帝国データバンク「食品主要195社」価格改定動向調査 ― 2026年6月によれば、2026年の値上げとなる飲食料品は1万品目突破の見込みとのこと。調査を開始した2022年から5年連続で年間1万品目を超える値上げが続くとのことで、物価高がどれだけ家計を圧迫しているか、改めて考えさせられます。
特に飲食料品は毎日の生活に直結しますから、定期的に家計や貯蓄の見直しはしたいところです。
来週から6月となり、1年もちょうど半分が過ぎようとしていますから、これを機に貯蓄についても考えてみてはいかがでしょうか。
なかでもおひとりさまの暮らしは、自分の将来を自分で支えていくことになります。今回は60歳代のおひとりさまがどのくらい貯蓄しているのか、平均額と中央値の両方から確認していきましょう。
1. おひとりさま【60歳代の平均貯蓄額】中央値はいくら?
金融経済教育推進機構(J-FLEC)の「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」によると、単身世帯の金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)は、60歳代で次のようになっています。
1.1 60歳代の貯蓄額(平均・中央値)
- 60歳代:平均1364万円/中央値300万円
- 単身世帯全体:平均919万円/中央値130万円
1.2 平均と中央値の大きな差、「貯蓄ゼロ」も約3人に1人
60歳代では、平均が1364万円なのに対して中央値は300万円と、約4.5倍の開きがあります。
平均は貯蓄が多い一部の世帯に引き上げられやすい数字です。一方の中央値は、世帯を貯蓄額の少ない順に並べたとき、ちょうど真ん中にくる世帯の金額を指します。
グラフを見ると実際には貯蓄ゼロの世帯も約3割となっているため、個人差がどれくらい大きいかわかります。リタイア前後の世代でも、貯蓄のある人とない人で大きな差があるとわかりますね。
60歳未満に比べると60歳代の中央値は大きくなっていますが、それは退職金や相続資産などが一因と考えられるでしょう。こちらに関しても個人差が大きいので、自身の場合を考えておく必要があります。
2. 【厚生年金と国民年金】ひとりで平均月いくらになる?
では、老後の生活を支える公的年金の平均はいくらでしょうか。
厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとに、一人ひとりが受け取る年金について見ていきます。
2.1 「厚生年金」の平均年金月額
- 〈全体〉平均年金月額:15万289円
- 〈男性〉平均年金月額:16万9967円
- 〈女性〉平均年金月額:11万1413円
※国民年金部分を含む
2.2 「国民年金(老齢基礎年金)」の平均年金月額
- 〈全体〉平均年金月額:5万9310円
- 〈男性〉平均年金月額:6万1595円
- 〈女性〉平均年金月額:5万7582円
平均年金月額は、厚生年金(国民年金部分を含む)の受給権者は男性約17万円、女性約11万円。国民年金の場合は、男女ともに平均月額は6万円前後です。
生活費がどれくらいかかるかも個人差があるとはいえ、「公的年金のみでは生活できない…」と感じる方もいるでしょう。
だからこそ貯蓄や私的年金などの備えを現役時代からコツコツ進めることが大切なのです。
3. 60歳代おひとりさまの貯蓄、平均と中央値をどう受け止める?
平均や中央値はあくまで全体の目安です。60歳代のおひとりさまといっても、まだ働いているのか退職後かや、住まいや車の保有の有無、健康の状況などによって必要なお金は人それぞれ。他人の数字と比べるよりも、自分にとって必要な金額を知ることのほうが大切でしょう。
老後資金に向けて、家計を一度整理してみるとよいかもしれません。
3.1 老後のお金の備え、何から始める?
老後のお金と向き合うときは、次の3つの視点が手がかりになります。
1.【見える化】まず、今の収入・支出・資産を書き出して把握する
2.【逆算】公的年金の見込み額を土台に、不足しそうな分を逆算して目標額を決める
3.【仕組み化】先取りで自動的に積み立て、年に一度は見直す
年金の見込み受給額は「ねんきんネット」で確認できます。まずは自分が受け取れる金額を知ることが、逆算の出発点になります。
たとえば毎月2万円を10年間続けると240万円になります。短期間でも、積立を続けることで生活の予備費としてまとまった額を確保できます。
この積み立てを預貯金で行うか、資産運用を取り入れるかでも老後に貯まる金額は変わります。資産運用は損をするリスクもありますが、利益が出た場合どれくらいになるのかはシミュレーションなどを利用して把握してみるといいでしょう。
4. まとめにかえて
おひとりさまの60歳代の貯蓄額は、平均と中央値で大きな差があり、貯蓄ゼロの世帯も3割ほどいることがわかりました。数字に一喜一憂しすぎる必要はありません。
大切なのは、他人と比べることよりも、自分の暮らしに必要な金額を把握しておくこと。1年の折り返しとなる6月、まずは家計の現状を「見える化」することから始めてみてはいかがでしょうか。
参考資料
- 金融経済教育推進機構(J-FLEC)「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)〔単身世帯〕」
- 帝国データバンク「食品主要195社」価格改定動向調査 ― 2026年6月
- 厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
宮野 茉莉子