次回の年金支給日は8月14日です。年金は原則として偶数月の15日に支払われますが、15日が土日祝日の場合は、直前の平日に前倒しされる仕組みになっています。
8月に支給されるのは、6月分と7月分の2ヶ月分です。そのため、年金月額が15万円であれば、控除前支払額は30万円となります。
地方公務員として税務や国民健康保険の窓口業務に携わっていた経験から感じるのは、年金や社会保険の「実際の手取り額」は、額面だけを見ていては分からないということです。まずは月額15万円以上を受け取っている人がどれくらいいるのか、実際のデータで確認していきましょう。
国民年金を含む厚生年金を30万円、つまり月15万円以上受け取っている人は、どのくらいいるのでしょうか。この記事では、厚生労働省の統計や独自のグラフから、シニア世代の受給額分布を確認します。また、将来の年金・家計に備える方法についても見ていきましょう。
1. この記事の3つのポイント
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厚生年金(国民年金含む)を月額15万円以上受け取っている人は全体の49.8% -
男性は68.8%が月15万円以上を受け取る一方、女性は12.3%にとどまり、平均額にも約6万円の差がある -
年金支払額から税金や社会保険料が差し引かれるため、実際の振込額は額面より少なくなる(例:30万円→24万円)
2. 厚生年金と国民年金の関係をおさらい
厚生年金を受給する人は、老齢基礎年金(国民年金部分)に加え、現役時代の加入期間や給与・賞与に応じた老齢厚生年金を上乗せで受け取ります。そのため、1回の年金支給で30万円以上を受け取る人もいれば、それを大きく下回る人もいます。
老齢厚生年金の金額は人によって差が大きいため、次章では実際にどれくらいの割合の人が月額15万円以上を受け取っているのか見ていきましょう。
3. 「月額15万円以上」の厚生年金が支給される人は何パーセント?
月額15万円以上の厚生年金を受け取っている人はどれくらいいるのか、厚生労働省の「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとに確かめてみましょう。
〈全体〉平均年金月額:15万289円
〈男性〉平均年金月額:16万9967円
〈女性〉平均年金月額:11万1413円
※国民年金の金額を含む
割合(全体:1608万5696人)
- 10万円未満の割合:19.0%
- 10万円以上の割合:81.0%
- 15万円以上の割合:49.8%
- 20万円以上の割合:18.8%
- 20万円未満の割合:81.2%
- 30万円以上の割合:0.12%
月額15万円以上の年金を受け取っている人の割合は49.8%と全体のほぼ半数となっています。平均受給額は15万289円と15万円台であることから、比較的分布の多い金額帯だといえそうです。
一方、10万円以上の割合が81%なのにもかかわらず、15万円以上になると割合が大きく減っています。そのため、誰もが月額15万円以上、平均程度の金額を受け取れるとは限りません。
月額15万円以上を受け取っている人が49.8%とほぼ半数である一方、20万円以上となると18.8%まで下がります。「平均的な年金額」と一口に言っても、実際にはかなり幅広い分布があることが分かります。
次章では、受給額を男女で比較してみましょう。
4. 受給額に男女で差があるのはなぜ?
男女で15万円以上の年金を受け取っている人の人数を、金額ごとに見てみましょう。
男性(合計:1067万9944人)
- 15万円以上~16万円未満:76万4713人
- 16万円以上~17万円未満:85万3718人
- 17万円以上~18万円未満:92万6462人
- 18万円以上~19万円未満:95万5327人
- 19万円以上~20万円未満:91万3998人
- 20万円以上~21万円未満:82万204人
- 21万円以上~22万円未満:68万2702人
- 22万円以上~23万円未満:50万9842人
- 23万円以上~24万円未満:34万1191人
- 24万円以上~25万円未満:22万4720人
- 25万円以上~26万円未満:14万7563人
- 26万円以上~27万円未満:9万2856人
- 27万円以上~28万円未満:5万4156人
- 28万円以上~29万円未満:2万9810人
- 29万円以上~30万円未満:1万4935人
- 30万円以上~:1万8801人
女性(合計:540万5752人)
- 15万円以上~16万円未満:20万322人
- 16万円以上~17万円未満:14万7604人
- 17万円以上~18万円未満:10万5489人
- 18万円以上~19万円未満:7万1561人
- 19万円以上~20万円未満:4万8617人
- 20万円以上~21万円未満:3万3387人
- 21万円以上~22万円未満:2万1931人
- 22万円以上~23万円未満:1万4116人
- 23万円以上~24万円未満:8813人
- 24万円以上~25万円未満:5491人
- 25万円以上~26万円未満:3233人
- 26万円以上~27万円未満:1811人
- 27万円以上~28万円未満:927人
- 28万円以上~29万円未満:479人
- 29万円以上~30万円未満:223人
- 30万円以上~:482人
男性は68.8%、女性は12.3%が月15万円以上の年金を受け取っています。平均受給額も男性は16万9967円ですが、女性は11万1413円と差が開いている状況です。
現在年金を受給している世代では、厚生年金への加入期間や現役時代の賃金、働き方などに男女差がありました。こうした違いが、現在の年金受給額にも影響していると考えられます。
厚生年金は加入期間が長く、給与や賞与が高いほど、将来の年金額も増える傾向にあります。結婚や出産、育児などを機に離職した期間が長い場合や、厚生年金に加入しない働き方をしていた期間がある場合は、老齢厚生年金が少なくなる可能性があるのです。
女性の就業状況や厚生年金の加入期間が変化すれば、今後は男女の受給額分布も変わってくると考えられます。
