新NISA制度の開始から、積立投資に対する関心が高まり、投資を開始する人が増えています。
将来のために積立投資をしようと考えている人の中には「途中でやめたら意味がない?」「少額で長期的に投資した方が良い?」といった不安や疑問を持つ人も少なくないのではないでしょうか。
結論から言えば、短期的な投資をしてその後放置するパターンと、長期的に一定額を投資するパターンとでは、それぞれにメリットデメリットがあり、結果的に大きな差が発生する可能性があります。
梅雨空が続き、じっくりと将来の資産形成について考える時間が増えるこの季節。そんな中で、本記事では「5年だけ全力投資して放置した人」と「20年少額積立した人」の2パターンの積立投資結果をシミュレーションし、それぞれの特徴と合わせて選択のポイントをお伝えします。ぜひ、今後の投資計画の参考にしてください。
1. 投資シミュレーション
まずは、2つの投資方法による最終的な資産額のシミュレーションをしていきます。積立投資をする際の利回りを予測することは不可能ですが、今回は、運用期間を通して積立投資において現実的な利回りと言える利回り4%で運用できたと想定するものとします。
1.1 5年全力投資で放置
まずは、5年間月10万円を積み立て、その後は積立をせずに15年間運用(放置)した場合のシミュレーションです。
積立をした5年間の運用結果は以下の通りとなります。
- 元本:600万円
- 運用収益:62万円
- 最終資産:662万円
その後、追加の積立を行わずに15年間利回り4%で運用をする場合、年間で1.04倍ずつ資産が増加していくことになります。
- 1年目:662万円×1.04=688.48万円
- 2年目:688.48万円×1.04=716.02万円
このプロセスを15年間続けると、15年後の資産額は「約1192万円」です。結果として20年間で592万円の利益となりました。
積立をストップした時点で投資は終わりのように感じるかもしれませんが、積み立てた銘柄を売却せずに保有し続ければ、その資産は市場で運用され続けます。そのため、放置している15年間の間にも、毎年4%の利回りが掛かり続け、雪だるま式に資産が拡大していくのです。
1.2 20年間コツコツ積立
次に、生活に圧迫感を与えすぎない金額である月2万5000円を、20年間積み立てた場合のシミュレーションを行います。
20年間の積立投資後の結果は以下の通りです。
- 投資元本:600万円
- 運用収益:310万円
- 最終資産額:910万円
最終資産は910万円となり、5年間全力投資と比較して、200万円以上の差が生じています。これは、同じ「元本600万円」であっても、いかに早く元本の満額まで積立を終えるかによって、利回りが適用される金額が大きくなった結果と言えます。
20年間積立をした場合、5年目の時点ではまだ元本が150万円しか市場に投じられていません。そのため、同じ4%の利回りであっても、元本に対して発生する利益の絶対額が先ほどの投資方法に比べて少なくなってしまうのです。
2. 2つの投資法のメリット・デメリット
シミュレーション結果では、「5年間全力投資で放置」が利益が大きく、明らかに優勢な結果となりましたが、現実ではそう言い切れない部分もあります。 ここからは、2つの投資法のメリット・デメリットを解説します。
2.1 短期集中は成長局面で大きな利益
短期集中投資でリターンが大きくなる要因は、早い段階で多くの資金を市場に投じることで、その分だけ運用期間が長くなる点にあります。投資利益は元本に対して発生するため、運用資産が早く増えるほど、複利効果の影響も大きくなります。
市場が長期的に上昇する局面では、この効果がより強く働く傾向があります。
2.2 短期集中は暴落時に大損失となるリスクも
一方で、投資後に相場が下落した場合、その影響を大きく受ける可能性があります。特に投資後しばらくの期間に大きな下落が発生し、その後の回復が限定的な場合には、購入価格が高値となり、結果として評価額が伸びにくくなることがあります。
2.3 長期投資は価格変動リスクに強い
毎月一定額を積み立てる方法は、価格変動の影響を平準化しやすい点が特徴です。価格が高いときは少なく、安いときは多く購入することになり、結果として購入単価が平均化される傾向があります(ドルコスト平均法)。
そのため、価格変動が大きい市場においても、投資タイミングの影響を受けにくいとされています。
2.4 長期投資は運用効率が落ちる側面も
一方で、資金を一括で投じない場合、その分だけ市場に投資されていない資金が発生します。市場が長期的に上昇する局面では、早期に投資していた場合と比べてリターンが小さくなる可能性があります。
また、過去のデータでは長期投資が有利な結果となるケースが多いものの(例:1989年以降のデータ)、将来の投資成果を保証するものではありません。
どちらの方法にもメリット・デメリットがあり、将来の市場動向によって結果は変わります。重要なのは、リターンだけでなくリスク許容度や投資期間を踏まえて、自分に合った方法を選ぶことです。
3. どちらを選ぶべきか
これまでの比較を踏まえると、「5年間全力投資で放置」と「20年間少額積立」のどちらを選ぶべきかは、投資に求めるものによって大きく異なります。
例えば、十分な生活資金や緊急資金を別に確保できており、一時的な価格変動にも心理的に対応できる場合や、長期の投資期間を前提として資金を早めに市場に置くことを重視する場合には、比較的早い段階で投資比率を高める方法が選択肢となります。
一方で、日々の価格変動によるストレスを抑えたい場合や、収入状況に応じて無理なく投資を継続したい場合には、時間分散による積立投資が適しています。積立投資は購入タイミングを分散できるため、価格変動の影響を受けにくいという特徴があります。
いずれの方法にも一長一短があり、将来の市場環境によって結果は変わるため、「どちらが常に優れている」というものではありません。自分の家計状況・投資期間・リスク許容度に応じて選択することが重要です。
4. おわりに
投資において大切なことは、「どちらが利益が大きいか」だけで決めるのではなく、家計の余力、相場下落時に耐えられるか、そして自分が続けられる仕組みかどうかなどを基準に投資計画を立てることです。自分のライフプランに合わせた無理のない投資計画を立てて、将来のための投資を始めてみてはいかがでしょうか。
【免責事項】
- 本記事は、公開されている公的資料および一般的な情報に基づき作成されたものであり、特定の制度・金融商品・投資行動を推奨するものではありません。
- 掲載している数値・制度内容・シミュレーション結果は、一定の前提条件のもとでの試算または一般的な事例であり、実際の金額・支給要件・税制・運用成果等を保証するものではありません。制度内容は法改正・自治体運用・経済状況等により変更される可能性があります。
- 投資に関する記述は、将来の運用成果を示唆または保証するものではなく、元本割れを含むリスクが存在します。本記事上の情報に起因、また関連して生じた損害や損失に関しては一切の責任を負いません。最終的な投資判断は、ご自身の責任において行ってください。


