持ち家や車があると生活保護は受けられない、という話を聞いたことがある方もいるでしょう。
厚生労働省は生活保護の要件として、世帯員全員が利用し得る資産や能力その他あらゆるものを活用することを前提に置き、扶養義務者の扶養は生活保護法による保護に優先すると示しています。
この記事では3つの活用と扶養の位置づけ、保護の判定の順序を確認したうえで、年金だけで暮らす場合の住民税の境目を見ていきます。
1. 生活保護の要件は3つの活用と、収入と最低生活費の比較
生活保護には所得の上限がひとつ決まっているわけではありません。判定にはいくつかの前提が置かれています。
1.1 保護は世帯単位で行われる
まず押さえておきたいのは、生活保護が世帯単位で行われるという点です。
世帯員全員が、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することが前提になっています。本人だけの状況で判断されるわけではありません。
そのうえで、扶養義務者の扶養は生活保護法による保護に優先すると位置づけられています。
1.2 資産の活用とは売却等して生活費に充てること
厚生労働省は資産の活用を、預貯金、生活に利用されていない土地・家屋等があれば売却等し生活費に充てることと説明しています。
ここで手がかりになるのが「生活に利用されていない」という限定です。すべての土地や家屋が対象と書かれているわけではありません。
実際にどこまでが対象になるかは世帯の状況によって変わりますので、個別の判断は福祉事務所に確認してください。
1.3 能力の活用とは、働くことが可能なら働くこと
能力の活用については、働くことが可能な方は、その能力に応じて働いてくださいと示されています。
「その能力に応じて」という書き方であり、働けるかどうかを一律の基準で切っているわけではありません。
1.4 あらゆるものの活用とは他制度の給付を先に使うこと
あらゆるものの活用とは、年金や手当など他の制度で給付を受けることができる場合は、まずそれらを活用することを指します。
つまり生活保護は、使える制度を先に使ったうえで、それでも足りない部分を補う仕組みだということです。
1.5 扶養は要件ではなく、保護に優先するもの
扶養義務者の扶養とは、親族等から援助を受けることができる場合は、援助を受けてくださいという意味です。
これは上の3つとは扱いが違い、要件ではなく生活保護法による保護に優先するものと位置づけられています。援助が得られないからといって、申請できなくなるわけではありません。
申請後の調査でも、扶養義務者による扶養(仕送り等の援助)の可否が調べられます。
1.6 そのうえで収入と最低生活費を比べる
ここまでの3つの活用と扶養を踏まえたうえで、世帯の収入と、厚生労働大臣の定める基準で計算される最低生活費を比較します。
収入が最低生活費に満たない場合に、保護が適用されます。支給される保護費は、最低生活費から収入を差し引いた差額です。
つまり保護費は、生活費の全額が支給されるものではありません。足りない分を埋める金額だということです。
最低生活費は地域や世帯の状況によって異なるため、同じ収入でも結果が変わることがあります。厚生労働省は、住んでいる地域の級地を確認できる資料と、生活扶助基準額の資料を制度ページに掲載しています。
1.7 申請後の調査でも同じ観点が確かめられる
これらは、申請したあとの調査項目とも対応しています。
厚生労働省が挙げている調査は、生活状況等を把握するための実地調査(家庭訪問等)、預貯金・保険・不動産等の資産調査、扶養義務者による扶養(仕送り等の援助)の可否の調査、年金等の社会保障給付や就労収入等の調査、就労の可能性の調査の5つです。
資産の活用は資産調査、能力の活用は就労の可能性の調査、あらゆるものの活用は社会保障給付の調査、扶養は扶養義務者への調査という形で、それぞれが確かめられていきます。
要否の判断は世帯ごとに変わりますので、自分の場合はどうなるのかは福祉事務所の生活保護担当にご確認ください。
なお、年金のみで暮らす場合の住民税非課税ラインや、非課税かどうかの確認方法に関する詳しい解説は、下記の記事より一部を引用・参照しています。