男性の68.8%が月15万円以上を受け取る一方、女性は12.3%にとどまるという差は、想像以上に大きいと感じる方も多いのではないでしょうか。この差は、現役時代の働き方や厚生年金への加入期間を色濃く反映した結果といえます。
次章では、年金の振込額と手取り額について解説します。
5. 「振込額」は30万円とは限らない
年金月額が15万円の場合、2ヶ月分の控除前年金額は原則30万円です。ただし、実際に口座へ振り込まれる金額が30万円になるとは限りません。年金からは、人によって以下の税金や社会保険料が差し引かれるためです。
- 介護保険料
- 国民健康保険料または後期高齢者医療保険料
- 所得税・復興特別所得税
- 住民税(森林環境税含む)
上記の税金や社会保険料は、所得や受給する年金の種類・金額などによって、年金から差し引かれるかどうかが決まります。
日本年金機構から届く年金振込通知書には、控除前の「年金支払額」と、税金・社会保険料を差し引いた「控除後振込額」が記載されています。手元に入ってくるお金は、税金・社会保険料を差し引いた「控除後振込額」です。
たとえば、年金支払額が30万円でも、税金や保険料が合計6万円天引きされれば、実際の振込額は24万円です。振り込まれた金額をもとに家計管理をしていくことになるため、家計を考える際は、額面ではなく控除後の金額を確認しましょう。
「年金額=手取り額」だと思い込んでいる方は少なくない印象です。年金振込通知書が届いたら、控除前・控除後どちらの金額なのかを必ず確認する習慣をつけておきましょう。
次章では、年金と家計に対する考え方をファイナンシャル・プランナー視点で解説します。
6. 【FP見解】年金と家計への考え方
月額15万円以上の年金を受け取っている人の割合は49.8%ですが、一方で約半数の人は年金が月額15万円未満です。老後の家計が苦しくならないようにするには、大きく分けて以下の2つの方法があります。
- 公的年金を増やす
- 公的年金以外の資産を増やす
まず考えたいのは、公的年金を増やす手法です。たとえば、国民年金については、60歳時点で納付期間が40年に満たない場合、所定の要件を満たせば65歳まで任意加入できます。任意加入すれば、国民年金を満額に近づけやすくなるでしょう。
また、厚生年金保険は原則70歳まで加入できるため、退職後も働けば厚生年金の受給額が増えます。65歳以上で働きながら年金を受け取っている人であれば「在職定時改定」という年金額を再計算する仕組みにより、納めた保険料が早期に年金に反映されます。
このほか、年金の受給タイミングを65歳以降に遅らせる「繰下げ受給」などの活用も検討してみましょう。
より自由に老後資産を設計したい場合は、公的年金以外の資産を増やすほうが適しているでしょう。具体的には、iDeCoやNISAといった制度の活用を検討したいところです。iDeCoは自分で掛金を拠出・運用する年金制度で、以下のような税制優遇が特徴です。
- 掛金が所得控除の対象になる
- 運用益が非課税になる
- 受取時も所得控除の対象になる
一方、NISAは、少額から積立投資ができる制度で、運用益が非課税になるのが特徴です。通常20.315%かかる税金がかからなくなるため、利益をそのまま手元に残せます。年間で360万円、生涯で1800万円までと投資枠に上限があるため、計画的に活用しましょう。どちらを使う場合でも、元本が保証されるとは限らないため、リスクをどれくらい許容できるか、何年運用するかといった点も確かめておきたいところです。
なお、年金や資産を増やす際は、闇雲に金額を増やせばよいわけではありません。まずは家計の状況を理解することが大切です。医療費や公共交通の費用など老後生活の支出額を見通し「年金だけではいくら足りないのか」「どれくらい資産が増えれば生活にゆとりが生まれるか」を正しく把握することから始めてみましょう。
7. 監修者コメント:49.8%という数字の裏側で、今から準備できること
月15万円以上の年金を受け取る人が49.8%という数字は、裏を返せば残りの50.2%はそれ未満だということです。老後の年金額は現役時代の働き方や加入期間によって大きく変わるため、「平均並みだから大丈夫」と考えるのではなく、まずはご自身の見込み額を確認することが第一歩になります。
銀行の窓口でも、繰下げ受給やiDeCo・NISAについて「得なのは分かるが、自分に合っているか分からない」というご相談をよく受けてきました。公的年金を増やす方法と、公的年金以外で資産を増やす方法は、どちらか一方ではなく、ご自身の家計状況に応じて組み合わせて検討するのがよいと思います。
特にiDeCoやNISAは、非課税というメリットがある一方で、元本保証がない点や資金の流動性(iDeCoは原則60歳まで引き出せません)といった制約もあります。始める前に、ご自身がどれくらいリスクを許容できるか、いつまでに使う予定のお金なのかを整理しておくことをおすすめします。
8. まとめ
厚生年金(国民年金含む)を1回の支給で30万円(月額15万円)以上受け取る人は、全体の49.8%と半数に近い割合でした。この金額は税金や社会保険料が差し引かれる前の金額となっているため、実際に使える金額は年金振込通知書などで確かめる必要があります。
年金額が少なく将来の家計が不安なのであれば、老後の年金の増やし方について考えてみたり、今から時間をかけて資産を運用して生活に十分な金額を確保したりすることが大切です。まずは家計支出を把握し、無理なく暮らせる金額がいくらなのか確かめてみるとよいでしょう。
参考資料
- 日本年金機構「年金はいつ支払われますか。」
- 厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「在職老齢年金の計算方法」
- 日本年金機構「年金からの介護保険料、国民健康保険料(税)、後期高齢者医療保険料、住民税および森林環境税の特別徴収」
- 金融庁「NISAを知る」
- iDeCo公式サイト(国民年金基金連合会)「iDeCoの特徴・メリット」
石上 ユウキ

