2. トヨタ依存からの脱却と、多角化する製品ポートフォリオ

ヒリヒリするような船出から成長を遂げたデンソーは、現在どのようなビジネスを展開しているのでしょうか。泉田氏は、同社の顧客構造と製品ラインナップの「分散力」を高く評価しています。

2.1 売上の半分弱はトヨタグループ以外

デンソーといえば「トヨタの部品メーカー」というイメージが強いかもしれません。しかし実際の売上構成を見ると、トヨタグループ向けの売上は約55.5%に留まっています。

得意先別売上構成(26/3期)1/5

得意先別売上構成(26/3期)

出所:デンソー 2026年3月期決算説明会資料を基にイズミダイズム作成

残りの約45%は、ホンダ、スバル、ステランティスといった世界中の自動車メーカーに分散しています。泉田氏はこの顧客ポートフォリオの健全性について、次のように指摘します。

「トヨタのイメージが強いんだけど、それ以外のお客さんともまんべんなくやってますよっていう構造です。お客さんが分散してるのはすごいことだと思います」

特定の企業に依存しすぎないこの構造が、自動車業界全体に波及するマクロ的なショックに対する強固な防波堤となっているのです。

2.2 EV向け「エレクトリフィケーション」が成長を牽引

製品別の事業構造を見ても、同社のビジネスは多岐にわたっています。

主力となるのは、車載電子部品を扱う「モビリティエレクトロニクス」や、空調関連の「サーマルシステム」、駆動系の「パワートレインシステム」、そしてEV(電気自動車)関連の「エレクトリフィケーションシステム」です。

製品別売上収益の伸び率(26/3期・物量ベース)2/5

製品別売上収益の伸び率(26/3期・物量ベース)

出所:デンソー 2026年3月期決算説明会資料を基にイズミダイズム作成

特に注目すべきは成長率です。既存の自動車に不可欠なモビリティエレクトロニクスが前年比+9.2%と大きく伸びているのに加え、次世代の核となるエレクトリフィケーションシステムも+5.9%と高い成長を示しています。

EV化という業界の大きな波にしっかりと乗り、着実に売上を伸ばしていることがわかります。