暖房器具が壊れたまま冬を迎えそうなとき、生活保護の保護費だけでは買い替えが難しいこともあります。

生活保護には、毎月の保護費とは別に、臨時に必要になった費用へ対応する一時扶助があります。暖房器具や冷房器具の購入費も、条件を満たせばこの一時扶助の対象です。

この記事では、厚生労働省の生活保護実施要領などをもとに、家具什器費と冷暖房器具の額、そして支給が認められる場面を見ていきます。

1. 生活保護の一時扶助は毎月の保護費とは別に支給される

一時扶助は、毎月の生活扶助ではまかなえない臨時の出費に対応するための扶助です。

そのなかで家具や家電にあたるのが家具什器費です。

1.1 家具什器費が認められるのは5つの場面

生活保護実施要領の局長通知では、家具什器費の支給が認められる場面が5つ挙げられています。

  • 保護開始時において、最低生活に直接必要な家具什器の持合せがないとき
  • 単身の被保護世帯で、長期入院・入所後に退院・退所し、新たに単身で居住を始める場合において、家具什器の持合せがないとき
  • 災害にあい、災害救助法第4条の救助が行われない場合において、地方公共団体等の救護では、災害により失った家具什器をまかなうことができないとき
  • 転居の場合であって、新旧住居の設備の相異により、現に所有している家具什器を使用することができず、補填しなければならない事情が認められるとき
  • 犯罪等により被害を受け、または同一世帯に属する方から暴力を受け、生命および身体の安全の確保を図るために新たに借家等に転居する場合において、家具什器の持合せがないとき

いずれも「最低生活に直接必要な家具什器の持合せがない」ことが前提になっています。

1.2 家具什器費の基準額は3万6700円以内

家具什器費の基準額は3万6700円以内です。真にやむを得ない事情により基準額では対応できないと認められるときは、特別基準として5万8400円以内が設定されます。

支給は、収入充当順位にかかわりなく現物給付の方法によることとされています。現物給付が適当でないと認められるときは、金銭給付の方法でも差し支えないという扱いです。

2. 冷房器具の購入費は7万8000円以内が特別基準になる

家具什器費のなかでも、冷暖房器具には別枠の特別基準が設けられています。

額も要件も暖房と冷房で異なるため、分けて確認します。

2.1 暖房器具は3万1000円以内、FF式などが必要なら7万8000円以内

上の5つの場面のいずれかに当てはまった世帯が、それ以降に初めて到来する冬季加算が認定される月において、最低生活に直接必要な暖房器具を持ち合わせていないときは、購入費について3万1000円の範囲内で特別基準の設定があったものとされます。

居住する地域の気候条件や住宅設備の状況などにより、FF式または煙突式等の暖房器具を購入する必要がある場合など、購入費が3万1000円を超えることが真にやむを得ないと実施機関が認めたときは、7万8000円の範囲内になります。

2.2 冷房器具の対象は熱中症予防が特に必要とされる方がいる世帯

冷房器具は、5つの場面のいずれかに当てはまり、かつ世帯のなかに熱中症予防が特に必要とされる方がいる場合が対象です。

それ以降に初めて到来する熱中症予防が必要となる時期を迎えるにあたり、冷房器具を持ち合わせておらず、真にやむを得ないと実施機関が認めたときに、7万8000円の範囲内で特別基準の設定があったものとされます。

熱中症予防が特に必要とされる方について、実施要領は高齢者、障がいのある方、小児、難病患者を例に挙げ、体温の調節機能への配慮が必要と考えられることから積極的に勧奨するよう求めています。

冷暖房器具の購入費に設定される特別基準の額1/2

生活保護の一時扶助で冷暖房器具の購入費に設定される特別基準の額を示した表

出所:厚生労働省「2026(令和8)年4月1日施行 生活保護実施要領等」を参考にLIMO編集部作成

3. 一時扶助には入学準備金や被服費も含まれる

一時扶助の対象は家具什器費だけではありません。

札幌市が公表している生活保護法による保護の基準表(令和8年7月~)から、主な項目の額を確認します。

一時扶助の主な項目と基準額(令和8年7月時点)2/2

生活保護の一時扶助の主な項目と基準額をまとめた一覧表

出所:札幌市「生活保護法による保護の基準表(令和8年7月~)」を参考にLIMO編集部作成

【一時扶助の主な項目と基準額(令和8年7月時点)】

  • 家具什器費:3万6700円以内(特別基準5万8400円以内)
  • 暖房器具:3万1000円以内(特別基準7万8000円以内)
  • 冷房器具:7万8000円以内
  • 配電・給排水設備費:13万6000円以内(特別基準20万4000円以内)
  • 入学準備金(小学校):9万1600円以内
  • 入学準備金(中学校):10万1000円以内
  • 被服費(寝具・新規):2万2500円以内
  • 被服費(寝具・再生):1万5300円以内
  • 被服費(退院時等の平常着、学童服):1万5800円以内
  • 被服費(出産準備被服):5万8400円以内
  • 被服費(入院時の寝巻):4900円以内
  • 被服費(紙おむつ等・常時失禁の場合):2万6400円以内
  • 家財保管料:1万4000円以内

入学準備金は小学校と中学校で額が違い、被服費は用途ごとに細かく分かれています。

熊谷 良子

一時扶助は項目が多く、額も用途ごとに分かれています。

どの費目で相談すればよいか迷ったときは、必要になった事情をメモにして福祉事務所へ持っていくと、話が早く進みます。