礎年金を受給している方のうち、年金収入とその他の所得の合計額が一定の基準を下回る場合に、「年金生活者支援給付金」を受け取れる可能性があります。

この章では、給付金の種類ごとに、具体的な支給要件を詳しく見ていきましょう。

2.1 老齢年金受給者が対象となる3つの要件

老齢年金生活者支援給付金の支給要件2/8

支給要件

出所:日本年金機構「老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要」

老齢年金生活者支援給付金は、下記の要件をすべて満たす方が対象となります。

  • 65歳以上で老齢基礎年金を受給していること
  • 同一世帯の全員が市町村民税非課税であること
  • 前年の公的年金などの収入金額(※1)と、その他の所得との合計額が、昭和31年4月2日以降生まれの方は80万9000円以下、昭和31年4月1日以前生まれの方は80万6700円以下であること(※2)

※1 障害年金や遺族年金などの非課税収入は含まれません。

※2 昭和31年4月2日以降に生まれた方で合計額が80万9000円を超え90万9000円以下の方、また昭和31年4月1日以前に生まれた方で80万6700円を超え90万6700円以下の方には、「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。

2.2 障害年金受給者のための支給要件

障害基礎年金を受給されている方へ3/8

障害基礎年金を受給されている方へ

出所:厚生労働省「年金生活者支援給付金制度」

障害年金生活者支援給付金は、次の支給要件を両方満たす場合に支給対象となります。

  • 障害基礎年金の受給者であること
  • 前年の所得(※)が479万4000円以下であること(扶養親族の人数に応じて増額されます)

※ 障害年金などの非課税収入は所得に算入されません。

2.3 遺族年金受給者が対象となる条件

遺族基礎年金を受給されている方へ4/8

遺族基礎年金を受給されている方へ

出所:厚生労働省「年金生活者支援給付金制度」

遺族年金生活者支援給付金を受け取るためには、以下の要件をすべて満たす必要があります。

  • 遺族基礎年金の受給者であること
  • 前年の所得(※)が479万4000円以下であること(扶養親族の人数に応じて増額されます)

※ 遺族年金などの非課税収入は所得に算入されません。

3. 【2026年度】年金生活者支援給付金の支給額はいくらになる?

年金生活者支援給付金の支給額は、前年の物価変動率を基にして毎年改定されます。

2026年度については、前年度と比較して3.2%の増額が決定しました。

6月15日支給分(4月分と5月分)より、2026年度の基準額が適用される仕組みです。

3.1 2026年度の給付額を種類別に紹介

年金生活者支援給付金の給付額5/8

年金生活者支援給付金の給付額

出所:厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」をもとにLIMO編集部作成

  • 老齢年金生活者支援給付金(基準額):月額5620円
  • 障害年金生活者支援給付金:障害等級1級は月額7025円、2級は月額5620円
  • 遺族年金生活者支援給付金:月額5620円

老齢年金生活者支援給付金に関しては、この金額が「基準額」である点に注意が必要です。

実際の支給額は月額5620円を基準とし、保険料の納付期間や免除期間に応じて個別に計算されます。

4. 年金生活者支援給付金の申請方法と手続きの流れ

「年金生活者支援給付金」は、自動的に支給が開始されるわけではありません。

ご自身で申請する必要があるため、手続きを忘れないようにしましょう。

ここでは、多くの方が該当するであろう2つのケースに分けて、請求手続きの方法を解説します。

4.1 ケース1:すでに年金を受給中で新たに対象になった場合

支給対象となった場合6/8

支給対象となった場合

出所:厚生労働省「年金生活者支援給付金制度」

  1. 毎年9月上旬から、「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が順次郵送されます。書類が届いたら必要事項を記入し、切手を貼ってポストに投函してください。
  2. 締切日までに提出すると10月分からさかのぼって受け取れますが、提出が遅れると請求した月の翌月分からの支給となります。早めの手続きをおすすめします。

なお、「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が届いた方は、マイナポータルを通じた電子申請も利用できます。

電子申請を行った場合、はがきの郵送は不要です。

4.2 ケース2:これから老齢年金の受給を開始する場合

  1. 年金の受給権が発生する3カ月前に、年金を受け取るための「年金請求書(事前送付用)」が日本年金機構から届きます。この中に「年金生活者支援給付金請求書」が同封されています。
  2. 必要事項を記入した上で、受給開始年齢の誕生日の前日以降に、年金請求書とあわせて年金事務所へ提出します。

4.3 申請は初回だけ?翌年以降の手続きについて

一度請求書を提出して受給が決定すれば、支給要件を満たし続ける限り、翌年以降の手続きは原則として不要になります。

年金生活者支援給付金は、毎年度、前年の所得情報などに基づいて継続して支給されるかどうかが判定されます。

その判定結果は、毎年10月分(12月支払い)から1年間にわたって反映されます。

5. 高齢者世帯の生活実態調査:半数以上が「苦しい」と回答

ある調査によると、高齢者世帯の半数以上が「生活が苦しい」と感じているという実態が明らかになっています。

厚生労働省が公表した「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」から、高齢者の生活意識に関するデータを見てみましょう。

この調査によれば、高齢者世帯の生活意識は以下の通りです。

5.1 高齢者世帯における生活意識の内訳

  • 大変苦しい:25.2%
  • やや苦しい:30.6%
  • 普通:40.1%
  • ややゆとりがある:3.6%
  • 大変ゆとりがある:0.6%

「大変苦しい」と「やや苦しい」を合計した「苦しい」と感じている世帯の割合は55.8%にのぼり、半数を超えています。

この結果から、「普通」と回答した世帯よりも、生活が「苦しい」と感じている世帯の方が多いことがわかります。

6. まとめ

今回は、年金生活者支援給付金について、対象となる方の条件や給付額、手続き方法などを中心に解説しました。

この制度は、年金収入だけでは生活に不安を感じる方にとって、大きな支えとなり得るものです。

ご自身の状況と照らし合わせ、対象になる可能性があるか一度確認してみてはいかがでしょうか。

もし対象であれば、忘れずに手続きを行うことが大切です。

公的年金は老後の生活の柱ですが、こうした支援制度を上手に活用することで、より安心して暮らすことができます。

今後もご自身の年金や利用できる制度について、定期的に情報を確認する習慣をつけておくと良いでしょう。

※当記事は再編集記事です。

参考資料

マネー編集部社会保障班