総務省「2020年基準 消費者物価指数 東京都区部 2026年(令和8年)5月分(中旬速報値)」によれば、生鮮食品を除く総合指数は前年同月比で1.3%増。細かく見ると菓子類 7.7%、飲料 7.8%、生鮮魚介 8.9%など、身近な飲食料品の値上げが続いています。

物価高はとどまるところをみせない一方で、「人生100年時代」という言葉もよく耳にします。厚生労働省の「令和6年簡易生命表の概況」によると、日本人の平均寿命は男性81.09年、女性87.13年(2024年)。今の生活はもちろん、老後まで考えて対策をしていく必要があります。

特におひとりさまは、家計のことも老後の備えも自分ひとりで考えることになります。今回は60歳代の単身世帯について、貯蓄額の平均と中央値、そして長く働く高齢者の実態をみていきます。

1. 60歳代「おひとりさまの平均貯蓄額」はいくらになる?貯蓄ゼロは約3割

金融経済教育推進機構(J-FLEC)の「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」によると、単身世帯の金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)は、次のようになっています。

※金融資産保有額とは、預貯金だけでなく株式、投資信託、生命保険などを含んだ金額です。ただし、日常的に使う普通預金の残高は含まれていません。

1.1 60歳代・単身世帯の貯蓄額(平均・中央値)

  • 60歳代(単身世帯):平均1364万円/中央値300万円

60歳代の単身世帯では、平均1364万円に対して中央値は300万円。平均と中央値の差は約4.5倍です。

さらに、金融資産を保有していない、いわゆる「貯蓄ゼロ」の世帯は、60歳代の単身世帯で30.4%。およそ3人に1人にあたります。まとまった蓄えがある人がいる一方で、貯蓄がほとんどない人も少なくなく、同じ年代でも開きが大きいことがうかがえます。

2. 増える就業率、高齢者が働いている業種とは

貯蓄に不安があっても、収入を得る方法は預貯金の取り崩しだけではありません。内閣府の「令和7年版高齢社会白書」によると、近年は高齢になっても働き続ける人が増えています。

2.1 高齢者の就業率(長く働く実態)

2024年の高齢者の就業率は、次のとおりです。

  • 65〜69歳:53.6%
  • 70〜74歳:35.1%
  • 75歳以上:12.0%

65歳以上の就業者数は21年連続で前年を上回っており、長く働くことは特別ではなくなってきています。

2.2 高齢者はどの業種で働いている?

同じ調査で、65歳以上の就業者が多い産業をみると、次のようになっています(2024年)。

  • 卸売業・小売業:133万人
  • 医療・福祉:115万人
  • サービス業(他に分類されないもの):104万人
  • 農業・林業:93万人

産業全体に占める65歳以上の割合では「農業・林業」が51.7%と最も高く、半数以上が高齢者です。身近な小売業・医療福祉から専門分野まで、高齢者が働く場は広がっています。

最近ではさまざまな職種や働き方も増えています。長く働くことで貯蓄を増やしたり、余裕が出ればその一部を資産運用したりといったことも可能です。

長い目で見た働き方を考えるのも、老後対策を考える一つになるでしょう。

3. まとめにかえて

60歳代おひとりさまの貯蓄は、平均1364万円・中央値300万円。「貯蓄ゼロ」が約3割という現実もあり、人によって差が大きいことがわかりました。

一方で、長く働く高齢者は年々増えています。貯蓄の取り崩しだけに頼らず、働き方も含めて老後のお金を考える。また、お金の置き場所を考えることも大切です。

平均寿命がのびる時代だからこそ、自分に合ったペースで、これからの暮らしを組み立てていきたいものです。

参考資料

宮野 茉莉子