5. ローム買収提案に透ける、半導体内製化への強い意志

デンソーが直面している課題は、いかにして稼いだ豊富な資金を次の成長に結びつけるかという点にあります。その象徴的な出来事が、半導体メーカーであるロームへの株式取得提案(後に取り下げ)でした。

5.1 なぜ半導体メーカーを狙ったのか

自動車の電動化や自動運転技術が急速に進む中、車載部品の構造は大きく変化しています。この変化を見据えたデンソーの戦略的意図について、泉田氏は次のように解説します。

「電装化に一番必要なキーデバイスって半導体じゃないですか。でもデンソーは半導体メーカーではない、でもそれを内製化したい。じゃあ日本で買える対象どこか、自動車部品やってる会社はどこかって考えると、ロームだったんじゃないかなと思います」

結果としてこの提案は取り下げられましたが、デンソーが「次世代モビリティのキーデバイスを自社でコントロールしたい」という強い意志を持っていることが浮き彫りになりました。

5.2 次の成長に向けたアクションに注目

デンソーは非常に強固な財務体質を持っていますが、それは裏を返せば「手元に豊富なキャッシュを余らせている」とも言えます。

経営課題として、投下した資本に対してどれだけの利益を生み出しているかを示すROEやROICといった資本効率の向上が求められています。

泉田氏は、今後のデンソーが取るべき道について、次のように総括します。

「次の打ち手で自分たちのビジネスよりも高いリターンを出せるものを買ってくるとか、できないんだったらバランスシートをスリムにしてより効率化する。逆に言うと2つの選択肢しかないんだけども、それを改めて考えなきゃいけないポイントに立ち戻っちゃったっていうそんな状況ですかね」