生活保護の相談に行く人は、それまでどの医療保険に入っていたのでしょうか。保護が始まると医療は医療扶助に切り替わるため、開始前の状況は統計でも別に数えられています。

厚生労働省の「被保護者調査(令和6年度確定値)」によると、令和6年度に保護が開始された人のうち49.4%は国民健康保険に加入していました。一方で、医療保険に入っていなかった人も13.2%いました。

この記事では、保護開始前の医療保険の加入状況を年齢別に確かめたうえで、10月から適用される単身世帯の生活扶助費を級地別に見ていきます。

1. 生活保護を受け始めた人の49.4%は国民健康保険に加入していた

被保護者調査の月次調査には、保護が開始された人を、開始前の医療保険の加入状況で分けた表があります。まず全体の数から確認しましょう。

1.1 令和6年度に保護が開始された人は24万2727人

令和6年度に生活保護の保護が開始された人は、年度累計で24万2727人でした。1か月平均では2万227人です。

この表は世帯ではなく人数で数えています。転入によって保護が始まった人と、一時的な性格の扶助だけを受けた人は含まれていません。

1.2 国民健康保険の次に多いのは後期高齢者医療の16.3%

加入状況を見ると、国民健康保険が11万9909人で最も多く、全体の49.4%でした。後期高齢者医療が3万9529人で16.3%と続きます。

生活保護の開始前は国民健康保険の加入者が約半数で、医療保険未加入も13.2%いた1/2

令和6年度に生活保護の保護が開始された人を開始前の医療保険の加入状況別に示した棒グラフ

出所:厚生労働省「令和6年度被保護者調査 月次調査 確定値 第32表」を参考にLIMO編集部作成

表に並ぶ区分ごとの人数は、次のとおりです。

  • 国民健康保険:11万9909人(49.4%)
  • 後期高齢者医療:3万9529人(16.3%)
  • 被用者保険の被保険者:9642人(4.0%)
  • 被用者保険の被扶養者:8771人(3.6%)
  • 医療保険未加入:3万1997人(13.2%)
  • その他:3万2879人(13.5%)

会社などの健康保険にあたる被用者保険は、被保険者と被扶養者を合わせて1万8413人、7.6%でした。何らかの医療保険に加入していた人は合計17万7851人で、73.3%です。

2. 生活保護の開始前に医療保険未加入だった人は3万1997人、40歳代は18.5%

同じ表は年齢階級別にも分かれています。医療保険に入っていなかった人の割合は、年齢によって差がありました。

2.1 医療保険未加入の割合は年齢階級で7%台から18%台まで開く

保護が開始された人に占める医療保険未加入の割合を年齢階級別に並べると、次のようになります。

  • 19歳以下:10.0%(2408人)
  • 20〜29歳:17.3%(3130人)
  • 30〜39歳:17.7%(3565人)
  • 40〜49歳:18.5%(4741人)
  • 50〜59歳:17.7%(7205人)
  • 60〜64歳:16.2%(3101人)
  • 65〜69歳:13.3%(2307人)
  • 70歳以上:7.1%(5540人)

割合が最も高いのは40〜49歳の18.5%で、最も低いのは70歳以上の7.1%でした。人数で見ると、50〜59歳の7205人が最も多くなっています。

2.2 70歳以上は後期高齢者医療が50.3%

70歳以上で保護が開始された7万7743人のうち、後期高齢者医療に加入していたのは3万9098人で、50.3%でした。国民健康保険は2万2929人、29.5%です。

50〜59歳では国民健康保険が60.7%、60〜64歳では63.4%、65〜69歳では66.5%と、年齢が上がるほど国民健康保険の割合が高くなっていました。

3. 10月から適用される単身世帯の生活扶助費、65歳~69歳は級地により月6万8850円~7万6880円

保護が始まると、日々の暮らしの費用は生活扶助として支給されます。ここでは単身世帯の生活扶助費を、住んでいる地域の級地ごとに確認します。

3.1 生活扶助費は第1類と第2類に加算を足して計算する

生活扶助の基準額は、厚生労働省の告示「生活保護法による保護の基準」に定められています。令和8年6月11日の告示で改正され、10月1日から適用される額が載っています。

単身世帯なら、年齢別の第1類と世帯人員別の第2類を足し、経過的加算額と世帯人員1人につき月2500円の特例加算を加えます。冬季加算がつく月はさらに上乗せされます。

単身世帯の生活扶助費は級地と年齢で変わり、75歳以上は第1類が低く設定されている2/2

2026年10月1日から適用される単身世帯の生活扶助費を級地別・年齢別に示した表

出所:厚生労働省「生活保護法による保護の基準」を参考にLIMO編集部作成

3.2 級地別・年齢別の単身世帯の生活扶助費

図の額を、級地ごとに書き出しておきます。いずれも冬季加算のない月の月額です。

【65歳~69歳】

  • 1級地-1:7万6880円
  • 1級地-2:7万5350円
  • 2級地-1:7万3490円
  • 2級地-2:7万1640円
  • 3級地-1:7万1170円
  • 3級地-2:6万8850円

【70歳~74歳】

  • 1級地-1:7万6750円
  • 1級地-2:7万5350円
  • 2級地-1:7万3490円
  • 2級地-2:7万1640円
  • 3級地-1:7万1170円
  • 3級地-2:6万8850円

【75歳以上】

  • 1級地-1:7万1900円
  • 1級地-2:6万8980円
  • 2級地-1:6万7390円
  • 2級地-2:6万5790円
  • 3級地-1:6万5390円
  • 3級地-2:6万3400円

65歳~69歳と70歳~74歳の額が違うのは1級地-1だけで、経過的加算額が65歳~69歳に130円つくためです。75歳以上の1級地-1にも1720円の経過的加算額がつきます。

熊谷 良子

生活扶助費の告示は、級地ごとに第1類と第2類、経過的加算額の表が別々に並んでいます。自分の年齢と住んでいる地域の級地を先に控えてから表を探すと、読み違えを防げます。